動き出した時間
ミトばぁと双子に別れを告げてホテルに向かって歩き出すジル、ホムラ、ロート、ネロ。
屋台で焼かれてる食べ物の匂いにフラフラと足が向かいそうになるのを止めるジルとホムラ。
盛大な腹の虫を鳴らして、結局喫茶店茶々に入ったジル、ホムラ、ロート、ネロ。
席に付いてジルとホムラは、紅茶。ロートは、コーヒー。ネロはアイスが乗ったクリームソーダを頼み談笑をしている。
先程のホムラのイライラは無くなっていた。
「処でホムラ」
「なーに?」
「彼奴らがいた時はずっとイライラしてたじゃん、今はイライラは治ったみたいだね」
とネロがスプーンでアイスを掬いながら言う。
「確かに」
「今はいつものホムラだ」
ジルもロートも言う。
バレて無いと思ってたの自分だけですか?
「だって、」
「双子とミトばぁの事だろ?」
「はい。」
頷くホムラ。
ジルが紅茶を一口飲んで話出す。
「ミトばぁもあの双子も生きている人間じゃないからな」
「死んだ事すら分からない死人」
コーヒーを飲んでロートは言った。
そうなのだ。
ミトばぁと双子はこの世に生きていない死人。
同じ時間軸を生きてるだけ。
じゃライトは?
執事ライトは、ミトばぁが死んでいる事を知らない。
だって、ライトはミトとの最後の会話から20日後に死んでいるからだ。
もっと生きていたかったと言う強い思いによってこの世に残っただけの存在。
だからアクションをおこした。
変わらない日常にジル、ホムラ、ロート、ネロの4人で変化を起こしたのだ。
実は、これは、冒険者ギルドに貼られていた依頼書の内の1つ
依頼書
住み着いてる幽霊?を何とかしてほしい!
物理攻撃不可
魔法攻撃不可
言葉は可
寒い所で防寒対策
報酬 金貨40枚
もう何でも構わないんです。
あの幽霊?を退治して下さい。
後、見える人募集
「見えないのに、見えてるふりするの面倒だった。」
ネロがクリームソーダをストローで飲んでいる。
「確かに、後めっちゃ寒かった。暖かい紅茶が身に染みる」
ジルがカップを手で包んでほぅっと息を吐き出す。
「そういえば、ネロは、ミートスパゲティを食べていたじゃん、美味しかった?」
ホムラが思い出した様に言う。
「温かく無かった」
ジル、ホムラ、ロートは冷えてしまったミートスパゲティを想像して「うわ~」とついつい声が出る。
「お待たせ致しました。ご注文のクリームパイです」
店員がカップの上にパイ生地がのって焼かれた具沢山のクリームパイをネロの前に置いた。
「いつ頼んだ?」
「さっき」
「どこで?」
「トイレに行く為に席を外した時」
ジルとホムラの質問にネロが答える。
「我の分は無しか?」
「うん。」
ロートの質問にクリームパイのパイを割りながら答えるネロ。
割れたパイからクリームが顔を覗かせる。
キノコたっぷりのクリームパイ。
この店の1番人気商品だ。
キノコたっぷりクリームパイを食べきったネロは、六折りナプキンで口を拭いてクリームソーダを胃に流し込む。
「あ~、食べた。食べた。」
「ロートは食べないのか?」
「我はいい。」
「そうか、ホムラはミネストローネを食べるか?」
「食べます。」
ジルとホムラは店員を呼びミネストローネを2つ頼んだ。
◇◇◇◇
その頃、ミトばぁと双子はライトが来た話をした。
「………と言う訳で、出掛けなくてはならないのだよ。一緒に来るかい?」
「「行く~」」
双子は元気良く返事をしてフォークを持ってスパゲティを食べていた。
勿論、持ち方はジルに徹底的に直されて今は握りフォークやスプーンもしない。
「フフフ。2人共、綺麗な持ち方を教えてもらったのか?」
ミトがニコニコ笑いながら言う。
「うん。ジル様に教えてもらったんだ。ねぇ、そうでしょ?姉様」
「ええ、そうよ。ご飯の食べ方も綺麗な持ち方に変更して練習中なの?兄様」
「そうか、そうか、食事が終わったらこの封筒を届けて送れ。」
「中身は?」
「警告文章だよ。この家を取り壊そうとしている役人どもに制裁を与える」
「私、もうミト様に会えないの?」
「僕、ミト様に会えないの嫌だよ」
双子は泣き出した。
ミトは困惑しながらも双子を抱き締める。
(おかしい。こんな事は初めてだ。私の洗脳の術が切れてる………。嫌、唯一使える魔法はかけられているのを確認する。
私に取って役にも立つ魔法。だが、使えない?何故?どうして?………時計の針が進んでる?
良いんだった。あの時計は進んでる良いんだった。じゃ何が起こっているんだ?)
「「ミト様、どうしたの?」」
双子はミトを見上げながら心配している。
「ミト様、紅茶いかがです?」
「貰おう。有り難う2人とも」
ミトの口から出たお礼の言葉に双子は嬉しかったのか、顔を伏せて数秒後、口角上げて隠し持っていた斧をミトの左肩に振り下ろした。
骨が砕ける音に肉が裂け血が溢れ出す。
「なっ、兄?」
兄様は、ミトを見て高らかに笑い斧を振り下ろす。
「クスクスクスクス」
姉様も笑った。
「姉様も殺ってみなよ?」
「有り難う。兄様」
受け取った斧をミトに振り下ろす姉様。
どれくらい時間が立ったのだろうか?
部屋中心は血の海。
生きてるまま斧を振り下ろしたから血の泡をふいていたミト。
「凄いよ。気分最高だよ姉様」
「本当ね。兄様………あらやだ失禁してるわ」
「そのままにしておこ。姉様」
「そうですね。兄様」
双子は仲良くお風呂に入りに行った。
服を脱ぎ、下着を取って出て来る傷だらけの裸体。
双子は、お互いの陰部を見て笑った。
「前の所は、毎日殴る蹴るの暴行で、僕達は元々兄弟だったのに」
「そうね。男達に毎日遊ばれ、人を殺していくのを手伝わされたわ。拒否すると髪を引っ張られて私達が死ぬ一歩手前で暴行は止まるの」
「しまいには僕達の陰部を切られて、大人達は笑っていたわ」
「そこから傷が治るまで時間がかかった。傷が治った時、僕達は暗い海の底にいる感じだった」
「隙を見つけ私達は逃げたし、たまたま助けてくれたミトに保護された。」
「ミト………ミト………」
「呼んでも無理ですわ。もう亡くなっていますわ。」
「まさか、あの殺しのトップが悠々自適に何の関係無しに1000年もの間生き続けていたなんて。しかも、魂だけになって、他人の身体を乗っ取る魔法を使って来るんだもん。探すのに一苦労したよ」
「でももう終わりだね。」
「家に火を付けましょ。ライトも呼び出したし、来た時に後ろから斧で………」
ライトを斧で致命傷を与えた私達は、部屋中に薬品をぶちまけた。
兄様、姉様が研究に研究を重ねた対象者が燃え尽きるまで燃え続ける薬品をミトとライトにかけて、火を放った。
その日の夜、一件の家が燃えた。消防車が50台来ても火の勢いが止まらなく中から天使の歌声が聞こえて来たと言われ、消防車の中では1番のトラウマになった意味だ。
瓦礫の中から解剖されて身体の中身がまるごと無くなった無惨な死体だけが出て来た。
◇◇◇◇
「ん?。この前行った家が燃えたぞ。」
新聞のトップを独占する火事の話。
「「ふ~ん」」
「興味無い。」
「まぁ、どうでもいいね」
新聞をテーブルの上に置いてジルはテーブルの前にに着いた。
「では、頂くか」
ジルの掛け声で、ジル、ホムラ、ロート、ネロは両手を合わせて
「「「「頂きます!」」」」
テーブルには、いろんな料理がある、
ジルとホムラが初めに手を着けた料理はグラタン。
ロートはパエリア。ネロはステーキから食べる
楽しい食事だった。
だが、食事中に1人の刑事がやって来た。
ジル、ホムラ、ロート、ネロを見つけるとツカツカとジル達が食事をしているテーブルに来た。
「捜査に協力してほしい」
「今、食事中」
ロートが答える。
ご飯をゆっくり食べているジル、ホムラ、ロート、ネロは刑事の事を見ずにスルーしていた
((((また、面倒な奴が来た))))
考えてる事は皆、同じだった。
「………では、食事が終わるまで待っていよう」
隣の席に座ると足組み、煙草を咥えて先端にマッチで火を付ける。
肺に煙草の煙りを吸い込み吐き出すと店員がすっ飛んで来た。
「お客様。こちらの席は生憎禁煙席でして、お煙草を吸いたいなら喫煙席でお願いします。」
店員が頭をペコペコ下げて刑事に言う。
「チッ」
軽く舌打ちしてから刑事は席を立った。
その時飲みかけの水の中に煙草の吸殻を入れて火を消した。
僕達は知らない顔をして食事を続ける。
店員が、ジル、ホムラ、ロート、ネロに謝罪して来たが、僕達は「気にしてないよ」と伝えると、次回ドリンク無料の券を渡された。
即席で作られた無料券。手作りが半端無く、本当に使えるだろうか?
「この券、今から使えるか?」
ネロが4枚の無料券を指して言う。
「えっ?!、ああ、使えますよ」
「じゃ、今から頼む」
「1番高い物を選べよ」
「もちの、ロンだよ」
………昭和の香りがする。
ジル、ホムラ、ロート、ネロは、店で1番高い飲み物、「樽仕込みコーヒー20年物」を頼んだ。
コーヒー1杯金貨10枚もする
店員は真っ青。
だが、出来ると言った以上、出さないといけない。
ガクガクブルブルしながらも店員は出した。
◇◇◇◇◇
「シニタクナイ………シニタクナイ………シニタク………ナイ………シニタクナイ!」
「何を言ってるの?貴方は死ぬのよ?ミト………元大企業の幹部。裏では心身売買で、幼い子供を誘拐して兵器として育てる。それが身を結んで出来た最強の兵器が、あの双子。男の子だった彼らの性器を切り落として急所を無くし互いに兄様、姉様と呼びと身体に叩き込ませる。本名で言ったら飯無しの拷問や大人の男に犯される。
彼らは心のが壊れた。
双子の目的は、ミト………君を殺す事。双子は願いが叶って死んだわ。魂は成仏した。」
何処からか降り注ぐ声。
「………始姐様。お時間が迫っています。片付けはこちらで殺りましょうか?」
「大丈夫よ。」
両手をパンッと打ち合わせ開くとマスケット銃が空中展開している。
その数、一万以上のマスケット銃。
一斉に引き金を引いて弾丸が肉の塊に全段命中。
黒い肉の塊はこの世から消えた。
「トヨハシの民達に礼を言わねばなりませんね。始姐。」
「本当だね。ジェラルド」
闇魔法で始姐とジェラルドは姿を消した。




