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魔法の恐ろしい使い方

「動き出しましたね。始姐。」

「そうだね。ジェラルド。」

「歳三、斎藤、山崎、原田、新八、沖田が、探し始めましたよ。」

「そうか」

「良いのですか?」

「いいよ。ジェラルドも自由になって良いんだよ」

「僕は始姐と共にいます。支配の契約が無くなっても僕は、始姐と共にいます。」

「………ありがとう」

「ですからまた、1人で居なくならないで下さい。」

「分かった」

「本当に分かってます?」

「分かった。分かった。では、家に帰ろう」

「はい。それと、もう一度支配の契約をしてください」

「………考えておく」

「駄目です。絶対にしてください」

「分かった。」

「フフフ」

「今度こそ本当に帰ろう」

「はい!」

始姐とジェラルドは手を繋いで夜空に溶ける様に静かに消えた。




◇◇◇◇◇




「悪いな、朝早くから」

部屋の前に立って煙草を口に咥えたまま刑事の男は言った。

朝の5時頃から呼び鈴の連打で、我慢出来なかった寝起きのホムラが、フロントに電話。

「はい。フロントです。」

「うるせーんだよ。朝早くから呼び鈴の連打。早く連打している人間を捕まえろ!」

「申し訳ございません。お客様のお部屋番号を………」

話の途中で電話をガチャ切して寝直すホムラ。

ジルはロートの胸に顔を埋めて眠っている。

ジル達が起きないのは『サイレント』の魔法。

外の音を遮断してくれる、有難い魔法だ。

気持ち良さそうに寝ているロートの顔を見て、ホムラは、羨ましいと思った。

ホムラはジルが寝ているベットに移動して、がら空きの背中に張り付いてお腹に腕を回して、ホムラは目を閉じた。

一定のリズムで動く心音。

たまに恐怖を感じる時がある。

ジルが何処かに行って帰って来ない感じがするのだ。

ジルは、基本何でも出来る。

だからか、ある日、突然姿を消して帰って来ないんじゃないかと思う。

前、ロートとネロに話したら「我も感じていた」「俺も何となく感じていたから、馬鹿なふりをして困らせていた」と………。

抱き寄せる様にジルの背中に腕を回しているロート。

僕も不安を消す様にジルのお腹に回した腕に力が入った。

「う~ん………」

圧迫しすぎか?腕の力を抜き、また規則正しい寝息を立てて眠るジル。

サイレント魔法のお陰で僕も音がしなくなり安眠出来ます。


「うっせーなぁ~」

寝起きと寝相(ねぞう)が超悪いネロ。

ベットから上半身が落ちて足だけベットにのっている。

鳴り響く呼び鈴の音にボサボサの髪。頭をボリボリ掻きながらで玄関に向かって行くネロ。

扉の前に覗き穴から覗いて茶色いコートを着た男が1人。

まるでル○ン○世の銭○警部のコートと形が同じ色だ。

覗き穴から確認して蓋を閉じて2、3歩下がりネロは言った。

「うるせ~なぁ~~~。何の用だ?」

「警察だ。ここを開けてもらえんか?」

「警察~?………って何だ?旨いのか?」

「警察を知らんのか?」

「知らねぇ~」

大あくびをしながらも答えるネロ。

「取り敢えず、ここを開けてくれんか?」

「嫌~。もう寝る。起こすな。」

そう言ってネロは、部屋の奥に帰って行った。


それから、午前10:30頃、ジル、ホムラ、ロート、ネロが起きた。


「………って事があったんだ。」

ネロは朝の出来事をロートに話す。

2人は朝の朝食をホテルのレストランでは無く部屋で食べる為にフロントに電話してご飯を持ってきて貰っている。

「警察?………何だそれは?旨いのか?」

ロートは、ネロと全く同じ事を言う。

ロートもネロも警察の事を知らなかった。

「あ~、それは、自警察だね。」

髪を拭きながらジルが言った。

朝風呂で身体から湯気が出ている。装備服の前が開いて白銀髪が胸にくっついている。

「自警察って何ですか?」

「「自警察って何だ?」」

ホムラ、ロート、ネロは自警察の事を知らなかった。

ジルは、『始姐様と僕』に載っていた自警察の事を話す。

たまたま、本に載っていたから知っているだけで、ジルも本当は、良く分かってない。

ソファーに座りトーストを一口食べて咀嚼してからお水を飲んだ。

そして話始める。

「普通、警察は2コ1なんだ。それは分かるよね?。」

頷くホムラ、ロート。

だが、1人だけ難しい顔をしている人がいる。

ネロだ。

ネロだけが難しい顔をしている。

「彼奴は1人だったぞ?」

「それは自警察だから」

「?」

「普通の警察は2人で1組で行動をするから2コ1と言うの。そこまでは分かるよね?」

「うん。」

珍しく、優しく分かりやすく喋るジル。

「自警察って言うのは、全て1人で行動する警察なの。」

「何で、1人何だ?」

「それは俺にも分からない。ただ、この本を書いたジェラルドさんは、根っからの自警察が大っ嫌いって事は分かる。横暴な態度で、暴力暴言は当たり前。わざと頭に血の上らせて殴って来たら公務妨害で逮捕。逮捕したらやりたい放題で問題が発生して自警察は自粛しているとか」

「何年前の話?」

「今から1000年前の話。その時は、騎士と自警と呼ばれていたそうだよ。」

「「「自警?」」」

「自警察になる前の大元が自警だよ。警察の形を作ったのが新撰組って書いてあった。」

「「「新撰組って?」」」

「分からん」

「ジルなのに分からないの~」

ネロが茶化す

「1000年前の事何て知ってる訳無いじゃない! ならネロは知ってるのか?そんな事言うなら知っているよね!」

「ジ、ジル!」

珍しくジルが、感情的になっているのでホムラ、ロート、ネロはびっくりする。

しかも、そんな時に呼び鈴の連打にイライラが隠せないジルは、

「じゃかまし!取り込み中じゃー!!」

と扉に向かって怒鳴った。

ピタッと止まる呼び鈴の音。

去る気配は消えないので扉の前に立ったままでいるだろう。

「で、言いたい事は?」

「………ごめんなさい」

ネロは小さい声でボソボソと言う。

「聞こえん。何て言った?」

半目でジロリと見てるジルにネロは大きな声で、

「ごめんなさい!」

と謝った。

ジルはネロの頭に手をポンとのせてグシャグシャとなぜた。

そして装備服を着込んでソファーに座りパンと冷たくなったスープを食べる。

ホムラ、ロート、ネロも朝食を食べた。

お腹はまだ空いてる4人は背凭れに背中を預けて天井を見てた。

「(呼び鈴を連打している人、どうする?)」

「(どうしようか?)」

「(無視は駄目だね。)」

「(殴って気絶させるのはどうかな?)」

念話で話合うジル、ホムラ、ロート、ネロ。

「(とりあえず、たまごサンドが食べたい。追加したいがどうする?ホムラ、ロート、ネロは食べる?)」

「(食べます)」

「(食べる)」

「(ガッツリ食べる)」

「(じゃ、俺とホムラで1皿で、ロートとネロは1皿づつでいいか?)」

「(オケー)」

「(頼む)」

「(やった~)」

ジルは、電話で食事と飲み物の追加注文をした。


それから15分後、カートに載って来たたまごサンドやって来た。

扉を叩く。

ホムラがボーイを部屋の中に入れて、たまごサンドと飲み物を受け取り、食べ終わったお皿をカートに載せてを持って帰った。

「ホムラ、ロート、ネロ食べよう」

「はい」

「オー」

「やった~」

「「「「頂きま~す」」」」

たまごサンドを食べて始めるジルが念話で、

「(分かってる?)」

「(はい)」

「(ネズミが、入って来た)」

「(見つけたら殺していい?)」

「(分かるのか?)」

「(片っ端から部屋を見ますか?)」

「(面倒だよ。餓死しにすれば)」

「(じゃ、追い詰めないと行けないね)」

「(今は入口にある棚だね)」

「(木剣有ったよね?)」

「(はい)」

ネロが木剣を渡し、ロートが観音開きの取ってと取っての隙間に閂の様に木剣を挿しこんだ

「(はい。終わり)」

改めてジル、ホムラ、ロート、ネロはたまごサンドを食べた。


自警察の男は、ゆっくりと扉を押すが、開かない。

(ん?)

今度は壁に足の裏を付けて背中で押し開ける。

が、開かない。

(ん?)

少し物音を立てるが、気付かない。

最後に扉をドンドンと叩くが、誰も来ないし、足音すらしない。

それもそのはず、ジルの魔法『サイレント』を使っているのだ。

だからジル達には、全く聞こえない。

どんなに騒ごうか、暴れても聞こえないのだ。

魔法の恐ろしい使い方だ。

ちなみに発案者は、ジルだ。

初めに聞いたホムラ、ロート、ネロは、大笑いである。

何処か頭のネジが吹っ飛んでるジル、ホムラ、ロート、ネロである。


それからジル、ホムラ、ロート、ネロは話ながらたまごサンドを食べている。

「う~ん、美味しい。たまごサンド」

頬に手を添えて嬉しそうに言うホムラ。

カラシマヨでピリッと来るのがアクセントでジル、ホムラ、ロート、ネロはペロリとたいらげた。


「さて、お腹もいっぱいになったから………」

ジルが神妙な顔で言葉を出しホムラ、ロート、ネロは、ゴクリと喉を鳴らした。

「もう一眠りするか?」

あっけらかんと言い、「さっきまでの神妙な顔はどうした?」とホムラ、ロート、ネロは喉まででかかった言葉を飲み込んだ。

音はしないが、観音開きの扉が少し動くのを見たジルは、ボソボソと何かの言葉を言ってパチンと指を鳴らしてやると木剣が強化され密度が高まった。

「もし、出て来たら生け捕りにしろ。腕や脚の骨の1本や2本や3本や4本や5本や6本位折れても構わん」

「ジル。人間の身体は手足合わせて4本しか有りません。」

さらりと突っ込みを入れるホムラだった。

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