魔力循環
1日寝て僕は回復した。
朝は軽めにたくあんのサンドイッチにした。たくあんを小口切りにさてマヨネーズであえてサンドしただけの料理だが、たくあんの塩気と食感でパクパク食べてしまう。
「良く寝れたか?」
珍しくジルが欠伸をしていた。
夜中、行商人から買った本が面白くついつい徹夜をしてしまったみたいだ。
そんなに面白いかな?
ジルは読めない文字とか滅んでしまった太古の文字が大好きだ。
今も本が読みたくてウズウズしてる。
でも今はご飯を食べる時間です。
本は我慢して下さい。そして寝て下さい。
食事が終わり、ジルは眠たい目を擦りながら二階の寝室に行った。
勿論、手には本が有る。
装備服から寝間着の着流しに着替えてジルは、ベッドに潜り込んで眠った。
「この本の何処が面白いのかな?。古代文字なんて殆ど読めない人ばかりだじゃん。読めてもね、ジルは何が面白いのかな?」
ベラペラと本の中身を見る僕は今一この本の素晴らしさがわかって無かった。
古代文字だけで頭が痛くなる。
本をテーブルに置いたまま僕は家を出て東屋に行く。
東屋にはヤカンと薪ストーブに机と椅子とジル専用のロッキングチェアが有る。
ストーブに薪をセットして木の皮に火球で火を付けて薪の隙間に入れる。水魔法が使えないから氷室に行ってヤカンに氷を砕いてから火に掛ける。
ヤカンの蓋がカタカタ鳴って蓋を取って紅茶の葉を入れて煮出す。
テーブルの上に有る鍋引きにヤカンを置いてマグカップに紅茶を注いだ。
「今日は蜂蜜をいれてみよう」
スプーン一杯の蜂蜜を入れて紅茶に溶かす。たまにの贅沢だ。
紅茶を一口飲んで昼御飯を考える
「お昼は何がいいかな?肉があったし、魚も有る。野菜もまだ残ってるし、氷室で冷やしてる時短料理の油漬けの物も有る。」
薪が崩れて灰になる。
暖かい陽気に少し肌寒い風。大黒熊の毛皮を肩までかぶりうつらうつらしてくる。
『寝ると火事になるぞ』
ぐもった声に僕は目を覚ました。
薪はまだ燃えて炎が出ている。
危ない。危ない。今日はジルがいないんだ。炎を見ながら作ったたばかりの紅茶を薪にかけて火を消し土魔法でストーブに土を入れて空気を遮断して炎を沈下させた。
完全に火が消えたか確認してから家を見てポツリ呟く。
「僕もジルの所に行こう」
マグカップはそのままにしたまま家に向かって走り出す。
家に付いて鍵を閉めて、うがいに手洗いを済んだら2階の寝室に行き装備の服を脱ぎ散らかして気持ち良く寝ているジルの腕を僕の肩に回して抱かれる様にして眠りに着いた。
ジルの心音が聞こえる。一定のリズムで心地よい。ジルが寝返りを打つ。寝間着を掴んでいたからジルの胸元が大きくはだけた。
キタ━(゜∀゜)━!
ああ、なんて色白の肌なんだ。
触ろうとする僕と触らない様にする僕が脳内会話をする。
天使の僕 : 今の関係が崩れる
悪魔の僕 : いいじゃん、無防備に寝ているから少しだけでも触ってもばれない。それにこんなに熟睡してるんだ、気付かない。気付かない。よし、僕よ、触って見えない所にキスマークを付けよ!
天使の僕 : ななな何言ってるんですか!!接吻なんて!!ハレンチです。何処に吸い付く気何ですか?
悪魔の僕 : おおっ、興味ありげだな。そうだよな。好きな男が毎日無防備ね姿で寝ている。襲わなきゃ男の恥じだぞ?
僕の心が悪魔の言葉に耳を傾きジルの胸元を触れようとする
天使の僕 : そう言う問題では有りません。もしここで一時の欲望で吸い付いたら、魔力線の事や魔力循環はどうなるんですか?!。ジルの事ですから捨てられるかもしれません!!
「魔力線と魔力循環・・・悔しいけど、今回は天使の僕の方が勝った・・・」
目の前に好きな男がいて何も出来ない自分。こう言うのを確か蛇の生殺しと聞いたことが有る。
「ううん・・・」
寝返りを打ったジルが目を覚ました。
「お、おそよう?」
起き上がりボーっとしているジルは寝ぼけたままならな返事をした。
「ああ」
ジルの白銀の髪が頭を掻いてるだけでサラサラになる。羨ましい。
「ふぁぁぁ・・・」
欠伸をしながら1階に降りてキッチンに有る蛇口から湧き水をコップについで飲む。
冷たくのど越しがいい。
ふうと息を付いて乱れた寝間着を元に戻して2階に行った。
ジルの個人の部屋に入り寝間着から装備服に着替えて寝室にいるホムラに声をかけた。
「紅茶を飲むか?茶菓子付きだ」
「飲む!!食べる!!」
ガバリと起きて、装備服に着替えてジルと一緒に家を出た。
東屋ではストーブが土まみれにだった。ジルは僕の頭に鉄拳を落として魔法で掃除して使えるようにする。
「フーフー」
僕は悶えて頭を押さえて息をしていた。痛い。半泣きである。
水魔法でヤカンに水を入れて小さい火球を入れて沸騰させ紅茶の葉を入れて蒸らす。
マグカップに紅茶を注いで一口飲んでロッキングチェアに座る。僕も紅茶を飲む。
「やっぱりジルが入れてくるた紅茶の方が美味しい」
「そうか?さて、魔力線の掃除と魔力循環をやるよ。」
テーブルにマグカップを置いてジルは僕の手を取った。
ゆっくりと魔力線のゴミを取って行く。
「5年間良くほっといたね。ゴミだらけで魔力循環が思うように行かない。時間がかかる。」
ゆっくりだが確実に魔力線が掃除と魔力循環されてるのが分かる。だって身体がポカポカしてきたし同時に身体のだるさが消える。
「ドラゴンを倒して食べた時に手に入れた魔力はどうした?」
「えっ?魔力なんて有ったか?」
「うっすらと感じる・・・気にしても仕方がない。探って見るか?」
ジルが言うと目を閉じて眉間にシワがよる。
そんな姿に僕はジルを見ながらまつ毛が白いと思っていた。
僕は前の姿のジルを知らない。
龍と戦った勝ったけど魔力切れでも魔力を使おうとして髪が白くなったと聞いた事がある。
本人は、何も言わないが、半分は有っていると思う。
「ああ、見つけた」
ボツリと呟くジル。
「何?」
身体の奥から魔力の塊が上がってくるのが分かる。
「気持ち悪い」
「我慢しろ」
酷いです。でも、何か左手の甲が熱い。
「一応ドラゴンを倒して手に入れた魔力を簡単に使えるようにしただけの後は、訓練して簡単に扱えるようにしろ」
マジマジと左手の甲を見て僕は言った。
「ジルは有るの?」
手の甲を指して言う僕を見てジルは、「もう自分の物にした」と言った。
ジルの魔力は龍とドラゴンの魔力も入ってる。
力でねじ伏せた強者と人間に殺られた弱者。どんなに魔力が多くても当時まだ最強と呼ばれてないジルに倒された龍は、満足したのかも知れない。満足して龍の魔力をジルにあげたかも知れない。
ドラゴンの時もそうだ。止めを刺したのはジル。僕は、足止めぐらいしか出来なかったが、2人で倒したドラゴンだ。
男ホムラ、やり遂げて見せます。
「とりあえずドラゴンの魔力を簡単に扱えるように魔力循環でもしてみたら?」
ジルの言葉です。やって見せましょう!
それから僕は、魔力循環の練習をやっている。だが、飽きた。
まだ続けるの?もうやだよ~(泣)
寝る以外毎日魔力循環なんて~
つまらないよ~(泣)
ジル~、嬉しそうに本読まないで!僕に付き合って~(泣)
魔力循環~!!