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始姐とジェラルド

………始姐族。


………世界を混沌な時代にした種族。


………稀人の慣れ損ないを消滅させる事が出来る種族。


………そして世界を救った種族。


始姐が行く処に必ずいる右腕的な存在、ジェラルド。

それから彼女の手足になって動く、5人の男性。

彼らは、個々ではあまり名乗らず。

必ず『新撰組』と言う。


それでも始姐族の力の前では、無力。

どんなに願っても、どんなに努力しても、始姐族は、息をするように瞬く間に遠くの方に行ってしまう。

それでも彼らは、どんなに金を積まれても、どんなに綺麗な女を紹介されても始姐族から離れなかった。


始姐族と言っても、最後の1人。

昔は、大勢いた。


彼らは繁殖能力が低かった。

狙われたのは、その技術。


そして、次に狙われたのは、始姐族本人達だった。


首を絞められ、気絶したら服を脱がして性欲の捌け口にした。


始姐族は呪いながら1人、また1人と死んで、残ったのが、彼女だった。


呪いを1人で受け止めて、彼女は成長しなくなりやがて強大な力を手に入れた。


異世界の情報を手に入れて、戦艦大和、武蔵の主砲を魔法で作り世界を混沌な時代に導いた。


人間が、やって来た事を更に凶悪にして返す。


だけど彼女の心は満たされなかった。


1人の奴隷が、奴隷商人の目を盗んで始姐の森に入って来た。


彼の名前?


そんなの彼にはなかった。


いつも「おい」や「お前」と呼ばれ、食事も満足に与えられない。


奴隷商人の気分が悪いと殴る、蹴る、鞭を振るう、剣で切りつけるなどの行為をされてきた。


動けなくなるまで彼は走り、始姐の森の奥に逃げ込んだ。


目が覚めると辺りは、清潔感のある部屋にいた。

しゃべる事も出来ず布団にくるまり警戒する。

手負いの獣の様だった。


それでも始姐は、何もしなかった。

ただ、盗み食いをして泡吹いて倒れている彼を見つけても、彼を跨いで何もなかった様にすごす。


変化があったのは彼の方だ。

たどたどしい言葉で、「何で何も言わないの?」と聞いても始姐は「?」だった。

言葉が全く違った。

始姐は、古代語。

彼は、共通語。


彼は必死で古代語を覚え、始姐と話をした。


自分が奴隷だった事。

ここに住ませて欲しい事。

始姐からの要求は家事全般だった。

それから何十年と月日が過ぎて、彼はジェラルドと言う名前をもらった。

そこから更に年月がたち、始姐とジェラルドは姿を消した。


稀人の慣れ損ないを倒さず、結晶化して今の世界に残した。


ある組織はその結晶をあるドラッグに混ぜて販売。

飲むと頭がクリヤして身体が軽くなるまで感じがする。


瞬く間に王都で人気になり、自警察の男も飲んでいた。

そして、蓄積された物が表に出て来た。

黒いブヨブヨの物体として


◇◇◇◇◇


「何かやりようが有るか?」

「無理ですね。それこそ強力な力がいります。」

「手立て無しか………」

ジルが苦い顔をした。

「ジル。読んでる本に解決方法は載ってなかったのか?」

「無いな。その始姐とやらは本当にいないのか?」

「死んだとは聞いて無い!」

八方塞がりでジル、ホムラ、ロート、ネロは、悔しげに黒いブヨブヨした物体を見ていた。

「始姐様とジェラルドさん?」

誰かが呟いた言葉は、ロートとネロの耳に届いていた。

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