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隠居の道は遠い

昨日は、海鮮丼を堪能したロートとネロ。

次の日は、ホテルで過ごした。

ジルとホムラは、ゆっくりと風呂や睡眠を取っていた。

そして、ジルとホムラが寝ている間にロートとネロがやらかした。

バイキング料理を食べ尽くしたのだ。

30分で食べ尽くす。

底なしの胃袋だ。

「なぁ、兄さん達。自分達以外居るんだから回りを見んといかんぞ」

シェフは慌てて新たに料理を作り出すが、何百人の料理を直ぐに作れる分けなく、ひたすら謝っていた。

ロートとネロは「何か悪い事した?」と顔をしており、状況が分かってない。

支配人が「お連れ様を呼びますか?」と聞いてきて、ロートとネロは「何で?」と顔をする。

「頼む。」

男が言うとフロントからジル達の部屋の電話が鳴る。

寝ぼけたホムラが出てフロントから来て欲しいと言われる。

半分夢の中にいるジルを起こして、いつもの装備服に着替えて部屋のカードキーを取ってマジックバックに入れて1階のレストランに行く。

気分は最悪だ。


「呼ばれて来ましたが、うちの連れが何かしましたか?」

ホムラが丁寧にホテルの支配人に話しかける。

支配人から「実は・・・」とカクカクシカジカで説明を受けるジルとホムラ。

ホムラは頭を下げて、ジルは、ロートとネロともう1人ロートと話をしている男の元に行った。

「あっジル!」

手を振るロートにジルの不機嫌な声が降り注ぐ。

「迷惑かけるなって言ったよな!」

スパーンと気持ちいい音がする。

ジルの手にはハリセンが持っていてロートとネロの後頭部に当たった。

それを見て驚いた様子の男が1人立ち尽くす。

「「いってぇぇぇ!!」」

ロートとネロは後頭部を擦る。

「「何するんだ!」」

ロートとネロは言い返すが、ジルは、

「お黙り!!」

と言ってロートとネロの話をピシャリと遮り男を見る。

190cmの長身で程よい筋肉が着いててそこそこ強いと思わせる。

ジルは、始めは男とジルはカクカクシカジカと話をして、今度はロートとネロとジルはカクカクシカジカと話を聞く。

一方的ではなく、ちゃんとロートとネロの言い分を聞いてくれる。

(まるで母親だな)

男がジルに(いだ)いた第一印象だ。

「俺、言ったよな!。隠居生活をしたいと、なのになんで問題を起こすの?」

「だって・・・」

言い訳するロートとネロに

「お黙り!!」

とジルが言う。ロートとネロの肩がビクリと動く。

漫才を見ている様に男が肩を振るわせて笑った。

「ハハハハ」

「!。申し訳御座いません。お見苦しい処を見せてしまい」

ジルが頭を下げようとしたら手でそれをさいぎる。

「笑って申し訳ない。名乗るのが遅れた。俺の名前は元親(もとちか)だ。あんたはジルさんだな」

「そうだが?、・・・角無し鬼人族か?、初めて見た。」

ジルの角無し鬼人族の言葉で目を見開く

「俺が良く鬼人と分かったな」

震えそうになる言葉でぐぐっと押し殺して元親はジルに聞く。

「骨格が良いからな。後程よく、無駄の無い筋肉の付け方だ。」

ジルはマジマジと元親の胸、肩、腕の着物に隠された筋肉を想像して見る。

「角無しと気付いたのは?」

「?。何と無くだよ。それに、誤魔化す為に帽子を被っているが、着物と似合わない。辞めた方がいいよ。」

優しい口調で話すジルと元親に対してロートとネロは面白く無いのか頬を膨らませプイっと顔を明後日の方向に顔向け頬杖をついてムスッとする。

そこに支配人から話が終わったホムラが戻って、ロートとネロの頭に拳骨が落ちた。

「僕達の隠居生活壊すな!」

ジルも言っていた言葉。

元親はジルに聞いた。

「隠居生活って?」

「ああ、俺とホムラは隠居生活をしているんだ。自給自足で、たまに遠出をするが、基本はのんびりと過ごす。」

「その若さで世捨て人か?」

「違うよ。只の隠居。」

「ふーん。面白そうだな」

元親が笑う。

強さを求める鬼人族。

だが、元親は違う。

強さもそこそこ求め、後は、のんびりと過ごしたい。

鬼人族では、異質だ。

幼少の頃から角無しとからかわれ、石を投げつけられて来た元親。

鬼人族に愛着が余り無く、今回もお金を貯めて旅行に来ていた。

「いつまで滞在するんだ?」

元親が聞いてくる。

「明日は、ここをチェックアウトして、すすきのに行く予定。お酒が目当てだから」

ホムラが酒の事を言うと元親が、目を爛々に輝かせて、言った。

「酒!?酒を買いに行くのか?同行しても良いか?」

元親の目が光った。

逃げても追いかける。あの瓶に入ってる変態と同じ感じがする。

「僕に聞かれても、決定権はジルが持ってるし」

ホムラは、逃げた。

「逃げやがった!」と思うジルに、ここぞとばかりロートとネロが追い打ちをかける。

「そうだな。決定権はジルが持ってる」

「そうそう、俺達は荷物係だから」

ホムラは、安全圏に逃げて、ロートとネロはニヤニヤしながらジルをからかう。

(こいつら~・・・!!)

何かを閃いてジルは、えがおで言う。

「良いぞ。明日は酒をいっぱい買おう。荷物持つも3人いるし」

「「「えっ!?」」」

ホムラ、ロート、ネロの間抜けな顔。

「ジ、ジルさん?」

直ぐに状況を察知したロートはジルに声をかける。

ニコニコと笑う顔の裏で「自分達が言い出したからちゃんと守れよ!」と念話で伝えるとジルは元親にペコリと会釈をして、支配人に会釈して部屋に帰った。

「えつ?!ちょっと待ってよ~ジル」

慌ててジルを追いかけるホムラ。

取り残されたロートとネロと元親は「へへへ」と笑って食事を再開させた。




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