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食欲

僕とジルは久々にゆっくり眠った。暴れ回るロートとネロがいないだけで、こんなにも静かなんて、本当に最高だ!

次の日、ゆっくりと露天風呂に浸かってお風呂を楽しむジル。

僕は、夢の中にいた。

一時間程、ゆっくり浸かって、出て来たジルは、白と紺の装備服を着て珈琲牛乳を飲んだ。うん。旨い。

髪をタオルで粗方水気を拭いてパチンと指を鳴らせば、魔法で髪が一瞬で乾く。ブラシで髪をとく。

白銀髪の長い髪が人工の光でもキラキラ光る。蝦夷の人とはまた違う髪。ジル本人は前の様に短髪になりたいが、出来ない。切っても直ぐに伸びる髪の毛。何回か目で諦めた。腰より長くなると伸びる事が無くなる。何故?考えても分からんから考えるのを放棄した。

テーブルの上にあるカモメ新聞を読み、ベッドに寝るホムラを見て何事も無かった様に新聞に視線を落とす。昨日潜り込んて来たホムラにベッドから蹴落とされて目を覚まし、使って無いベッドで寝たジル。案外ホムラも寝相が悪い。

外で、こんなに寝相が悪いの久々だ。

ロートとネロが取っていた部屋は規制線が張られてる。

中をこっそり見たが、見事に台風か竜巻が過ぎ去った後の様だ。

窓ガラスが粉々。備え付けの家具もソファーもテーブルも魔石冷蔵庫もズタズタのボコボコ。びちょびちょに濡れた床にベッド。まるで床上浸水をしたようだ。何をどうしたらそうなる?。弁償金は金貨150枚。安いのか高いのか分からんが、龍やドラゴンの感覚で動かない方が良い。高い授業料だ。

髪を(まと)めてお団子を作るが何かしっくりしない。髪をほどき、結局いつものポニテになった。

そろそろホムラを起こす時間だ。「ここは一時期有名になったバズーカでもぶっぱなす?」と思ったけど、それじゃロートとネロのように賠償金を払う事になりかねない。ここはは1つ普通に起こそう。

ホムラの身体を揺すって起こすけど、中々起きない。ベッドの掛布団を剥がし短パンに上半身裸の姿が現れる。外にある露天風呂をちらりと視線を向けて浮遊魔法で持ち上げて、露天風呂に落とした。

ガボッ!!ゴボッ!!

突然のお湯に目を覚ましたホムラは、お湯から顔を出して「何事?」と言った。

「起きたか?」

降り注ぐ声に視線を向けて一言

「ジル・・・」

「後2時間でチェックアウトだ」

「もうそんな時間ですか?」

「うむ」

「もうちょっと普通に起こして貰えませんか?」

「普通に起こした。が、起きなかった。強行手段で起こした。」

「・・・下着までぐちょぐちょだ」

露天風呂から出て短パンと下着を脱いでジルから大判タオルを渡され身体を拭き、腰にタオルを巻き付けてマジックバックから新しい下着を取り出し履いた。

濡れた下着は水道で石鹸を泡立てて洗い魔法使いで乾かす。

魔法、最高だね!

黒の装備服に着替えこれまた黒の靴下を履いて、黒のブーツを履く。腰には、黒のマジックバックを着けている。

ものの30分で仕度完了だ。

「ジルは寝れましたか?」

「・・・ベッドから蹴落とされた」

「誰に遣られたんですか?」

ジルが僕の顔をじっと見てくる。

えっ?もしかして僕ですか?

「何か、すいません。」

謝罪をするとジルはまた、新聞に視線を落とす。

「朝ごはんはどうしますか?」

「モーニングがあるらしい。行くか?」

「仕度は出来てます。食べに行きましょう」

僕とジルは部屋を後にして、1階にあるレストランに足を向けた。


レストランには色んな食事がある。煮物から焼き物、天ぷら、スープ、カレーにハヤシ、スパゲッティーにお好み焼き、シリアルもあるが、ジルとホムラはサンドイッチとコーンスープを取って席に着いて食べはじめる。

上品な食べ方。「何処の貴族か?」と思われる程上品な食べ方だが、本人はいつもの食べ方をしているだけ。ただ、ジルが箸の持ち方やお皿の持ち方に厳しくホムラに指導したお陰で何処に出ても恥ずかしく無い様になっただけだ。努力の賜物(たまもの)だ。


コーンスープを飲んでナフキンで口を拭き、手を合わせて「御馳走様」と言って、レストランを後にして部屋に帰った。

部屋でソファーに寛ぎ念話でロートとネロとホムラで話をする。

「(ロート、ネロ、起きてるか?)」

「(バッチリ起きとる。)」

「(ん~?今起きたとこ)」

「(遅いですよ。ネロ)」

「(ホムラか)」

「(二人ともおそようございます。1階でモーニングをやってるんから食べに行ってきたら?)」

食事を促すホムラだが、ロートとネロは「否」と言った。どうやら今日は買い食いする予定らしい。ロートもネロがホテルのバイキングに行ったら全てを食い付くす勢いで食べてしまうだろう。

「否」と答えたのは正解かも知れない。

それに食べ方もワイルドだ。

ジルとホムラがいないと食べ方がワイルドになる。ジルとホムラが注意してまともになった。


ホテルをチェックアウトしてロビーでロートとネロを待つジルとホムラ。

乱雑に装備服を着て来たロートとネロにジルがビックリして拳骨を落とした。

柱の影に隠れ人目が無いところで装備服を直した。

見事な腹筋。6つに割れてる。

「コートを着るから大丈夫だぞ?」

「良くても服はちゃんと着ろ!!ネロも!!」

ジルに怒られ、ロートとネロは敬礼して

「「イエッサー!!」」

返事は、ちゃんとするのに、行動が付いて行かない。

「楽しんでる?」

ジルが怒気を含ませた声がロートとネロの耳に入ってくる。

「楽しんでませんyo」

うん。楽しんでる。と僕は思った。ラッパー見ないに「○○○yo」と言う時は、大抵楽しんでる。

ジルは軽くため息を付いてロートとネロにチェックアウトの手続きをしてくる様に言い、カウンターに向かわせた。

僕は、ジルの横顔を見ながら「母親」いると思ったが、敢えてジルに伝えて無かった。

今日1日不機嫌な気持ちで蝦夷を観光したくない。美味しい屋台もいっぱいある。しかも五稜郭迷宮の下調べに五稜郭ギルドも見てみたい。

それに、凄腕の人間達が1000年前にいたと聞いた。

その人達の名前は今は誰も知らないけど、外見はジルと同じ白銀髪の子供1人と色んな風貌(ほうぼう)の大人が6、7人で迷宮を踏破した。それから一度も踏破してない。五稜郭迷宮のボスや出て来るモンスターは、全て人間の様に二足歩行でケタケタ笑いながら武器を振るう。銃の弾丸や大砲の玉が降り注ぎ命がらがらで逃げ出す冒険者が多くて戦闘狂でも寄り付かない迷宮。


ホテルから出て、ジルとホムラとロートとネロはコートを着て屋台の買い食いが始まる。

あっちの屋台。こっちの屋台。両手にいっぱいの買い物袋を携えて空いてるテーブルに行き椅子に座る。山盛りの食べ物が次々とロートとネロの胃袋に入っていく。

「凄い食欲だな」

白いコートに身を包んだジルは言う。

「朝、ホテルで食べませんでしたからね」

ロートとネロの食事を見ながら黒のコートに身を包んだネロが言った。

「○△□%~」

「口の中が無くなってから喋れ」

ジルが言う姿が母である。

「んっ!ジル、ホムラ食べるか?」

ネロが口の回りを汚して話す。

ジルもホムラも首を横に振って「否」と答える。

魔法で口の回りの汚れを落として、第2軍としてロートとネロは屋台に繰り出した。

「まだ、喰うんかい」

呆れた様にボソリと呟くジル。

ホムラが屋台で暖かい紅茶を持って来た。

「ジル、どうぞ」

「ありがとう」

暖かい紅茶を一口飲んで「ほうっ」と息をする。

「処で五稜郭迷宮に行く時は、五稜郭ギルドに行かないと行けません。」

「ん」

「前、五稜郭の桜の木に登って木が折れて足の骨を折った馬鹿が居たそうです。」

「桜切る馬鹿。梅切らぬ馬鹿と言い伝えが有るからな」

「で、五稜郭ギルドで通行手形を貰って五稜郭迷宮に行く事が出来るそうです」

「ん」

「で、前に入った冒険者は5年前で、砲弾や銃弾の嵐を抜けた帰って来たそうです」

「今も生きてるのか?」

「死にました。」

五稜郭迷宮の話をしていたら、両手にいっぱいに食べ物を携え、口に焼き串を咥えたロートとネロが帰って来た。

「串を咥えたまま歩かない!!」

「「すみません!!」」

教育的指導である。

買って来た焼き串の山はものの5分で食べきった。

「ここに居るからゴミをゴミ箱に捨てて来なさい」

「「はぁ~い」」

ロートとネロは、食べたゴミをゴミ箱に捨てに行った。






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