にゃん太
にゃん太。
猫人族の凄腕剣士。
名前は風の噂で耳にしたことがある。でも、まさか等身大にゃんこだと思わなかった。猫耳がついてる獣人だと思っていた。
箸の持ち方も丁寧で、スプーンフォークの持ち方も丁寧で紳士的だ。
「おにゃか一杯にゃ。ご馳走さまだにゃ」
「お粗末様」
食器を片付けて紅茶を出す。
「いい香りだにゃ」
飲む姿も紳士的だ。
「ところで、にゃん太さんは、色んな処に旅をしていたのでしょ?俺達はあまり出歩かないから色々話を聞きたいのだ。良いだろうか?」
「そうか。そうか。ロート達は出歩かないのか。それなら吾輩が色んな話をしよう。例えば都市伝説とされているトヨハシの話は知っているかにゃ?」
「トヨハシは旅人を恐怖に陥れる町だろう?違うのか?」
「うむ。聞いた話だと突然止まっていた時間が動き出すとか。手当てしてもらったとか色々あるにゃ。吾輩が気になったのは、色んな処で囁かれている事だにゃ。トヨハシは何もない処とか、田舎もんがいる処とかいわれているが、隠したる真実が出てない気がするにゃ。例えば、誰かを待っているとか………にゃ。」
「「「「誰かを待っている?」」」」
「そうだにゃ。自分の遺伝子を持っている人に合うためとかにゃ」
にゃん太の瞳にジルとホムラの顔が写る。
「にゃん太さん?」
「吾輩もまだトヨハシに招待されてないにゃ」
「行きたいのか?」
「ロート達は行きたくないにゃ?」
「分からん。分からんが、今はまだ行きたくない。」
「ジル………」
「そんなにしんみりしないで、クッキーを焼いたよ」
ホムラがお皿一杯のクッキーを焼いてきた。
「まぁ、焦げてるのもあるけど、味は保証するよ」
テーブルの真ん中に置いてホムラはジルの隣に座った。
「ありがとうにゃ。」
紅茶にクッキー。季節外れの茶会だ。
にゃん太はクッキーを一枚食べると「美味しいにゃ」と次から次へと手が止まらない。
ホムラがにゃん太を見てジルに軽くウインクして紅茶を注ぐ。
ジルもどこか肩に力が入っていたのかいつもと同じホムラ、ロート、ネロの顔を見て安堵したのか軽くため息をついた。




