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魔法はすごい

庭に穴を掘って松ぼっくり、細い枝に薪を並べて、手頃の石で釜戸を作り氷室で氷を砕いてヤカンに入れてセット。

穴の回りは石畳があり、椅子とロッキングチェアとテーブルがある。


僕の火魔法で松ぼっくりに着火。パチパチと音を立てて燃える。

風を送り火を大きくしてると氷が溶けて水になりお湯になってヤカンに紅茶の葉を入れて、少し煮て足せてマグカップに注ぐと紅茶のいい香りがする。


「う~ん、美味しい」


一口飲んで僕は椅子の背に身体を預けた。

隣を見ると只の紙を束ねた本?がある。もうボロボロでこれ以上酷くならないように時間魔法で本のダメージを止めている。

ジルは大事にその本を読んでいる。前に中身を見せて貰ったが、古代文字の為に僕は読めなかった。


何て書いているんだろう?


だけど、たまにジルが本を読んで微笑んでる。僕にはあまり見せない顔だ。


僕達の家に人間がある入ってこれない様に結界が張ってある。動物やモンスターは普通に入ってこれる「何で動物やモンスターはOkなの?」って聞いたら「Okじゃない。ちゃんと警告音がしてる」って、それに「ここに来て貰えれば狩りに行く手間が省ける」と・・・狩り?狩り?確かに初めのの1・2年は狩りに行ってたよ。最近行かないなって思っていたらそんな理由なの?

まぁ、僕はジルの側に居られるから良いけど


耳を澄ませば、カンカンカンと小さな音が聞こえる。

「何か外にいるな」

ジルは長剣を持って音のする方に行く。勿論本ほ懐に入れて。


僕が何かすると思ってるの?


・・・はい。します。ジルの見えない所で。

だって、あの本が手に入ってから僕にかまってくれないだもん。


音は果樹園の外から聞こえそれとも同時に動物の声が聞こえる。

僕も剣を持ってジルの後に続く。


「犬か?」

ジルがポツリと呟いた。

嫌々。どう見ても犬じゃないよ!!

ライガーウルフって言う、雷を纏った狼だよ。確かに今は小さいが大きく成長する個体だよ!!


「食うとこねぇな」


ジルさんや。ちょっと待って。

ライガーウルフは素早くて雷を纏って剣じゃ中々倒せないモンスターだよ?!


「何だチビ。ケガしてんのか?」


良く見ると子供のウルフの後ろ足から血が出ていた。

ジルが近くまで行き傷の所に手をかざして淡い光が漏れる。


ええ?!ライガーウルフに治癒魔法で傷を治してんの?何で?


グルグルと唸り声が聞こえて視線をずらすと子供のウルフの少し離れた所に二匹のライガーウルフがいた。どちらもガリガリに痩せており足がふらついている。


ジルは視線を戻すと一言

「来い」

と言った。


嫌々。動物にましてやモンスターにライガーウルフに人間のことば分かりますか?

驚愕していると子供のライガーウルフと夫婦のライガーウルフが一定の距離でジルの後を着いていく。


ジルの後に着いてきたライガーウルフに血抜きをして皮を剥ぎ取られた大黒熊の肉を与えた。

何日ぶりのご飯かライガーウルフは僕達が居ることを忘れて一心不乱に食べていた。

よっぽどお腹が空いていたんだ。


ジルはライガーウルフが肉を食べているのを見てから焚き火の方に歩きロッキングチェアに座って背中を預けた。


「いいのかい?」

「何が?」

「熊の肉」

「あー良い。煮込み料理にするのも時間がかかる臭みを取るのに数時間かかるからライガーウルフに与えた方がいい。毛皮はこちらで使えればいいしな」

何でもないように言うジル。

確かにあの大黒熊は凶暴でジルの一振で天に召されたけど、毛皮が欲しかったっだけって、大黒熊が何か憐れだ。


マグカップに紅茶をを注いで、ジルは一口飲み、何事も無かった様に懐から本を出して読み始めた。


パチっと木が音を立てて崩れる。薪を足そうか考えたけど燃え尽きるのを待つことにした。


僕は紅茶を飲んでジルに話しかけた。

「ここに来てもう5年だね。」

「そうだな・・・」

「ここの生活にも慣れたね。初めの1・2年は薪が足りなかったり食糧が足りなかったりしたけど何とか冬を越えた。」

「そうだな・・・」

「もう。ジルはさっきから「そうだな」ばかり僕の話をちゃんと聞いてよ」

頬を膨らませ僕はジルを見た。

小さなテーブルの上にはマグカップがあり隣にはロッキングチェアに揺れているジルの姿が有った。

手元にはボロボロになった本が有る。


僕達はこの本に助けられた。


古代文字は難しく難解だった。


本はたまたまこの田舎に行商人が来て、売れ残りの紙の束をジルに格安で売ってきた。

初めは見向きもしなかったジルも紙の束で紐に縛られただけの本に書いてある見た事もない文字にジルは行商人の言い値の銅貨2枚で買った。


文字は別大陸の古代文字。


解読の本もなく分かるはずもない。何て書いてあるか初めは読めなかった。

鑑定魔法で文字鑑定をしてこちらの文字に変換して読める様になったが、それでも紙一枚の半分しか読めない。


癖の多い文字で古代文字の他といろんな大陸から来た文字を使っている。この文字を書いた人は読まれない為に書いたかも。


今ジルは翻訳しながら本を読んでる。

あんなに嬉しそうにしていると顔をみてると僕も嬉しい。が、ライガーウルフさんよ、食べ終わったら帰ってくれてもいいんだよ?

何ジルの近くで3匹とも丸まってんの?

ここに居着く気かい?

僕は嫌だからね。

ライガーウルフに睨み付けても人間なら鼻で笑った感じでの姿に欠伸をして丸まってる


くそー!!


ジルが持っている魔法の内の一つに時間魔法がある。


植物に急成長させる事や腐葉土を作る事が出来て物や時間を止めたり早めたり出来る摩訶不思議な魔法。


ジルは意図も簡単に使うので僕は使えて当たり前、それが普通だと思っていた。が、違っていた。

普通意図も簡単に使えないのが当たり前だった。簡単に使う方がどうかしてるのだ。


ジルは天才肌だ


どうしてそう思ったか?だって・・・


ジルにお願いして時間魔法を使って林檎に梨にみかんに桃、栗の種を50cm位に成長させる予定が、魔法をかけた同時にグングン伸びて大きくなり、気付いた時には立派な巨木になってた。


嫌々嫌。普通そうなる?


頼んだ僕もそうだけど、こんな何年もここにありました。樹齢1000年ぐらいの巨木になる?

僕は少しの成長でいいって言ったよ?「少し」って言う意味知ってる?

僕はついつい遠い目をして巨木を見ていた。


反応しない僕にジルがまだかと思って更に時間魔法をかけた。

巨木に立派な果実や実がついた。


恐るべし時間魔法。


果実をいっぱいつけた内の林檎を僕は恐る恐る手にとって一口食べた。


「うまぁ~い」


何だこれ?魔法で急成長させたのに、口にいっぱいに広がる果実の甘さ、ケーキやクッキーじゃなく果実本来の甘さに僕はびっくりした果物なんて滅多に食べないから甘くて美味しい。


「ジル、林檎どうぞ」

「ああ、ありがとう」

ジルは水魔法で林檎を洗うとホムラとライガーウルフに投げ寄越し食べた。

シャリ・・・

「う~ん、あまぁ~い。」

「甘いな。」

甘い物が苦手なジルも果物は平気で食べる。菓子のような濃厚な甘さじゃないからいいのだろう。

ライガーウルフも食べてビックリして尾っぽをピンと立てたと思ったら無我夢中で食べまくる。

「スゲー。狼が林檎を食べてる」

ジルさんや。林檎を食べてる狼を見てスルーするのやめてよ。

「ライガーウルフさんや。林檎食べたら森に帰れ」

と僕は言ったが、ライガーウルフは2.3日僕達の庭庭止まった。


「早く帰ってよね!」

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