第35話 茅野原冒険者ギルド
トムとカシム王子と合流し、祠の近くに在るダンジョンの転移魔法陣で戻る。
「本当に、ダンジョン攻略後だったのですね」
「防水だから、今度は歩き易いね」
「そうですね」
望月さんと二葉さんは、魔法陣から出ながら私の後を歩く、トムの背後に背後霊の様に居るカシム王子は情けない。
「次は真ん中のだな」
「何か一つ転移魔法陣、増えてますよ………」
「罠だと厄介だし、予定通りに真ん中の魔法陣に行くぞ」
カシム王子が、情けない顔のまま不思議そうに聞く。
「もう他は、行かないのですか?」
「三つ以外はもう行ったから、後は真ん中だけだよ」
「…………そうですか、行かないのですか…………」
何でガッカリしてるんだ?
「さてダンジョンを出るぞ」
「ですね」
何故かメルヘラ気味のキラキラ瞳のトムに、二葉さんと望月さんも期待に胸をときめく少女な雰囲気を出して、私の背後に居る。
「楽しみです」
「冒険者カード、作って貰おうね」
そしてカシム王子は、転移魔法陣を見て何か微妙な心境で言う。
「えっ? これ…………」
何を期待してたのかは知らないが、私は望月さんと二葉さんに手を何故か握られ、一緒に転移した…………何か薄暗い場所に。
*******
-茅野原冒険者ギルド-
私は看板受付嬢で名は雪恵、数日前に二つ山向こうのギルドでA級冒険者が誕生したらしいですね、私がバイトする茅野原冒険者ギルドは刊行鳥が鳴いてますよ、それはもう冒険者が私と同い年の二人しか居ませんし、たまに寄る冒険者も甲斐の国の温泉や、金山から流出した砂金で一発逆を狙う冒険者もいます、冒険者とは何なんでしょうか?
堕落エルフのギルマスは、まったく呑気にお茶を啜って日が当たる窓際で、十五歳にしか見えない容姿で、爺をしてます…………このギルドもそんなに長く無いかも知れません、まあこのギルドが寂れたのはギルマス意外にも原因が有り、私の同級生がその原因の甘い言葉に妊娠して、学生結婚したりや同級生の父親だったりとその元凶は、顔は中性的な美貌の男性ですが元は凄腕冒険者だったらしいです、今はヒモらしいですが。
「咲ちゃんも、コッチでバイトすれば私が楽しいのに、でも伊岡冒険者ギルドは忙しいらしいし、バイトでも給料が良いらしいのよね」
「…………平和じゃ」
見た目十五歳の容姿エルフ姿で、ダンディー声で無駄な爺セリフを言わないで欲しいものです。
「花札は、俺の勝ちだ!」
「チィ! また負けたぜ」
「花札以外は、負け続きだけどな」
「煩いぞ、坂東!」
「花札以外で俺に勝てよ、牛山よ」
「うっさいわ!」
相変わらずあの三馬鹿はうるさい、でも課題を片付けたりテスト勉強するには、静かで良いバイト先だ、咲ちゃんは居ないけど。
そして今日は、何時もと違う事が起きました、それはギルドの誰も居ない場所に円形が浮かび、それはまるで術法の円の様でした、そしてそれはギルマスが慌てふためきながら、身構えるにはカッコ悪いポーズでした。
「転移魔法陣、だと!?」
「「「「…………ハイ?」」」」
四人で間抜けた返事が響くのだった。
ギルマスだけは何時もと違う顔付きで、戦闘態勢に入ると同時に、私と同い年位の美人な女性を二人連れたパッとしない男性と、猫妖精様らしき方と褐色に日焼けした、異国のイケメン男性が現れたのでした………何か少し情けない、へっぴり腰でしたけど。
******
「君達は、何者かね?」
私達に向け手を翳し、戦闘態勢に入ってるダンディーな声の少年? エルフに、問われたので答える事にした、答えないと二葉さんと望月さんの安全性が無い、まあカシム王子がどうなろうが構わないし、トムが攻撃を避けられない事は無かろうし、まあ何か寂れた感じがする人気が木曾冒険者ギルドより無い、薄暗い冒険者ギルドだ、私は敵意を向けるダンディー声の、少年エルフに説明する。
「私は今、諏訪岡大迷宮の転移魔法陣から、出ただけの只の冒険者と連れが女性二名とトムだけです」
情けない声で、カシム王子が非難の言葉を言う。
「師匠、俺の名前が有りませんよ!」
「だから、カシム王子を弟子入りさせた気はない!」
「「「「「王子だと!?」」」」」
何故かカシム王子に反応する五人、そしてカシム王子の天敵の二葉さんと望月さんが、カシム王子を睨んで居た。 カシム王子はまた腰が引けてるし、何かパワーバランスが出来始めて無いだろうか? 因みにカシム王子は、この大和神国では権威を振るえないのは言うまでもない、来賓で来た訳でもないからね。
「それよりだ、おとぎ話の様なあの諏訪岡大迷宮を、攻略しただと!?」
「はい、我が旅の友トムと共に」
私が言うと、何故かどや顔で胸を張りトムは、誇らしげにダンディー声の少年エルフに言う。
「僕とマサさんに掛かれば、楽勝ですね」
「触手が無限に近く、再生するから楽勝ではなかったが………」
私は一応ダンディー声の、少年エルフに向き名乗る。
「一応木曾冒険者ギルドで、A級冒険者に三上ギルマスにされた雅史と申します」
「…………噂は本当だったか、猫妖精の恩恵でA級冒険者に飛び級した、冒険者とは君か」
まあトムが居なかったら、まだ掛かってたかも知れないし、一人で攻略した訳ではないから確かにね、まあトムは友であり息子だが、トムをダシに使った覚えはないし、稼いだお金は大抵トムの胃袋にブラックホールの様に消えてたりする。
やっと最近落ち着いて来たが、また大食いを始めたら大変だよ、トムの食事量を作るのが。
「違いますよ、僕は旅の友であり二人で倒した功績を、変なケチを付けるのは良くないですよ」
「………トムがマトモな事を言ったぞ、私はトムの成長に感動だ…………」
私の感動に、ダンディー声の少年エルフは何か言いたげだ。
「僕、そんなに成長したかな?」
能天気に言うトムと、何でトムを崇めてる様に接してるのか分からない、二葉さんと望月さんは現地人の行動に、何か違和感を覚えた様だ。
「猫妖精様が居るし、貴方は勇者なの?」
黒髪美人の受付嬢が言うので、毎度お馴染みの台詞を言う。
「いいえ、私は(異世界から来た)普通の冒険者です」
「そうだよ、僕らは普通の冒険者だよ(たぶん)」
「………異世界勇者様や、英雄様ではないんだ…………ガッカリ」
本当に解り易くガッカリしてるよ、まったくこの惑星の現地人は異世界人に夢を見すぎだよ、特にトムを見ればやれ異世界勇者や、やれ異世界英雄と決め付けるからな。
「一応証拠の、冒険者カードです」
「…………確かに、本当に異世界人ではない様だ………」
因みに冒険者カード作る予定の、二葉さんと望月さんにも異世界人バレ対策はしてるよ、しないと何されるか分からないからね、転生者で信頼出来る人には情報開示はするが、私以外はする気はない………シャロさん達にも異世界人と、言う気はない。
「まあ良かろう、だが一応報告は義務じゃ………代官所まで付き合ってくれ、この諏訪岡にも大変な利益を与えるからな」
だが私はその前に、やるべき事を終わらせたい。
「その前に、魔物の素材の引き取りと、私の連れの二人に冒険者カードを作って戴きたい」
「良かろう、先に済ませよう………それでは猫妖精様も、ランク上げをして貰おうか、王子は…………カードは要らなそうだな」
何故かカシム王子は、眼中に無いギルマスらしい。
「名乗り忘れたな」
一呼吸置き、ラフな抹茶色の作務衣姿の少年エルフが、ダンディーな声で薄暗い冒険者ギルドで自己紹介を始めた。
「私は茅野原冒険者ギルドのギルドマスター、名を水瀬幸也と申す」
「………え″っ!? (エルフなのに、日本人な名前だと!)」
「エ″ッ!? (エルフですよね?)」
「エェッ!? (エルフさんですよね?)」
何故か回りは頷いてはない、どうやら普通に大和神国にはエルフが居るらしい。
「まあ、私達と同じ名字とか持つエルフて、普通は聖樹か余り人里に居ないからたまに、同じ反応するのを見るとまったく新鮮味がないですね」
「酷いな、雪恵ちゃん」
「本当の事です」
同じ反応ばかりで飽きてただけかよ、それにしてもこのギルマス何歳何だろうか?
「因みにこの、子供の皮を被ったオジサンエルフは、今年で二百五十歳を越えたらしいですよ」
「コラコラ、私の年齢を教えてはダメだよ」
見た目騙された、ショタ爺かよ!
「…………(見た目に騙された)」
「見た目詐欺ですね」
「望月さん、口に出てるよ」
「………あっ!?」
何故かあたふたしてから、望月さんは私の背後に逃げかくれた、なんでやねん。
「酷いな、見た目詐欺とは」
男性ギルド職員が、同時に言う。
「「「事実だと思いますよ、ギルマス」」」
「私に味方は居ないのか!」
どうやらこのギルマスに、味方は居ないらしくガックシと膝を着くが、確かに見た目ショタな中身は爺だからな、私より遥かにね。
そして立ち直った水瀬ギルマスは、男性職員に命令を下した、やや自棄糞に。
「牛山君は、代官所に宮沢代官様を連れて来たまえ」
「ハイ!」
「宮坂君は、城まで行き守矢様に今回の事を言って、此方に来て貰う様に」
「………それ、ギルマスの役目では?」
「うるさい、私はこの先忙しく成るから、行けぇ~!!」
半狂乱で叫ぶ水瀬ギルマス、半狂乱のショタエルフ姿に皆ドン引きしたのは言うまでもない。
「では、大迷宮で手に入れた魔物を、見せて貰えるかね?」
私は少し引き気味に、水瀬ギルマスに強張った顔で答えた。
「一部もう食べてしまってますが、出せる場所に案内をお願いします」
「………食用の魔物が居たのか………」
「イカのゲソ、美味かったよ」
トムがどや顔でそう言うと、水瀬ギルマスの目が光る。
「清酒の肴に良さそうだな」
「この見た目ショタエルフ、呑兵衛だな」
「私は呑兵衛ではない、美味いさけと酒に合う肴がこよなく好きなだけだ、だが昼からは飲まないぞちゃんと夜に飲んでるぞ」
何か弁解を後半してたが、昔は昼からでも飲んでた可能性が高いなコレ。
「それでは奥に行こう、坂東君は雪恵ちゃんとお嬢さん達の冒険者カードを作りたまえ」
「了解です」
「私が案内しますね」
「宜しくお願いしますね、雪恵さん」
「宜しくお願いします、雪恵さん」
「私が手続きの仕方を、教えるね」
二葉さんと望月さんは、雪恵さんに連れられてギルドの奥に向かった、二人にはダンジョンで少し経験して貰おう、近くに違う入り口が在るらしいし、大迷宮に行かずに途中で戻れば良いし。
トムに二葉さん達の付き添いを頼んだ、私は水瀬ギルマスと何故か興味津々なカシム王子と、魔物素材を出せる場所に向かった。
「解体職人は客が居ないと、休職状態でな………今は家で酒でも呷ってるだろう」
「仕事無いにも、程があるでしょう」
「私に言われても、困るがね」
私は指定されたテーブルに、迷宮蟹や水棲薔薇に迷宮鮟鱇や、アンデッドのドロップ装備等を出した。
「───また、えらい量だな、コレは…………」
呆れて声が出ないて顔で、私を見ないでくれないかね。
「本当に攻略したんですね」
感心した声で、影豹の毛皮を手にして目を輝かせてるが、それ接近戦で倒せる様な数ではなかったから、魔法無ければゾッとするよ。
「なかなか高級な、珍しい魔物の毛皮だ………資料でしか見ない代物だな」
「そんな珍しい物とは、流石師匠」
「魔法で倒したから、無傷に近いはずだよ、あと私は王子を弟子にしてはない、トムと手合わせすらしてないしね」
「くっ!!」
何が「くっ!!」かは知らんが、悔しそうに天井を見ても何も変わらんよ。
「この大王カエルは、肉が鶏肉よりも旨味が強くて、唐揚げか竜田揚げにすると酒が進むんだ…………ゴクリ」
ゴクリじゃあねぇーよ! この、呑兵衛エルフ!!
「赤黒カエルは、毒を取り除けば其なりにモモ肉が美味い、皮膚と体液等が毒以外はな」
「剣で倒し難そうな、モンスターですね………」
因みに何故カシム王子と、全員が会話が成立してるかは、一応翻訳アイテムを常時持ってるかららしいし、因みに二葉さんと望月さんはスキルは無いが、何となく言葉が日本語に聞こえるらしい。
「大王イカのゲソは、トムが一部焼いて食べてます」
「………普通、ヌメリとか取ってから食わないかね?」
もっともな事を言われたが、海水で洗って焼けば大丈夫だと思うよ、トム限定でだけど。
「まあ、酢漬けにした蛸足とか、麦酒に合うんだよなぁ~」
「醤油で、炙り焼きにしたらどうですか?」
「それだ!」
それだ! ではないよ、まあ醤油で炙り焼きにと言った私もアレだが、まあトムにはイカ焼きをその内食べさせよう、あの妖怪達にも振る舞おう。
古代魚は流石に、水瀬ギルマスが腰を抜かした………鮫に近い魔物だったからかな?
「良く解体出来てるな、してないのは仕舞ってくれ」
「見本なのに………」
一応古代魚のエーテル魔石は提出した、カシム王子が興味津々にエーテル魔石を見てたが、君には倒すのは無理だよ………カシム王子が今持つ、武器があの古代魚には通用しないから。
「コレは、殿に買い取って貰うか、商業ギルドに吹っ掛けて売らないと、当ギルドでは買い取れない品々だな、この古い防具や武器は買い取れるが、流石に珍しい魔物素材はな…………」
そして暫く、鑑定をして貰ったりダンジョンの入り口や、スキルでマッピングした一部をしれっとクレアに頼み、余り不自然でない仕様で作ったのを、水瀬ギルマスに渡した。
「なかなか微妙に、字が汚いな」
「うっさいわ!」
因みに、少しマトモな字ですが何か?
一応マーカー等は省いてるが、魔物が何処で何が出たか情報は少し出してる、和風のミノタンの情報もだ………まあ、大迷宮に行ける冒険者がこの先居ればの話だが。
「ボスにミノタウロスか、それが最初の試練て訳だな」
「あのダンジョンのですね、それに大迷宮はその後に控えるダンジョンて感じですね」
「なるほど…………それでは、大社付近の代官まで説明を受けないとな」
「まだ増えるのかよ!」
私はうんざりしながら待つと、二葉さんと望月さんの冒険者登録と、冒険者カードを嬉しそうに見せてくれたが、ランクアップや期限の事を聞くとげんなりする二人だった。
「まあ、まだ大迷宮に行く入り口在るかもだし、そこでランク上げの冒険すれば良いよ、私とトムがバックアップするし………まあ、カシム王子は放置で」
「何でですか!」
トムと私が顔を見合せ、めんどくさい顔を隠さず出しながら同時に言った。
「めんどくさいし、仲間ではないから」
「めんどくさいから」
カシム王子は膝を付き、床を拳で叩きながらグチグチと何か文句を言ってたが、同行は許したが私達がカシム王子のバックアップをするとは、まったく言った覚えはない。
こうして暫く偉い人を、待つ事に成ったのだった。
次回に続く。
高貴なL様∶次回はどうなの?
作者∶あの食いしん坊姫の、父上登場かな。
高貴なL様∶食いしん坊姫て、始めて読む人には分からないわよ。
作者∶まあ、その内登場するから大丈夫だよ。
高貴なL様∶撫子姫て、結構誘拐されそうでされないわよね。
作者∶お見合いで、ガチ食いしてお見合い破談させる最強姫だしな。
高貴なL様∶そんな設定だったんだ。
作者∶でないと、三大美人姫なのに何故に嫁ぎ先が無いのか不自然でしょうに。
高貴なL様∶確かにね。
作者∶因みに尾張名古屋の雪姫と、秋川の小町姫を合わせて三大大和神国美人姫ですが、三大美人姫の嫁ぎ先は現在の所在りません。
高貴なL様∶まあ、撫子姫と雪姫は物語に絡むキャラだからね、小町姫はまったく前シリーズにも出なかったわね。
作者∶忘れて、出さなかっただけです。
高貴なL様∶やれやれ。
作者∶それではお時間です、ではまた来週。
高貴なL様∶バイバイ、またね。




