師匠!!
1ヶ月の特訓が終わりゾーンから戻ってきたローランド、ライナー、アサヒナ、ユウヒナ、ピータン。
たるんでいた身体が少し締まった身体になった。
「帰ってきたか!」
ディージーの声に反応するが、軽く一瞥しただけで、ライナー達はディージーを避け、その代わりと言ってローランドと話をする。
「なっ、何で無視をする!。父様に言えばお前達は直ぐに辺境の地域に送れるのだぞ!」
いつもの様に脅すディージーに失笑する元取り巻きの4人は、ローランドと話を続けた。
「今だにパパって……」
「先生に教えてもらった通り、恥ずかしい」
「1ヶ月前までは俺達もその仲間だったけどな」
「それを言うな。黒い歴史だよ」
ディージーに聞こえる様に言うライナー、アサヒナ、ユウヒナ、ピータン。
顔を赤くするディージーに教室の扉が開いた。
ジル、ホムラ、ロート、ネロ、元親が入って来るなり、
「「「「「師匠!!」」」」」
ローランド、ライナー、アサヒナ、ユウヒナ、ピータンが大きな声で言うと、つかさずネロが、
「ちっが~う!!」
と大きな声で叫んだ。
僕達は師匠になった覚え有りませんぜ?
君たちは何を期待してるのかな?
「僕達は、依頼が終わったので挨拶をしに来ただけですよ。教師がどうしてもと言うので」
ホムラが優しく声をかけるが顔には、「師匠と呼ぶな!」と書いてある。
「そうそう。ローランド」
「はい。何でしょうか?ジル師匠」
「・・・」
ジルはスルーした。
「お前達5人が今日からこの教室で剣が多分上だからいろいろ教えてやれよ。」
飛びっきりのショックを受けるローランド、ライナー、アサヒナ、ユウヒナ、ピータンは、ガタガタ震えだし
「何故でしょうか?僕達はまだ師匠の力の1割も出してもらって無いのに剣の師範なんて出来ませんよ!!」
「「「「「誰も師範なんて言ってねぇよ!!」」」」」
ジル、ホムラ、ロート、ネロ、元親が突っ込みを入れた。
「はぁぁぁ。いいか。騎士同士でやる時は決まった手順でやるだろう?変則な相手でも対応出来る様に呼ばれたのが1割。」
「残りの9割は?」
「意気がってるクソガキどもを懲らしめて欲しいのが残り9割」
教師が「あっ言っちゃうんだ」と顔をする。
「貴族だ。貴族だ。って言ってもさ誰も着いてこない。」
「口だけじゃなく、行動でしめさないと」
「そうそう。今だにパパとかママって言っていると飽きられるよ~」
「もう無理じゃん。その言葉でのしあがってもさ、その親を亡き者にしたら終わりじゃん」
「だね。」
ディスる。誰?をって言わなくても分かるぐらいディスる。
「お、お前達冒険者なんて父様や母様に言えばいつでも消せる!」
ディージーがジル達に指を指して唾を飛ばし言う。
「誰も君の事を言って無いが?」
「心狭いですね」
「こんなデブで脂汗まみれの男に誰が興味持つんだ?」
「無い。無い。こいつには何も無い。処で君はディージー・ブラウンだっけ?」
「ブラウンってあの貴族のブランド家の事か?」
「あー、何か有ったな?」
「興味が無いので分からん。」
「少しは興味をもった方がいいよ。」
「で、何が有った?」
「当主が他の女の人に手を出して、金貨9000万枚近くの慰謝料を払った。」
「やるな」
「何をしたんだ?」
「ただ、執事が『辞めます』と辞表を出したらしいよ?」
「えー、ワクワクする話じゃん!」
「まぁ、そう言う話が好きな奴がいるからな」
そう言ってジル、ホムラ、ロート、ネロが元親を見る。
「や、やだな~。俺は好きじゃないよ?」
誤魔化そうとするが、バレバレで説得力が皆無な元親。
「じゃ、俺達は帰るからしっかり訓練は出とけよ」
元親が、空気の流れを無理やり変えて話を閉めた。
「「「「「はい。ありがとうございます。師匠」」」」」
元気な声でお礼を言うローランド、ライナー、アサヒナ、ユウヒナ、ピータン。
さっさと教室を後にして、ネロが元親に言う。
「良かったなー師匠?」
「はっ?」
「ローランド達は元親の声に師匠と答えたよ。良かったなー」
ニヤニヤ笑うネロ。
仲がいい2人である。
ジル達が帰った後の教室は、前に比べる程に改善されていた。
ライナー、アサヒナ、ユウヒナ、ピータンは改めてローランドに謝罪を皆の前でやった。
騒然とする教室でもディージー・ブラウンだけは苦々しく見ていた。
自分の取り巻きが手下が下男が奴隷が自分の指の間からこぼれて、ディージーには何も残っていないのだ。
「くっそ~」
呟く声は、ライナー、アサヒナ、ユウヒナ、ピータンには届かない。
ローランドが後ろを振り向きディージーを見て、ニタ~と笑った。




