電報
ホテルを後にした、ジル、ホムラ、ロート、ネロ。
一応、フロントの人に伝えたが、「はぁ?。面倒な事言って来ないでくれる?。暇じゃ無いのよ」と言わんばかりの顔をした女性に詳細を伝えるのをやめた4人は、無言で出て行った。
後の事?
そんなの知らんがな。
話を蹴ったのはフロントの女だ。
後は、その女がやってくれるだろう。
出来るから話を折ったんだ。
………多分。
僕達は、そう判断して、ホテルを出た。
僕達が帰った後、大変な事があった。
観音開きの取ってに木剣を差し込んでいた。
理由は、言わなくても分かるでしょ?
その閉じ込めていた人がいる観音開きの木剣を抜いたんだ。
そしたら、糞尿で壁は汚く、掃除のおばさんの悲鳴が響いたよ。
慌てて仲間が来て見たら凄い事になっていて、男の人は縮こまって動こうとしない。
掃除のおばさんは「ふぅ」とため息ついて仲間の方に話に行ったよ。
その間にも自警の男は小刻みに震えていて、雄叫びを上げていたが、背中がブクブクと体内で泡が立つ見たいになり、コートは背中から破け、スーツもワイシャツもネクタイが破けて、尚も背中は、ブクブクと動き、大きくふくらんで伸びきった皮膚に一つの光の筋が皮膚を貫き、皮膚が破けて、中から黒いブヨブヨとしたものが動き出した。
動きは早くないが、ゆっくりだが、身体の至る所が大きくなり自警の男の意識は完全に今はないだろう。
太くなった足で歩き、黒い触手で手当たり次第、人間を補食して行く。
王都は大混乱。
迂闊に近付けられないので大砲の玉を飛ばす位。
一応試したが、大砲の玉より有効なのは、魔法攻撃だった。
この騒動が、ジル、ホムラ、ロート、ネロの耳に入った時は1ヶ月後だった。
もう家に帰ってるし、フロント係の女には言ったし、僕達は関係無い………と、結論が出て、ジル、ホムラ、ロート、ネロは一歩も家から出なかった。
出なかったでは無く、出ちゃ行けないと虫の知らせを受け取っていたのだ。
ジル達を追い払ったフロント係の女は、触手に顔半分と腕と足に巻き付かれていたが、何とか助け出したのも、顔と足、腕は爛れてしまい、まともに瞼が開かなかった。そもそも溶けた皮膚が垂れ下がり瞼を押して開かくなったのだ。腕も足も動かなくなった。
自慢だったフロントの女性は、ショックを隠せないでいたが、落ちてる包丁を見つけて、黒いブヨブヨの触手を出てない前の方に向かって心臓目掛けて包丁を刺した。
だが、そんなもんでも簡単に死なない。
刺した包丁の隙間から黒いブヨブヨとした触手か出て来て、フロントの女は黒色の触手が腕や身体に巻き付き火傷をおった。
美しかった姿は何処にも無く、ジワジワと燃えて、気が付いた時には真っ黒の姿になってボロボロに崩れた。
冒険者ギルドには、SやAクラスの冒険者がいる。
ジル、ホムラ、ロート、ネロは最強と言われてるが、彼らのランクは、Bだ。
Bだから、それに今は、隠居している。
たまに冒険者として依頼を受けるが、簡単な依頼(他の冒険者が受けたがらない依頼)を受ける。
しかも不定期に来るから来た時に面白い依頼があれば受けてくれる確率がすこーし上がる位だ。
どうやって決めるか分かりません。
ただ、無言で依頼書を指で指すぐらい。
気付けば私達、受付嬢や受付係の人は、ジルさん、ホムラさん、ロートさん、ネロさんの声もあまり聞いた事が有りません。
依頼書を受付に出す時もジルさん、ホムラさん、ロートさん、ネロさん、皆揃って「ん」の一言。
何ですか「ん」って?
話したくないなら筆談でもいいじゃない?
ああ、駄目だ。紙は貴重よ。
「何、現実逃避してんの?!早く彼らに連絡取ってよ!!」
「知りませんよ!AやSランクの冒険者は何処ですか?」
「逃げました!」
とんでもない発言が飛び掛かっている。
「「「逃げてない!。逃げてない!。」」」
直ぐに訂正を入れる受付係。
AやSクラスの冒険者は今、出払ってる。
直ぐに王都に来る事は出来ないだろう。
Bクラスもいるが腰が引けていて使い物にならない。
「仕方がない彼らに出てもらうか?」
「絶対に嫌がる」
「何とかお願いして」
「強制的に出てもらおう!」
「悪手だ!!」
冒険者ギルド内に飛び交う声。
「うるさーい。全員落ち着け!!」
ギルドマスターの大きな一言に静まる冒険者ギルド。
「状況説明!」
ギルドマスターの声にギルドが落ち着きを取り戻しギルドマスターに説明をする。
「ジル。王都で大変な事が起こったよ」
ニヤニヤ笑うネロ。
「そうか。」
興味が無いジル。
「ジルに言っても無駄ですよ。ネロ。」
ホムラが笑いながら人数分の珈琲を作っている。
「そうそう。何故かジルはそう言うのに興味が無いんだ」
アルミ缶の中に抱えていた氷柱を入れてナイフで小さく砕き蓋をする。
マジックバックから黒パンを取り出してお皿に載せる。
魔石冷蔵庫からマーマレードを取り出してテーブルの上に置いて引き出しからスプーンを持って来た。
深皿にコーンスープを注ぐ、お代わりは自由だ。
鍋いっぱいに作った。
朝の人気な料理の一つ。
朝の食卓に出すと、朝食の始まりだ。
「今日は、黒パンにコーンスープ、マーマレードは使いたい人が使って、卵ぐじゃぐじゃの奴と」
「スクランブルエッグな」
つかさず、訂正を入れるジル。
「そう、そう、それとベーコンとポテサラだよ」
ネロが、テーブルの上の食事の名前を言う。
スクランブルエッグが中々覚えられなかったネロは、ジルに「卵ぐじゃぐじゃの奴」と言ったらそのまま覚えてしまった。
朝はできるだけ食べる様にしている。
玄関からカモメ新聞を取り、朝食を食べながらジルは、新聞を読む。
「ジル?」
ホムラが言うとジルは、
「ああ」
と答えて新聞をたたみテーブルの上に置いて、朝食を食べる。
相変わらず硬い黒パンを食べながらコーンスープを飲んで、スクランブルエッグを食べてベーコンとポテサラを食べる。
「旨いな」
変わらない味。
いつもと同じ食事。
飽きるが誰も何も言わない。
同じ物を食べる。
それがいつもの始まりだ。
朝食が終わり、食器を洗い、一休みしていると扉がドンドンと音を立てて
「電報です」
と声がジル、ホムラ、ロート、ネロの耳に届いた。
ジルが扉まで行き、開けて電報を受け取る。
「王都の冒険者ギルド?」
ジルの言葉にホムラ、ロート、ネロは嫌な顔をした。
何故なら、この家を知っているかもしれないからだ。
「中を確認しましょう」
ホムラの言葉で電報を開けるジル。
『王都にモンスター有り。討伐依頼。至急。』
ロートが読み上げる。
全員が黙る。
視線で「どうする?」と語り合うジル、ホムラ、ロート、ネロ。
「王都の民を助けたい人、挙手して」
誰も手を上げない。
「王都の民を助けたく無い人、挙手して」
ジル、ホムラ、ロート、が手を上げた。
「ネロは、どっちなのですか?」
うん。笑顔が怖い。
「俺は、助けるが、条件付きにする。」
「例えば?」
「必要以外に家に押し掛けない。電報も必要以外に送らない。報酬は、たんまり貰う。他は、まだわからないけど」
ジル、ホムラ、ロートは「成る程」と顔をする。
ネロ以外の全員は、頭にすら思い付かなかった。
ネロは、こう言う時に頭が、回る。ジル、ホムラ、ロートが、気付かない事だけど、ネロは、気付く。
「こうしよう。家に来ない。依頼の報酬はたんまり貰う。こちらは、隠居。だからお金はいくら有ってもいい。」
ジルが、腕を組んで言う。
「電報で詳細まで知らせてくれれば尚いいですね。」
ホムラは、テーブルの上に肘をのせて言う。
「そりゃ、無理だろ。300文字までで、銀貨1枚と銅貨5枚する。詳細は遅れんだろう」
ロートが電報の文字数と値段を言う。
「凄いなー」
ポツリと呟いたネロをジル、ホムラ、ロートは、「何言ってんだ?ネロの方が凄いぞ」と顔をした。




