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魔力の例え

ライガーウルフが去ってこら一週間。

僕達は庭で木剣を構えたまま立っていた。

風が吹き木の葉が舞い林檎の実が地面に落ちた。


僕はそれを合図に大地を蹴って飛行魔法で加速し木剣を突き出しジルの喉を目指し打ち込むが、ジルは動く事も無く木剣の持ち方を替えて僕の剣筋を変える。


「!!」


付かさずジルの左手が僕の襟首を掴み遠くに投げる。

浮遊魔法で空中で1回転して止まるりジルがいた所を見ても誰もいない。慌てて探すと僕を投げた同時に大地を蹴って僕より高い位置で木剣を振るう。木剣の重さと重力の重さが重なり木剣で受け止めきれず僕は背中から地面に落ちた。


ドスーン!!


ジルは何事も無かった様にふわりと降りて僕に治癒魔法を掛け距離を取る。


「どうした?もう終わりか?」


肩に担いだ木剣をトントンと動かしながら僕を見るジル。


あ~今日も格好いいです。


「治癒魔法で治したんだ、直ぐに立てるはずだぞ?」


寝そべっていた僕は起き上がり短距離走の選手の様な姿で足に飛行魔法の全てを注いでさっきより早く踏み込みジルに木剣を打ち込む。

ジルも同様に大地を蹴り向かってくる木剣を撫でる様に滑り木剣を弾いてジルの蹴りが腹に入り僕は盛大に後ろに飛ばされ地面に背中からズザザっと音を立てて止まり飛び起きた僕は朝御飯をリバースした。


僕のそんな姿を見ても眉一つ動かさないジルは淡々と言った。


「どうした?1本取るんじゃ無いのか?」


今朝僕がジルに言った言葉だった。「今日こそジルに1本取る。でも一応手加減してね。」と・・・

手加減してこれ?

僕はこの5年で弱くなった?

ジルが強くなった?

森での狩りや魔法の訓練や制度を上げる事を見えない様にやって居たことは知ってる。

僕はジルと二人きりになれることに浮かれていたんだ。努力はしていたけど、ジル以外はライガーウルフさえ興味が無かった。

あのライガーウルフの親子より弱くなったんだ!


僕はこのままだと・・・


捨てられる?!


ジルは弱い奴には興味が全く無い。無関心って奴だ。どこで野垂れ死のうが興味もわかない。名前さえも覚えない。その他大勢に区分されるだけ。


そんなの嫌だ!嫌だ!嫌だ!

ジルの隣で笑っているのは僕。

でも?身体が動かないんだ。

声も出ない。


ジルの方に視線をやると背中を向け東屋の方に歩いて行くジルの姿が目に移った。


行かないで!


僕は無意識に魔法を発動させていた。手の平に作られた大きな火球だ。どんどん大きくなり制御するのが難しくなる。

作ってる間になのか火球を放ったのか、それがどうなったか僕はあまり覚えてない。

僕の意識は暗転した。


次に目を覚ましたのは東屋に置いてある椅子の上だった。

大黒熊の毛皮が掛けられてた。

軽くて暖かい毛皮。冬には丁度いい。

側にはジルが手に入れたあのボロボロの本が増えている。

僕が寝ている時に行商人が来て銅貨2枚で3冊も手に入れた。

穴は埋められ、タイル張りされておりそこに新しい薪ストーブ置いて有った。

ストーブには火が入れられた様子はない。ヤカンに水魔法で水を入れて小さな火球を入れてお湯にして紅茶の葉を入れて蒸らす。

マグカップに紅茶を注いで小さなテーブルにマグカップを置いてロッキングチェアに背中を預けてゆっくり揺れながら紅茶を飲みボロボロの本のページをめくった。

相変わらずの古代文字。


「目が覚めたか?」


本を見ながらジルが声をかけてきた。

いつもは、ポニテだけど今日は朝から木剣の練習だから髪を団子にして髪が邪魔ならないようにしている。

項がきれいだ。

乱れた髪も妖艶な美しさがある。

「紅茶を飲むか?」

「うん。貰う」

マグカップに紅茶を注いでホムラに渡した。

「美味しい」

「魔法で作った紅茶だからな魔力回復にも多少いい」

少し間が開いて僕は聞いた事がある話をジルにし出した。

「ねぇ、ジル。僕聞いたこと有るんだけど魔力が少ない人は強い人から体液を貰うと強くなるって」

「・・・」

「だから僕も・・・」

「やらんぞ!!」

即答だった。

「えっ?!」

ジルを見るとめっちゃ嫌な顔をしている。

「何だその「えっ?!」は?

そもそもホムラは魔力が少ない訳でも無いんだ。ただ魔力線が弱くてな・・・あー例えばな、王都で借りていた賃貸で30ワットの配線をこれが魔力線に例えるとな、60ワットの電気、魔力を使うと配線は、魔力線は熱くなる。ここまでは分かるな?、色んな所で電気、魔法を使うと耐えきれなくなりブレイカー、意識が落ちたりする。ここまではいいな?」

「うん。」

「ホムラの場合、魔力線は大丈夫なのだが、汚れが溜まりやすい性質で定期的に掃除してやらないといけない。やらなくてもいいが、やっとくのとやらないとでは魔法の威力にも変わって来る。先ほどの見たいに大技を打つ前に目の前が暗転してどうなったかわからない。掃除をしなければ、多分最後は火球もまともに打ち出せなくなる。魔力線が錆び付いてな。多分」

僕は青い顔をした。

「知らなかった」

「ジルは?ジルはどうしてるの?」

「俺?暇なとき魔力循環をしている。後、魔力を押さえる様に漏れる量を調整中している。息をするように」

「僕も出来るかな?」

「無理だな。コレステロール見たいだからドリルで汚れを削り取る様にする為にも誰かの手を借りて魔力線の掃除と魔力循環をやった方がいい」

「そうですか・・・ジル?」

「嫌だ。」

またもや即答だった。

「まだ何も言ってません」

「どうせ、魔力線の掃除と魔力循環をやってほしいって事だろう」

「はい。その通りです」

「この5年間何にも言ってこなかったのにか?」

「僕、知りませんでした。」

「パーティー組んだ時に言ったぞ?」

「申し訳ございません」

僕は消える声で謝罪した。

「今日は無理だ。身体を休めて「大丈夫です」」

ジルの話しかけたを遮って言葉を被せてきた。


その夜、強行突破で嫌がるジルに魔力線の掃除と魔力循環をやって貰ったが、朝に大技を放った後、暗転して倒れ、少し寝ていて回復したと思っていたのは僕だけで、ジルの濃密な魔力で僕の魔力線の掃除と魔力循環をして貰ったが魔力に酔って夕食をリバースした。


ジルの「だから言ったのに」と言わんばかりの顔が目に入った。

今日の僕はリバースばかりだ。


結局、僕達は別々の部屋で寝てます。ジルに「今日は何も考えず寝てろ!」と言われて渋々、了解しました。


一緒に寝れないのは寂しかった。

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