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帰還命令

五稜郭迷宮と蝦夷の食事を堪能し、それなりの問題もあったが、ジル、ホムラ、ロート、ネロは、一路帰宅する事にした。


函館山でロートとネロが、龍とドラゴンの姿になりジルとホムラを背に乗せて空を飛ぶ。


『久々に変身した。』

とロートが言う。

『俺も』

頷いてネロも言う。

「コート着てて良かった」

身を守る家や布団が無いので、コート、マフラー、手袋、帽子を装着してロートの頭の上にちょこんと胡座で座るジル。

「僕もです」

ホムラもコート、マフラー、手袋を装着してネロの背に胡座で座る。


「これからどうする?何処の迷宮に行く?」

ホムラが聞いてくる。

「まだ決めて無いが、しばらく家にいるよ」

ジルがロートの大きな角に触れてコツコツとロートに合図を送る。

『我か?。我は嫌だが、長老が呼び出しが有ってな、絶対に来ないと行けない。前回も前々回も無視してやったらジルの処に来るって言うから仕方がなくな・・・。我何て、嫌われてる居るのだからほっとけばいいのになぁ・・・はぁ』

深いため息をするロート。

『俺もですよ。問題児で、嫌われていたのに、突然帰還命令。無視続けて居たのに、ドラゴン総出ジルとホムラの処に行くって言ってたから行かないと行けない。本当にほっとけばいいのに・・・はぁ』

深いため息をするネロ。

ジルとホムラは苦笑いする。

無視続けて長老達が、痺れてを切らして言ってきたが、もしジルとホムラの処に居座り続けたらここに来るだろう。

それは何としても阻止しなければならない。

だって、ホムラが怒る。

ジルと2人きりの生活に邪魔されて怒るだろう。

だろうじゃないな。

斧や鉈や剣や魔法でドラゴンの中に飛び込むだろう。

そして、それをニコニコの顔で見ているジル。

彼は手助けしない。

それどころか、ドラゴンの肉は美味しいから狩ろうと言うだろう。

一族の為に、仕方がなく里に帰る。

これは貸しだからな!


列車の旅で1週間もかかって蝦夷に行った道のりが、帰りは、たった4時間で帰って来た。

「理不尽」

ポツリと呟くホムラに、ジル、ロート、ネロは、そうか?と言う顔をした。

「1週間かかって蝦夷の列車の旅に出たんだよ。帰りもさ、もうちょい優雅に・・・」

「十分、優雅じゃん?。何が不満なの?」

「だって4時間で家に着いたじゃん!。もっと色んな話をしたかった」

シュンとするホムラにジルが頭をポフッと手を置いて直ぐに離れる。

突然の事に目を丸くして、手を頭に乗せてからジワジワ顔を赤くするホムラに、ロートと話をする平常運転のジル。

羨ましく思うロートとネロだった。

ジルがそんな事をするのは、まず無い。

どんな事が有っても、撫でたりするのは、本当に無いのだ。

「じゃ、我は長老に合いに行ってくる。嫌だけど。ジル、・・・ハグして!!」

両腕を広げて抱き付くロートに、ジルは無言でハグした。

「ん~。ジルの温もりいい。」

そんな事言うロートにジルは、マジックバックから未開封のホッカイロを渡した。

「何これ?」

「ホッカイロだ。寒いからハグしたんだろう?」

「違ーーう!ハグは挨拶代わりだよ!。」

「そうか。そうか。」

うんうんと頷いているジルだが、ホムラ、ロート、ネロは絶対に理解して無いと思った。

その後、ネロにもハグしたが、これまた、未開封のホッカイロを渡された。

ホムラも帰るロートとネロにもハグをする。

どうやらこちらは意味が分かっているみたいだ。


ロートとネロは笑い、龍やドラゴンの姿になって空を飛ぶ。

星空が大きく輝く中に小さくなるロートとネロの姿。肉眼で確認出来なくなるまで、ジルとホムラは玄関の前で空をして見上げていた。


「さ、中に入ろう。」

「そうだね」

ジルとホムラは玄関を開けて冷えた家の中に入った。

家の暖炉に薪をセットして木の皮に火魔法で火を着けて、薪の隙間に入れる。

パチパチと音、立てて薪が燃える。

ヤカンに砕いた氷を入れて、暖炉にセットする。



空を飛ぶロートとネロ。

肉体を再構築して、今は、人間の姿になったり、元の龍やドラゴンの姿になれる様になった。


空を飛び、別々の方向に別れる。

『念話は出来るように』

『了解』

『生きて、ジルとホムラの元に帰るぞ』

『勿論』



カタカタ鳴る蓋を取り、紅茶の葉を入れてマグカップに紅茶を注ぎ2人しかいない部屋で紅茶を飲む。

「静かですね」

「そうだね」

「ホテルでの食い付くし、部屋の破壊。たかがババ抜きでの殺意。どれを取っても騒がしい旅でした。」

紅茶を飲み、旅行の思い出を語り合う。

ホムラが、マジックバックからクッキーやマドレーヌを取り出し、ジルが棚からお皿を取り出して、テーブルの上に置いた。

そのお皿の中にクッキーとマドレーヌを入れる。


「鬼人族の角無しは初めて見ました。」

「鬼人族事態見るのは初めてだけど、彼も相当苦労しているみたいだ。」

「そうですね」

紅茶を飲むジルとホムラ。

「彼の名前は元親だったね。酒屋に連れていっていっぱい買ってたな」

マドレーヌを食べながら「そうですね」としゃべるホムラ

「美味しいか?」

テーブルに肘を付き手の平に顔を乗せて、優しく微笑む。

あぁ、たまに、本当にたまに見せる、その優しく微笑む顔。


たまりません!


「それにしても、ロートもネロも龍やドラゴンの姿になれて良かったね」

マドレーヌを食べるホムラ。

「そうだな」

ジルは、カップの中に紅茶を注ぐ

「紅茶、好きですね」

「ああ、熱いお茶を飲むのが好きだ。」

「出会った時から変わりませんね。僕も熱いお茶を飲むのが好きになりました。」

「そうか。そうか。」

微笑むジル。

「ロートもネロも熱いお茶を飲む様になりましたね」

「そうか?」

どうやらジルは、ロートとネロが熱いお茶を飲んでる姿を見た事が無い。

「氷を良く食べていたからな」

「龍やドラゴンは鉄欠乏性貧血でもあるのでしょうか?」

「「・・・」」

「有るわけ無いか。龍やドラゴンだからな」

ジルとホムラは笑い合い紅茶を飲み干した。


倉庫から肉を取りに部屋を出る。

麻袋の中に入ってる肉をある程度出して鍋に入れて家にも戻り、料理を始める。

冷凍の肉をナイフで一口大の大きさに切り分けて、ヤカンから鍋をセット。

用意してお皿に置く。

油を引いて肉を焼く。

うんうん。美味しい匂いがする。

肉を一度皿に取って、肉から出た油で玉葱、なす、パプリカ、トマトを5ミリ幅で賽の目切り、小さいじゃが芋は皮を剥いてそのまま鍋の中に入れて焼く。

焼けたら鍋に肉を戻して、長方形の抱える程の大きい氷を半分に割って鍋に入れてから氷を砕き、蓋をして氷が溶けるのを待つ。

氷が溶けたら味付けに塩コショウを入れる。

グツグツ煮えたら具を深皿に取って、新しいマグカップにスープをお玉で救い、テーブルの上に置いた。

「「いただきます」」

手を合わせて食事をするジルとホムラ。

薄い味付けだが、それがまたいい。


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