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ラジカライズアワー  作者: 九郎士郎
激流編
28/39

26# 訓練とかダリィことよくやるねぇ

すいません遅くなりました(汗




「ドリフトタウンを知ってるかーい♪」

「「「ドリフトタウンを知ってるかーい♪」」」

「便利屋ギルドのある街さー♪」

「「「便利屋ギルドのある街さー♪」」」

「平和を守る裏家業ー♪」

「「「平和を守る裏家業ー♪」」」

「カーチャン達には内緒だぜー♪」

「「「カーチャン達には内緒だぜー♪」」」

「俺達ゃ無敵の自警団ー♪」

「「「俺達ゃ無敵の自警団ー♪」」」

「天下無敵の自警団ー♪」

「「「天下無敵の自警団ー♪」」」

「信頼!」

「「「信頼!」」」

「義勇!」

「「「義勇!」」」

「心意気!」

「「「心意気!」」」

「ドリフトタウンを知っ──」


 バカラの変な掛け声でランニングしている集団を横目に、俺は壁にもたれていた。

 ここはドリフトタウンの外れ、つまり砂漠。あ、砂海ね(砂漠じゃないらしい)。正直言うとここ一週間くらい何にもなくてダラダラ寝てたわけだが、とうとうガストがブチ切れて「訓練でも見て来い!!」ってんで、このクソ暑い中街外れくんだりまで来てるわけだ。

 んでそこには、崩れて壁だけになったレンガ造りの廃墟なんかがあって。それが丁度訓練用のハードルとかの障害物に最適ってんでボルが試験場に選んだわけなんだよね。

 うーん。暇、ダアアアア!!

 無意味に拳を燦々と輝く太陽に掲げる。

 さっきから訓練の様子しか見てない。ガストはなんか商人らとの会合かなんとかでどっか行ったし。ボルはちょっと苦手っつーか、こうガテン系の人に対する拒否反応があるんだよね。

 そのボルはと言うと、俺の右前辺りで腕組みして仁王立ち。ニヤニヤしてるぜってーしてる。借りにもあんた大佐だった男だろ?こんなトコに居て良いのか?とか要らない詮索をしてしまう。

 しかし、あれだ。訓練してる元便利屋、元族は死にそうな顔しながらも開始時の人数から減ってない。これは俺の予想を超えてなかなか根性あるってことなのか?はたまた固定給への強い憧れなのか?どうも裏がありそうだ。


「よーし!!集まれボンクラ共!!」

 ボルの掛け声に集合する訓練兵達。顔色と動きからゾンビを連想させる。

 終わりかな?とその様子を眺めていると、今度は円を作るように並ばせ始めた。その輪の中心に一人を置き、次々と組み手をやらせ始めた。

 まだやるのかよ!とボルの顔を覗くとニヤニヤと満面の笑み。こいつ鬼畜だ。散々訓練兵を苛め抜く鬼教官だ。リアルな話海兵隊マリーンの訓練に見えなくもない。卒業前夜に殺されるぞ!(詳しくはフルメ○ルジャケットでも見てくれ)

 そんな様子にあきれながら、俺はペットボトルの水を口に含んだ―――。



side:ガスト=ブライトリング


「やあやあ、漂流街ドリフトタウンでご活躍の大商人の皆様。この度は私の呼びかけに貴重な時間を割いて頂き心から感謝いたします」

 こう切り出したオレの目の前には商人連合の幹部十数名が顔をつらねている。一様に訝しげな表情である。そりゃそうだ、オレが話す事は十中八九、金のことなんだから。彼らもその辺をわかっているため、明るい表情の者など居るはずがないのだ。

 しかし、彼らは断れない。なぜならギルドがこの街の暴力を一手に引き受けてしまっているからだ。この中にもフォンドと影で組してた奴もいるだろうが、今更な話である。少なくとも現在はギルドに迎合するしか生きる道はない。

 けどオレ様はマフィアじゃない。暴力で型をつけようなどとアコギなまねはするつもりはない。健全な投資をしてもらおうと思ってる。対価としてこちらが用意してるのは治安向上と輸送護衛である。その他にも商業利権をここのメンバーにくれてやってもいい。こいつらも馬鹿じゃないならそれがどんなに莫大な利益を生み出すかわかるはずだ。ギルドはマフィアと違い一環として商売に口を挟まない。そうすることで彼らと友好な関係になるのならば安いものなのだ。

 儲けるのはオレ様じゃなくお前ら。ギルドはその発展に乗じてほんの少し投資してもらう。漂流街はまだまだ独自で発展を遂げるには畑が小さい。そのため砂海からの行商を集め中心街への流通路として成長してもらう。

 オレ様の睨みでは、意外と発展するのはそう遠くない未来である。

 ここで肝心なのはギルドがギルドであり続けること、他マフィアに潰されたり取って代わる組織に滅ぼされない事。だがその辺は心配していない、なぜなら今のオレ様にはカイゾウと言うワイルドカードがあるのだからな―――。


side end


side:ニコ=ウィンチェスター


「いっ」

 また刺しちゃった……。神様はニコのために目をケガしたんだからあきらめたらダメ!

 革って硬い……。肉屋のおじさんにもらったウルスの革。これで神様に”目のやつ”作るんだもん!


「どう?いいでしょ?マチゾ!」

「二!」

「神様よろこぶかな?」

「ナーウ!」

「あ!かえしなさいー!」

 もう!邪魔ばっかり!マチゾなんかきらい!―――。


side end  


side:バカラ=ハザード


 ふはははははははははははははは!!!!!見てますかカイゾウさん!!俺の勇姿を!カイゾウさんの力になれるように最強の自警団にしてみせます!!その上あの竜騎士級ドラゴンキャリバーの指導に耐え抜いた暁には全員”娼館”につれてってもらえると言うごほうび付きとは!おかげで全員燃えてます!見ててください!はっはっはっはっは―――。


side end


side:ボルフィード=ウォロック


 いいぞこいつら。ヴァンガードの奴らより根性あるんじゃねーか?若ぇ頃思い出すなー。下心丸出しのえげつねぇパワーをよ!上流街の奴らはこう言うハングリーな精神がないんだよなぁ……。こう冷めてるって言うかな。こう言う奴らが絶滅してなかっただけで嬉しいぜ。

 ギルドか……悪くねぇ!!ちょくちょく弄りに来てやろう!

 問題は「娼館連れてってやる」って吹いたことだなぁ……この調子だと全員残るぞ。うーん……。ま、なんとかなるだろ!!がっはっはっはっはっは!!!―――。


side end



 すげーなぁ。とボンヤリと訓練眺めてた。あれから夕方まで動きっぱなしだ。こいつらの何が訓練へ駆り立てるのかもはや俺にはわからない。俺だったら速攻で投げ出すもの。あきれるばかりである。

 俺はどこへ向かうのか?もしかしたらすでに閉鎖された空間に閉じ込められててクリアなどできないのかもしれない。だとしたら俺はこいつらの様に必死に足掻かねばならない立場にある。頭ではわかっているのだが俺をそうさせないのは偏に”何をしても流れには逆らえない”と言う現代人特有の保守的な考えに基づいている。そう思わせるほど今居る空間はリアルに近い。

 ここはゲームだろう?そもそも俺はなんのためにここに来た?脱出するために来たわけじゃないだろう。それだとそもそもがおかしくなる。俺は……”主役”になりに来たんだ。ただ予想外にこのゲームは受身では何も進まないと言うことだ。俺から動くことをしなければダメだ!


「ボル。俺にも組み手やらせてくれ」

 なんでもいいんだ。ただ俺はこのゲームから逃げたくない。逃げた先にクリアなんてないと思うから。せめて現実では主役になれない俺とは逆を行く。


「お!なんだよ。すかしてるだけかと思ってたぜ!よーし!俺が相手してやる!」

 え。ボルと?すげー後悔してんだけど。


「カイゾウさんVSボルフィードのおっさんかよ!!」

「これは見ものだぜ!!」

「カイゾウさんの敵じゃねぇよ!」

「いや、組んだら力のあるおっさんに分があると思うね」

「んだとコラァ!!」

「賭けだあああ!」

「俺はカイゾウさんに二千!」

「おっさんに五千!!」

 まったく勝手言ってくれるぜ。まあ俺も負ける気なんてさらさらないけどな!!

 俺は気取って人差し指でボルを招いた―――。



現実の逆行を行く。それがゲーム!!


次回へのヒント:18禁(ゴメンなピュアなブラザー達)

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