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聞いて無いですよ!

「おーい、こっち、こっち~」

手を振ってジル、ホムラ、ロート、ネロを呼ぶ声。

騒がし冒険者ギルドのホールが静まり一斉(いっせい)に視線が元親に集まる。

((((行きたくない))))

ジル、ホムラ、ロート、ネロの心の声が1つになった。

他人の振りしようとするが、なおも呼び続ける元親。

ホムラが、元親をチラ見して念話でジルに声をかけた。

「(ジル)」

「(何だ?)」

「(昨日、僕達の同じ匂いの人って言ったけど、そんな感じします?)」

「(俺もそう思った)」

コソコソと念話で話し合うジルとホムラ。

ブンブン手を振りアピールを続ける元親が僕達を見てる。

回りの視線が、此方に向かって来る。

僕達はしぶしぶ元親の所に足を向け、元親の元に来た。

イヤイヤ気分で来たのに、それを感じないのか元親は子供の様に笑う。


ギルドは自然と騒がしさが戻る。


ジル、ホムラ、ロート、ネロは元親に椅子に座るように求められて大人しく座った。


「ギルドに来たって事は、俺の誘いに乗ったって事でいいんだよな?」

子供の様な笑顔で話す元親。

「一応、皆、苦手な物を克服の為に受けることにしたよ(ネロは違うけど)」


ジルとホムラは、剣術の腕を見る為に

ロートは、手加減の訓練の為に

ネロは、騎士の卵の心をへし折る為に

騎士の卵を利用する。


「じゃ受付嬢の姉ちゃんに話を付けて来るよ」

無邪気な笑顔の元親は、受付嬢のいるカウンターに行った。

受付カウンターは長蛇の列。

時間はかかるだろう。


「「はぁぁぁ」」


何故か深いため息をつくジル、ホムラ。

「どうしたんだ?」

頬杖(ほおづえ)をついてロートはジルとホムラに聞いてくる。

その頃ネロは、袋いっぱいに買って来た焼き串を頬張っていた。

「嫌な。元親の顔が怖いんだ」

元親が見せる子供の様に笑う顔が、怖いとジルは言う。

「確かに、何か裏が有りそうですね」

ホムラが言い、静かにしているネロを見た。

もっもっもっと何も考えずに食べることだけ集中しているネロが、羨ましい。

無言でネロを見続けているジル、ホムラ、ロートの視線を感じて、ネロが顔を上げた。

口のまわりを焼きイカのタレで汚しているネロ。

正常運転のネロにジルが喉の奥で笑い、ホムラが「また、汚して」と言わんばかりの顔でマジックバックからお手拭きを取り出して嫌がるネロを無理矢理椅子に押し付けて、ぞんざいな扱いでネロの口元を拭いた。

「うごごご」

「少しは我慢しなさい!」

ジル、ロートは、ホムラとネロののやり取りを見ていた姿に母と子だなと思い念話でロートと会話をしていた。

「はい。綺麗になりました。次はもっと上品に食べな。ジルも僕もロートもネロの焼き串を食べないから」

諭す様に話すホムラ。

母である。



元親が帰って来た。

何故か受付の人と一緒に

ジル達が何故?と顔をする。

受付のダニエルが頭を下げて

「今回は騎士の卵の相手になっていただけると聞いてありがとうございます。もう受ける人がいないと諦めていました。本当にありがとうございます。」

あれ?。受付のダニエルって言う人が来たぞ?

抱えたファイルが目につく。

あっ、これヤバめな依頼だったかな?

「それで、問題児の騎士の卵の性根を叩き直してもらう案件でして」

問題児?

案件?

聞いて無いですよ!元親さん!!


受付のダニエルはたんたんと話を進める。

王都の騎士養成学校にいる貴族のボンボンの性根を叩き直して欲しい。

それこそ、殴ってもいいのでと付け加える。

回りの冒険者は「うわ~」って顔をする。

貴族に目を付けられると冒険者として貴族のお抱えの時にチクチク言われるのである。

だから、誰もやらない。

「質問~」

「どうぞ」

「最悪、殺してもいい?」

ケラケラ笑いながらネロはダニエルに聞いた。

「殺す?殺す?ええっ殺す!ダメですよ!」

「チッ」

ネロは舌打ちした。

「本当に大丈夫ですか?元親さん?」

「ん?。大丈夫。大丈夫。俺も殺す気でいるから」

笑いながら言う元親。

ケラケラ笑う2人にダニエルは、ジル、ホムラ、ロートを見る。

誰もダニエルを見ない。

知らんぷりを決め込むジル、ホムラ、ロートだった。

「冗談だよ。冗談。」

元親は、ケラケラ笑う。

「本当ですよね?」

ダニエルが心配そうに見るが、子供の様に笑う元親に一抹の不安がよぎる。

「で、その問題児の性根を叩き直してどうすらんだ?」

「騎士として再教育致しますと学校の方で言ってます。」

「始めから学校で性根を叩き直してやれば良かったじゃないか?」

「それが先生方々が、関わるのを嫌がりまして、冒険者ギルドに依頼書が来ました。」

「報酬が安いな。」

「そうですね!1人頭金貨20枚で受けますよ」

ロートとホムラが言う。

「性根を叩き直すのは時間がかかる。俺達も暇じゃない、腹に穴が開いても構わんだろう?」

ジルが、ダニエルに言った。

「死人が出ない様にしないと」

ポツリと呟くロートに小さく頷くホムラ、ネロだった。

その光景に一抹の不安がよぎるダニエル。

「報酬の方ですが、金貨40枚が限界です。」

「1人頭金貨8枚かぁ」

「1人頭金貨10枚にしてくれない?」

「先方に確認してきます。」

「ああ、それと出来高払いでもう金貨10枚で、どうだろうか?」

ロートが、腕を組んで言う。

分かりましたとダニエルが言い受付のカウンターの奥に隠れた。



それから20分後、ダニエルが来て、1人頭金貨10枚で依頼主から了承をもらったとジル、ホムラ、ロート、ネロ、元親に伝えた。

出来高払いは見てからで支払うそうだ。

納得しない、ジル、ホムラ、ロート、ネロ、元親は、帰るかと言い出し席を立つ。

慌ててダニエルは、依頼主に確認して報酬を払う事を約束させた。


明日の朝、中央広場にて馬車が来ますので、それに乗って騎士養成学校に行きます。とダニエルが伝えて、お開きとなった。


「よーし、話も終わったから買い食いに出るぞ!」

ロートが言い我先にネロがギルドの扉に走って行く。

やれやれと見ているジルとホムラは元親に「それでは、失礼します」と言って席を立つが何故か元親もついてくる。


元親がついて来るので、喫茶店に入るジル、ホムラ、ロート、ネロ、元親。

ジルは紅茶、ホムラはパフェ、ロートとネロはホットドッグ、元親はケーキを頼んだ。

紅茶を飲むジル。

パフェを嬉しそうに食べるホムラ。

ホットドッグをたくさん頼むロートとネロ。

ケーキを頬張る元親。

喫茶店では、どうやって性根を叩き直すか会話がされる事はなかった

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