どんな事が合ってもジル、ホムラ、ロートに勝てないネロ。
「嫌~。参った、参った。迷惑かけたね。
・・・って言うと思ったか! 俺じゃなければ死んでいたぞ!」
身体を取り戻したネロが激昂する。
「「「死ななかったからいいじゃん」」」
ジル、ホムラ、ロートが蝦夷の街観光特集の本から視線に外しネロを見ながら言う。
「何が不満なの?」
ジルが、こてんと頭を倒す。
「力の限りで殴りやがって!!」
手を顔に押し当てて泣くネロ
「 泣く必要な事が有るの?」
ジルは本当に分かって無い。
「ジル?」
「本気か?」
ホムラ、ロートはジルの態度に愕然とする。
(((本当に分からんのか!?もっと力を付けないとジルの手によって殺される!!)))
ホムラ、ロート、ネロが同時思った。
石畳の上にネロが加わり胡座をかいて、ジル、ホムラ、ロートの前に瓶に入った小麦色の肌の筋肉隆々の悪魔。
「「「誰だ?」」」
ジル、ホムラ、ロートは顔を近付けて見る。
瓶の中で躯を小さくさせて震え上がる悪魔。
「俺の身体を乗っ取た悪魔。もう力は無い。全て奪い取ったから」
しれっと言うネロにジル、ホムラ、ロートは、「ふーん」と興味が無い様に答える。
「デリバリーは出来た?」
ネロが気になっていた事を言うとジル、ホムラ、ロートは首を横に振る。
「出来なかった」
落胆するジル。
「残念です」
残念がるホムラ。
「デリバリー出来たらここで、シャインマスカットのケーキと紅茶を頼む予定だったのに、ギルドで聞けば良かった」
悔しがるロート。
「俺の心配は?」
ネロが自分を指して言うと
「「「心配してたよー」」」
心が一切籠もってない言葉にネロは項垂れる。
分かってた。分かってた。
だが、目の当たりにすると心が痛い!
「で、こいつどうする?」
「モンスターに喰わせたらどうなるかな?」
「モンスターよりも妖精の方が変化が有って分かりやすいだろう?」
鬼畜の所業で有る。
「妖精を捕まえるか?」
ジルの言葉にネロは「無理だろう」と答えた。
妖精と言う物を見た事が無い。
まぁ想像で羽が生えてて空が飛べて小さい女性のイメージが有る。
「ほれ」
マジックバックから透明な瓶を出すジル。中には、金髪で短髪の小さい羽の生えた男性がいた。
「「これは?」」
「鑑定したらどうやら妖精らしい。男好きの変態。」
ジルは、大抵の事は多めに見るが変態と言わすのは凄い。
「大体な、人の寝顔を見ながら毎夜。毎夜。耳元でハァハァ言って抜く奴がいるか? こっちが頭おかしくなるわ!!」
爆弾発言で有る。
ホムラ、ロート、ネロの裏でドチューンと爆弾がはぜた光景が浮かぶ。
「よし。こいつを喰わせよう」
ホムラが蔑んだ目で妖精を見る。
「そうしよう」
ロートが軽蔑する視線を送る。
「こいつのせいで俺は殴られたのか」
ジルの攻撃が一番痛かったのはこいつのせいかと確信する。
妖精は蔑んだ視線。軽蔑する視線。憎しみの視線を浴びて嬉しそうに身体をくねらす姿を見せつけジル、ホムラ、ロート、ネロは、「うわっ!」と思い気持ち悪い生き物を見る視線を送る。
ちなみに悪魔も顔が引きっていた。
「なぁ?悪魔と妖精を一つの瓶に入れたらどうなる?」
ネロが瓶の蓋をコツコツ叩いて言うと悪魔は顔面蒼白で首を横にブンブンと振る。
「やってみるか?」
ホムラの満面の笑顔。
ジルの寝顔をおかずにして抜いていたと聞いてジワジワ現実が感じて怒りがふつふつと沸き上がって来る。
バンバンと瓶を叩いて悪魔は辞めろと口パクで言うが、ネロは丸っと無視してマジックバックからジャムの大瓶ぐらいの容器を取り出し逃げれない様に拘束魔法をかけて悪魔と妖精を入れて蓋をしてから魔法を解除する。
「どうなるかな?」
逃げる悪魔に追いかける妖精。
5分が経過した。変化なし。
何もしないで待ってるのは時間が過ぎるのは勿体無いので瓶を中心に置いてジル、ホムラ、ロート、ネロは紅茶タイム。勿論茶請けもある。
カップは悪魔が粉々に割ってくれたのでマイマグカップで紅茶をつぐ。
迷宮 : また始まった紅茶タイム。
彼奴捕まったんだ。今は何の力も感じない、ただの悪魔だ。
ううっ、古傷が痛む。ヒビが入った核が痛む。
早く帰ってくれ。
~悪魔と妖精のジル、ホムラ、ロート、ネロの観察時間。~
1時間後、変化無し。
2時間後、変化無し。
3時間後、変化無し。
4時間後、ちょっと変化有り。
5時間後、少しずつ打ち解けて来た。
6時間後、妖精が悪魔を少し慰めている。
7時間後、悪魔が妖精を少し慰めている。
8時間後、観察するのが飽きた。
9時間後、知らん間に合体して瓶に水滴が着いてる。
10時間後、完全に興味が無くなった。
「どうします?これ」
ホムラが瓶を指で指して興味無さげで、ぶっきらぼうに言う。
「ネロ持ってて」
ジルが言い、ホムラ、ロートは頷く。
イヤイヤ、待て、待て。
何で変な物は何時も俺なの?可笑しいよね?
えっ?可笑しくない?
ホムラ?ロート?
なんで、瓶を俺に渡すの?
受け取り拒否していると後ろからロートなの羽交い締めにされて、ホムラに悪魔と妖精が、合体したままの姿でマジックバックに無理やり突っ込まれた。
因みに、悪魔も妖精も合体に夢中で自分達の置かれている状況に気付いていない。
「変態共を俺のマジックバックに入れるな!」
「だって、ジルは地図や剣や槍、紅茶や薬、その他諸々でしよ?」
ホムラが聞いてくる
「そうだが?」と答えるジル。
「僕は地図、剣、茶菓子」
「ロートは、ロープや備品の数々でしょ?」
「勿論だ」と答えるロート。
「ネロは変な物を持つ役目じゃん?何が不満なの?」
ホムラが頬を膨らませて言う。
「不満?有り有りだ!」
ネロも怒る。
言い合いするホムラとネロ。
そんな時でも「我、感知せず」を貫き、紅茶を飲んでるジルは気配消して空気と一体化になってる。
「じゃ、じゃんけんで決めればいいのでは?」
ロートが助け船を出す。
「これが、グー。これが、チョキ。これがパーだ」
ロートが教えてホムラとネロはじゃんけんをする。
「「最初はグー。ジャンケンポン!!」」
ホムラ、グー。
ネロ、ぱー。
「勝った!」
喜ぶネロにホムラは、
「嫌。違う。石は紙を破る!。僕の勝ちだ!」
「うぇぇ?」
混乱して頭の回転が遅くなるネロ。
「・・・持ちたく無いんだ。」
「当たり前でしよ?。それにあの妖精攻めも受けも出来ると思う。」
「BL関係か?」
「そうだね。ジルには内緒だよ。嫌うから」
「我はジルを襲った事有るぞ。あの乱れた姿は本当に美しかった。」
「その話、詳しく!!」
ロートの腕を掴んで逃がさない雰囲気を作るホムラ。
ロートの眉毛がピクピク動き、ホムラの目がマジだと悟り少しだけ情報を流す。
(ごめんよ、ジル。)
心の中で合掌するロートで合った。
因みにホムラはニコニコ笑っていた。




