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トヨハシ3

ホテル向日葵に着いた俺。

向日葵の女将は、普通の人だ。

ニコニコ笑顔でお客の俺を向かい入れる。

部屋に案内されて、俺は部屋にこもった。


この街は怖い!

特に始姐族と始姐族の息がかかった者の事に関して徹底的に情報を与えない様にしてる?


何故?

どうして?

昔、何が有った!

この街の皆と始姐族の間で………

俺は肺の空気を全て出しきり、新たに空気を吸う。

ひんやりと冷たい空気が頬を撫でる。

(窓を開けたか?)

立ち上がりカーテンを開けて見る。

(窓は閉まってる)

俺は窓を開けた。

冷たい空気が部屋の中に入る。

「もう、夕方か、日が沈む。」

部屋の電気を着けて無いので外の様子が分かる。

見上げ、月を見て、ゆらゆらと視線を下げると、街路灯が無いのに元親が泊まっている部屋を見上げる住人。

「!!」

顔まではっきり見えないが、恐怖が俺の全身に駆けはしる。

慌てて窓を閉めカーテンを閉める

コンコンと部屋の扉を叩く音がして俺は盛大にびっくりして、震える声を何とか誤魔化して言う。

「はい。」

「お食事の用意が出来ました。1階の大広間までお越し下さい。」

向日葵の女将が伝え、去っていく足音に音に耳を澄ませて俺は身体から力が抜けるのが分かる。

「はぁぁぁ。びっくりした。………ご飯食べる気分じゃないけど、腹に何か入れとかないと」

俺は呟いていた、部屋中を出た。


ホテルって言ってるのに、何故か大広間がある。

畳300畳の大広間にポツンと置いてある食事。

「落ち着かないなぁ」

ポツリと呟いた俺の後ろから

「そうでしょうか?」

と声が聞こえて俺はビクリと肩が動き振り返ると。

「お、お、女将!」

女将が俺の後ろに立っていた。

「冷めない内にどうぞ」

喜怒哀楽も感じさせない、女将の声。

まるで、何でも屋の女将みたいだ。

俺は、食事を食べた。

味は全く分からなかった。

早く部屋に戻りたくて慌てて食事を流し込んだ。


部屋に戻ると布団が引いてあった。

俺は、浴衣を持って風呂に入る。

暖かい湯船に浸かり思わず、

「ほぅ」

と声が漏れた。

だけど、誰から見られてる視線を感じる。

慌てて頭を身体を洗い、湯船に浸かり、そうそうに風呂から出て部屋に戻り、俺は布団の中に潜った。


ふと、夜中に目を覚ました俺は、部屋の明かりが着いたまま寝てしまっていたことに気付いて、電気を消した。

薄いカーテンに写る影。

ゆらゆら動くカーテンを何気に見ていた。

カーテンに写る影は、「何だろう?」と、ボーっとする頭で見ていた。

(!?。人影だ。でも、ここは2階。こんなに身長が高い奴は見たことが無い!)

俺は、頭からスッポリと布団を被ると、布団の隙間から窓を見た。

(増えてる!)

始めは1つの人影が見るたびにネズミ算式に増えていく。

俺は振るえながら夜明けを待つ。

鬼人も睡魔に勝てなくて俺ほ寝てしまったようだ。

朝、薄いカーテンから入る朝日に目を覚ました俺は、服を着替えて支度をする。

1階に降りてきた俺は、ばったりと女将に有った。

ニコニコ笑顔の女将。

昨日の喜怒哀楽が無くなった感じは一切見受けられない。

「おはようございます」

元気で明るい声で挨拶をする女将に困惑する俺に朝風呂を進めてくる女将に苦笑いをしながら断り始姐の森に行く事を伝えるが、ガルーダ便の爺さんが1週間鳥は飛ばさない。鳥にも1週間のリフレッシュ休暇を与える日と重なったのだ。

しぶしぶ部屋を延長して、街の中を散策。

馬車が通っていた後が残っている。

フラフラ歩いて何でも屋に到着する。店の奥から夫婦が出て来て、俺に笑いかける。

「おはようございます」

「ウッス」

「あんた、「ウッス」じゃなくて、おはようございますだろう?」

女将が亭主を注意する。

「いえ。いいのです。」

俺は、やんわりと言葉を濁すと女将が「じぃ~」っと見て一言

「ここじゃ見ない、お客さんだね。何処に行くのかい?」

「!?」

昨日と同じ事を聞かれた。

俺は、何て言うか迷い、亭主をちらりと見ると亭主との視線が、合わさった。

「お前、みたらし団子を作ってくれ。始姐様がいつ来てもいいようにしとこ?」

「ガルーダ便はリフレッシュ休暇だよ。来ないよ?」

「そんな事言って前ほ来たじゃないか?5本でいい」

「分かった。分かった。作ってくるよ」

女将は店の奥向かって行った。

「すまねぇな。悪気は無いのだよ。お詫びにみたらし団子を持って行け」

亭主はそう言うと店の奥に向かって行った。


5分待ってみたらし団子をパックに入れて戻って来た亭主は、ニコニコ笑顔で俺に渡す。

「じゃあな」

咥えタバコの先端に火を着けて、店を閉めた。雨戸には貼り紙が貼ってある。

「リフレッシュ休暇の為、今から1週間休みます」

と………

「いいのかな?団子代」

呟いて何でも屋を後にして向日葵に戻った俺。

向日葵の女将に何でも屋のみたらし団子を渡して泊まっている部屋に戻る。

その日も大広間で食事を食べて、風呂で汗を流して、布団で寝た。


次の日、服に着替えて階段を降りて歩いて始姐の森に行くとどのくらいかかるのか聞いた。

女将からは「自殺行為だよ」と言われて1週間滞在する事になった。


そして、1週間後に借りていた部屋から出て受付に行くと誰もいない。

女将も奥の椅子に座っている亭主もいない。

(忙しいのかな?)

一応お金をカウンターに置いて向日葵を出て、何でも屋に行った。

街の中を歩いても、昨日歩いてた人々がいない。不思議に思いながら何でも屋に向かって歩く。


何でも屋は、廃墟になっていた。

つぶれてから誰も手を加える事無く放置されたみたいだ。

雨戸は倒れ、天井は落ちて見る影も無い。


(おかしい)


俺は、向日葵に戻った。

だが、ホテル向日葵も廃墟になっていた。店を覗くと土埃が凄く天井が落ちている。

カウンターを見ると今日払ったお金が置いてある。


慌てて、ガルーダ便の爺さんの所に走る。

着いた先は、ガルーダ便と看板が落ちる朽ちた店だけだった。

俺は、振るえる足に鞭を打ちながらトヨハシと言う街を出た。


全速力で走り、近くの街入り、冒険者ギルドの受付嬢にこの街で最も「トヨハシ」に詳しい人を紹介してもらいヨランダ婆さんの処に行った。

ヨランダは婆さんじゃなくて、姉さんだった。


そこで分かったのは、トヨハシと言う街はもう無いとの事。


1000年前に地図上から消えた。


(では、俺が話をしていた人は誰だ?)

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