僕達は先生じゃ無い
元親の指導の元、ローランドとライナー、アサヒナ、ユウヒナ、ピータンは仲良くなっていた。
「ローランド、俺は盾役をするよ」
ピータンが言う。
「俺達は回復魔法は無いから怪我をしないように」
ユウヒナが言う。
「俺は槍で攻撃をするよ」
ライナーが言う。
「じゃ、ローランドとアサヒナとユウヒナとライナーで攻撃をしよう」
アサヒナが言う。
「「「「うん。」」」」
皆が一致団結しているところに元親の何気無い言葉が振り掛かる。
「ジル、ホムラ、ロート、ネロも一緒にやろう」
木剣をしよう投げ渡し、ジル達は受け取る。
「「「「「えっ?!」」」」」
「何、鳩が豆鉄砲を食らった顔をしているんだ?5対1な訳無いだろ?」
「「「「詐欺だ!!」」」」
と叫ぶローランドとアサヒナとユウヒナとライナーとピータン。
木剣をブンブン振り回しているロートとネロ。
肩に一定のリズムでトントンしているホムラ。
木剣を下ろしているジル。
「さぁ、始めるぞ!!」
っと言ったのはほんの5分前。
全員、撃沈していた。
ジルに木剣を弾かれて直ぐに突きを繰り出して肩に命中。
アサヒナは悶絶していた。
ホムラに木剣を叩き落とされて、バットの様に木剣を腹に叩き込まれた。
ユウヒナは仰向けになって倒れた。
ロートは、盾役を持っている盾を弾くと肩に木剣を叩き込みその場で意識を刈り取った。
ピータンはピクリとも動かない。
ネロは木剣を関係なしに使い始めっから飛び蹴りで顔面をけり続けざまに腹に木剣を打ち込んだ。
ライナーは、キラキラ光るゲロを吐いていた。
元親はカンカンと音を立ててローランドの剣を捌いていたが、元親の膝蹴りが顎に入り後ろに倒れた。
「弱すぎ」
「弱い」
「迷宮に行ったら確実に死ぬタイプ」
「冒険者と同じ考えではダメなのか?」
「一応、学生で、騎士の卵ですから」
のほほんと話すジル、ホムラ、ロート、ネロ、元親。
ゾーンの中で繰り広げてる話は、ディージーの知らない世界。彼はまだ取り巻きが自分の道具だと思ってる。
ゾーンで寝泊まりして、危険なモンスターにビクビクしていたが、15日も立てば、恐怖も無くなり、安全地帯を見つけで寝泊まりしてるピータン、アサヒナ、ユウヒナ、ローランド、ライナー。
「ジル達は、まだ本気じゃないんだろ?」
焚き火に薪をくべて火の回り串に刺した魚を焼く。
元親がジル達に声をかける。
聞き耳を立てていたローランド達はビクックリして動きを止めた。
(((((えっ!!。あれで本気じゃない。嘘だろ?)))))
「そうだな。1割も出して無いな」
「そうですね。僕達は、1割も出して無いですね」
「我らが本気出すとこのゾーン事態が消える」
「ギャハハ。本気出したら、あの餓鬼どもは死ぬぞ」
とジル、ホムラ、ロート、ネロは言う。
本気を出してジルはロートを倒した。
ホムラはジルの手を借りて、ネロを倒した。
その記憶は今でも鮮明に覚えてる。
でも皆お口にチャックしてる。
「先生達は、どう言ったお知り合いですか?」
「「「「「先生達?」」」」」
ジルがこてんと首を倒す。
ホムラが「何言ってんだ?」と顔をする。
ロートは「はぁ?」と間抜けな顔をする。
ネロはニヤニヤ笑うだけ。
「えっ?! 俺達何か変な事言いましたか?」
代表で手を上げて言うローランド。
「俺達は、先生じゃ無い」
「そうですよ。僕達は先生じゃありません。ただの冒険者です。」
「我らは依頼で来てるだけ」
「そうそう。元親の誘いを受けただけ。」
「俺がジル達を誘ったし、金も必要だったしな」
「「「「「依頼としか思って無い」」」」」
とジル達は言う。
崩れるローランド、ライナー、アサヒナ、ユウヒナ、ピータンだった。
「ど、どうしたんですか?皆、膝から崩れて?」
ホムラが慌てるが、駆け寄らない。丸太に座って声をかけるだけ。
これがジルならば、ホムラもロートもネロも慌てて駆け寄るだろう。
例えジルじゃなくてホムラ、ロート、ネロでも慌てるだろう。
焚き火の回りにある串に刺さった魚を手に取って一口食べるネロ。
「うーん、旨い。」
「俺達の分も残してくれよ?」
「食べ過ぎは良くないです」
「我も食べる」
ロートも魚を取って食べる。
通常運転のロートとネロを見て笑うホムラ。
「お前達も食べないとなくなるよ」
ちゃっかり串の刺さった焼けた魚を食べるジルとホムラ。
「「「「「食べます!!」」」」」
焼き魚に群がるローランド、ライナー、アサヒナ、ユウヒナ、ピータン。
「「「「「うまーい」」」」」
鍋に適当に切った野菜と肉を入れて煮込んだ「ごった煮」と呼ぶ料理。
「スープウマー」
「肉、ウマー」
「「野菜がウマー」」
「全てがウマー」
泣きながら食べるローランド、ライナー、アサヒナ、ユウヒナ、ピータン。
そりゃそうだろ。始めに殆ど食べて、腹を空かした獣の様にしてジル達の食事を見ていたのだ。
「貴族。貴族。」って言っていたが、今では貴族のきの字も出ない。
馬鹿にしていた冒険者に命を救われたのだからもう言わんだろう。
多分。
「美味しいですね」
「良く、味噌何か有ったな?」
「大葉で包んだ味噌を買って鞄の中に入れていてな」
「おかわり~!」
「セルフで」
「はぁーい」
ジルにセルフでと言われてお玉で肉野菜をすくうネロ。
やっぱりジルに歯向かわないネロ。
生徒の前だからか、大人しく、行儀良く食べる。
(((((ペースが早い。)))))
ローランド達は内心そう思う。
(((((3杯目。ネロ先生は食べるの早い。………嫌、ジル先生、ホムラ先生、ロート先生元親先生も早い。)))))
パクパク食べる。
ローランド達は器の中のごった煮に入ってる肉を見る。ゾーンにいるモンスターを狩って来た肉。自分達では、狩れなかったモンスターを1人でも過剰攻撃なのに5人で、モンスターを狩り、モンスターが尻尾を巻いて逃げた程の強者達。
俺達は顔を見て頷き言う。
「ジル先生、ホムラ先生、ロート先生、ネロ先生、元親先生」
「先生じゃ無い。で、何だ?」
ローランド達は頷いて、
「弟子にしてください!」
「「「「「嫌」」」」」
問答無用で切り捨てられた。




