ロート
我の名前はロート。
良く、ロードと間違えられる。
我は、ロートだ!
間違えるな!!失礼だぞ!
冒険者ギルドでも「えっ?間違ってません?」って顔をする。
何だよその「えっ?」は!こっちはちゃんと記入してんだぞ!馬鹿にしてんのか?
良い名前ではないか!ロートと言う名前。
有る国ではロートを赤いと言う意味だ。
我の髪を見てジルが決めたのだ。
断じてロ◯ト◯薬じゃ無い!
それまでの我は、色が無い白い龍だった。
何をやっても色が付かない。それでいて仲間からは嫌われていた。
色が白だけってことで
厄災の龍として
母は、生まれたての我を見て全身で拒否をして発狂し、父は、母を攻め続けて新しい女を作って出て行った。
荒れたね。物凄く、荒れた。
手の付けれない問題児になったのは間違い無い。
行く先々で暴れ。仲間の龍も遠回しに見てるだけ。
我に居場所は無かった。
いろんな街、村、都市に行き破壊続けた我を長老の龍達は良く思わなかった。
呼び出しをくらい、久々に龍の国に帰っても腫れ物に触れる感じで遠回しに見てくる。
幼い龍が好奇心で近づいて来るのを大人の龍が阻止して口々に厄災の龍とひそひそ話をしている。
我は、魔力が豊富に有り、それも他の龍達を怖がらせていた。
そんな大人の龍を見て育った子龍も大人と同じ態度を取る。
ある日に、冒険者の間で我を討伐の話を聞いた。
我に立ち向かってくる人間どもは、弱く尾っぽの一振で壊滅してしまう。
弱い。何て弱さだ!。
そんなに弱くて我を討伐するのかと思っていた。
だが、ある日、1人の冒険者が来た。
黒髪の短髪の黒い服を来た男。
腰には、噂のマジックバックを付けて、長剣を持ってる。
その男を見た時、全身の毛が逆立った。まるで逆鱗を撫でられた様に。
男の用事は我じゃ無く、手前の陸亀の甲羅に有る苔だった。
男は、亀に断りを入れて苔を小型ナイフで取り蓋付きの瓶に入れる。
マジックバックに積めると男は、颯爽と帰って行く。
誰だ?あいつは、誰だ?
我の気配に気付いた様子も無く。ただ陸亀の苔を取っていただけ。
我の魔力はいつもただ漏れなのに気付かない事は無いはず。
なのに男は、我の事は眼中に無い感じだ!
面白い!面白い!面白いぞ!!
我は、気配を出して、男にアピールをするが、男は、何も感じないのかスルーするばかりだ。
それから3年の月日がたった日の事。
我はあの男の事が気になって遠くで観察していたら、いつもは国から出ない龍達が我の前に立った。
どうやら長老が我に用があるようだ。
嫌々だけど龍の国に帰った。
長老がいる祭壇に行くと我に透明な玉を渡しに来た。玉を握っていると魔力を吸収している感じだ。
『魔力を吸収する玉だ。割れ無いように大事に扱う事。』
長老は髭を触りながら我に言ってくる。
どうやらただ漏れの魔力を吸収して他の龍と仲良くしてほしいみたいだ。
長老の言葉に龍達は、嫌々渋々従っていたが我は、一番大切な時期にいない者と扱われていた我に取っては、龍の国の掟とかにも興味が無かった。興味がわかないと言った方がいいだろうか。
一応貰った玉を手にして外に飛び出す。
優雅に空を飛ぶ我は、人間の街の人々から天災が来たと早鐘が鳴らされる。その音が好きだから我は、その街の上空を優雅に通り越す。地上から空を見上げて人間共が、指を指して何か言ってる。
「門を閉めろ!」
龍相手に門を閉めても関係無いだろう?
だって我は、空を飛んでいるいるたのだから、何故気付かない?
ああっ、緊急用の結界石で結界を張っているんだな。
だが我には通用しない。
魔法と打撃に強いからな
あっ!あの男は、我の魔力に無関心の男が出てきた。
我の心が踊った!!
あの男は、複数の人間があの男に付けられている。
男は、何処吹く風の様に森の奥に入って行く。
何故だ?何故?森の奥に?
森の奥には、狂暴なモンスターが、山程いるのに・・・。
木々が無く開けた場所に立ち空を見上げる男。
「ジル!!。今日こそはお前を「うるせぇ」」
ジルが相手の男が言い終わる前に言葉を被せ剣を鞘から抜いた。
それが合図なのかジルに飛びかかる男女の一団は、ジルの一振の剣で全てが、解決した。
首を跳ねられたり、上半身と下半身が泣き別れたり、致命傷をおい後、数分の命の者もいた。
「助けてくれ・・・」
ジルに手を伸ばして助けをこうる一団の1人にジルは見て。
「誰だっけ?」
首を傾けるが、直ぐに興味を無くし、ジルは剣を振り血を飛ばして鞘に戻す。
ジルの回りは、死体が転がっており、辛うじて生きている者からは、胸からドクドクと血が流れて辺りは、血の匂いが充満している。
木々の間からこちらを見るモンスターの気配を感じたジルは、その場から離れた。
「ま、待ってくれ!た、助けてくれ!」
手を伸ばして言うが、興味無いのかモンスターの気配を感じたジルはその場を後にした。
10人程は、まだ息をして生きているが、モンスターが腸からもしゃもしゃと肉食のモンスターが食べ始める。
スライムが来て死んだ仲間の肉体を取り込んで溶かして行く様を見て青くなる生きてる人は無理やり身体を動かしてその場から逃げ出そうとしているが、スライムが触手を伸ばして足に絡み付き生きたまま取り込まれた。
幸い顔が出ているから呼吸は出きるが身体は調整された酸で溶かされて行く。邪魔な防具はスライムが体外に出され、皮膚が溶け筋肉がじわりじわりと溶けて行く。
悲鳴を上げて去って行ったジルの方に無理やり顔を動かして見る女。
(こんなはずじゃない!)
目に涙をいっぱいに溜めて顔まで取り込まれた。針を刺す様に痛い皮膚が溶ける、髪が溶け、身体がドロドロに溶ける。
スライムは女の肉を溶かして新たな死体を取り込んだ。
空にいた、肉食の鳥が、死体に群がり柔らかい皮膚や内臓、瞼、目玉をついばむ。
辺りはモンスターだらけバリバリと骨が折れる音。
森の掃除屋も、ものの30分そこそこで、そこに合った死体は全て食べられ。血の後もスライムが全てを吸収して青葉が輝く大地に戻っていた。
中規模のギルドが居なくなったと言う話は流れたが、迷宮で全滅したのだろうと話が出て、何事も無かった様にこの話は消えた。
我は、あの男"ジル"の後を追った。わくわくとした高揚感に包まれて。だが、我は、あの男を見失った。
何処を探しても見つからず、その日は、塒に帰った。
次の日もその次の日も一週間立ってもあの男を探したが合う事は無かった。
イライラが募った我は、また街、村、都市を破壊しに回った。
それから3ヶ月が立ち、あの男は、山奥にいた。岩蛇を狩る為に。岩蛇は大変な貴重な蛇で、酒に付けて、天然の生薬になったりする。
我は大きな口を開きあの男を飲み込む勢いで我は突っ込む。
紙一重で交わし剣で、ジルが切り付ける。
我は、イライラから段々とわくわくの高揚感に包まれジルの剣が我の胴体を傷を付ける。ちゃくちゃくと傷が付いて来るが我は、初めて向き合ってくれたあの男"ジル"の事が知りたくなった。戦うジルと我。
出会うのが遅すぎた。
我は破壊の限り尽くして龍の国からも討伐依頼が出ていた。我は、ジルに負けたが、満たされない心が満たされていた。初めての感覚だった。命の灯火が消える。我の長老から貰った玉で延命使用としたが、玉が割れて我が流し続けた魔力が、溢れ出して新たな主としてジルに吸収された。
『お主と戦えて我は満足だ。だが、もし願いが叶うならお主と共に冒険したいな』
龍の言葉で言ってもジルに通用するはずもなし。我は、息絶えた。
次に目を覚ました我は、ジルの中にいた。
ジルは、髪が白銀髪になり銀灰の目になっていて3年の月日が立っていた。
「(やっと目が覚めたか?)」
『(我は?ここは?)』
「(異空間にいる。ただ、お前の願いが、叶ったみたいだな?龍の姿にはもうなれんが、人の姿になれるらしい。龍の長老が俺に会いに来た。伝言を預かってる。"済まなかった"と)」
『(今さらか?)』
我は、怒りを滲ませた。
「("第2の生が有るなら好きに生きろ"とさ。後は知らん。)」
念話で話して、我はジルと行動を一緒に過ごした。初めての人の街は何と面白い処だろう。食べ物も買い物も見るの全てが、新鮮だった。
特に焦ったのは人の姿になった我が迷子になった時は、ジルが見つけてくれる事が嬉しくて、何度も迷子になったもんだ。
今は、迷子にはなって無いぞ!
ただ、焼き串の前で涎を垂れて置いていかれたぐらいだ。
わ、分かってる。め、迷惑をかけない。
今はジルの事が大好きで取られたく無いだけだ。




