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詩 彼女が絵本を読んでいる

作者: WAIai
掲載日:2026/05/25

「何の本を読んでいるの?」


俺が聞くと、彼女は少し赤くなりながら、顔をあげる。


「絵本。今、親にも人気があるんだよ」

「そうなのか? どれどれ」


覗き込んでみると、可愛いイラストに、短い文が載っている。


さあっと目を通して読んでみるが、俺でも読めそうである。


「図書館で借りたのか?」

「そう。一緒に行く?」


彼女の瞳が満天の星のように、キラキラする。

読書好きなのは知っているが、俺が借りるには、ちょっと気が引ける。


「いや、いいや。それよりも音読してくれる?」

「え? 私が?」

「そう。このほうがいい」


隣の席に座り、彼女の声を待つ。

何故か幼稚園の時を思い出す。


わくわくしていると、彼女が絵本を最初に戻す。


「恥ずかしいから、小声でもいい?」

「駄目。俺に聞こえるように読んで」

「え…」

とか言いつつ、彼女はこほん、と咳をすると、読み始める。


優しくて柔らかくて、癒やされる声。

まるでピアノの演奏を聞いているみたいだなと目を瞑る。


周りの声は聞こえなくなり、彼女の声に集中する。

緊張しているのか、つっかったりするのだが、俺のために頑張ってくれている。


「…終わり」

彼女が絵本を閉じ、俺を見てくる。紅潮した顔は、初々しさがあって可愛かった。


「ありがとう。またよろしく」

「えー。今度は、その、あなたが呼んでよ」

「俺? 俺が読むの?」


びっくりして大声になってしまった。周りの視線を感じるが、無視する。


「俺の声、狼みたいに、がらがらで良くないんだけど」

絵本にかけてそう言うと、彼女は首を横に振る。


「そんなことないよ。その、私は気に入っているし。カラオケの歌声も好きだし」

「そうか、ありがとう」


素直に礼を言うと、彼女が立ち上がる。


「やっぱり図書館に行こう。読んじゃったもの」

「分かった。俺も行く」


2人は新婚夫婦みたいに並び、教室を後にしたのだった。


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