魔法鉄道
俺の家には、母親がいるが、声を聞いた事がない。
夫婦の中は良好で、いつまでも新婚ラブラブな姿を俺に見せつけてくる。
両親を見ているから俺の結婚相手は、年を取っても両親の様に仲良くラブラブで暮らして行きたい、そんな人に巡り会いたい。
先日、父から"あのお方"の話を聞いた。
びっくりした。生きた赤子を素揚げをしたり、人を食材にしたりして、何も知らずに食べさせられて、最後にその食材は、何だったのかを教えられて、その姿を想像して、その夜は、怖くて眠れなかった。
"異端者"が扉をノックするのかと思って布団にくるまってガタガタ震えた。
仮にももう、大の大人の男が、廁に行くだけでビクビク。
風の音や鳥の鳴き声に普通なら何でもない音にビクビクさながら歩いた。
当時の父の気持ちが、良く分かった。
そんな"異端者"に喧嘩を吹っ掛けた当時の家はお取り潰しにその血族を皆殺しにして、"異端者"に分かるように一家の首を並べたらしい。
遣ることがえげつない。
鬼人族は大変は殺されたが、半分は生き残った。
時間が立つに連れて、昔合ったことが忘れては行けないと思い、辛い記憶から思い出して口伝として大きな湖と森に囲まれた大地で暮らしている。
「明日から魔法鉄道の寝台列車に乗るんだよな?」
「そうだが?」
「土産は酒でいいぞ」
父は、煙管を手にして俺にちゃっかりリクエストしてきた。
◇
「筑紫島に今度行かない?」
「伊予之二名島にしない?」
「陸奥国にしない?」
「えーっと筑紫島は、九国で、伊予之二名島は、四国で、陸奥国は宮城国だったな。何で皆古い地名で言うの?」
ホムラは、昔の地図の地名を思い浮かべながら言う。
テーブルに紅茶とお供のクッキーを食べながらジル、ロート、ネロは、口を揃えて言った。
「「「そんなの格好いいからに決まってる!!」」」
風が僕達の間を通り抜ける。
ホムラは目が点になり、ジル、ロート、ネロは、話を続ける。
ストーブの薪がパチリとはぜた。
「で、何処にする?」
ネロは、筑紫島(九国)、伊予之二名島(四国)、陸奥国(宮城国)のどれかに行く気満々の話をする。
「嫌々。まだ何処に行くか決まってないよ。」
どうやら明後日の方向に行っていたホムラが戻ってきネロの話を止めて、知っている地名を大胆に言った。
「蝦夷は?」
「「「遠い・・・」」」
満場一致になる。
「グリフォンで行けばいいんじゃん」
ジル、ロート、ホムラ、ネロは、想像して少し間を開けて笑いながら
「「「「無理。無理。無理。」」」」
と言って全員手を横に振った。
どう考えても無理が有る。
グリフォン何て、そうそう見つかる物じゃ無い。数の少なさ、扱える者の少なさが関係している。
「無理が有る」
ジルが言う。
「馬で行く?」
ホムラが言う。
「「馬~?」」
ジル、ロートが言う。
「馬鹿言っちゃ行けないべ。馬何て、尻が痛くなるべ?」
ネロが鈍りが混じった言葉で言う。
「やっぱりお金がかかっても良いから魔法鉄道の寝台列車に乗るか?」
ジルは、マジックバックから魔法鉄道のパンフレットを出して、今主力を入れて売りに出してる魔法鉄道の寝台列車を指で指す。
「これ、高いんだよな」
「1人金貨20枚だもんな」
「王都のホテルもそんくらいだったね。」
「列車の旅もいいな」
ジルとロートとネロがため息を付きながら言うとホムラが、
「魔法船で行く?」
と言うが、ネロが東屋の天井を見ながら
「船か~、俺弱いんだよ。船酔いが、凄いんだよね・・・」
「「「「うーん」」」」
「間を取って、行かないってはどうだろうか?」
ジルが案をだす。
「「「NO!!」」」
「・・・」
「船は、ネロがダメだから魔法鉄道だな。」
「海鮮が旨いと言われてる蝦夷に行くか?」
「海鮮?」
「鮭やイクラやウニ、蟹、ホタテが有るところだな?」
「旨いのか?」
「食べた事無いから分からん」
「有名な、五稜郭迷宮にも行って見たい」
「寝台列車のチケットも取らないと行けない。一等客室でいい?」
「二等と三等も有るのか?」
ホムラがパンフレットをペラペラ捲りながら客室のページを開く。
パンフレットには、シャワーとトイレ付きと書いて広いベッドで日常から脱出と書かれていた。
「特別室も有るのか、ほら、ここ。」
パンフレットの料金プランを指を指してジル、ロート、ネロが見る。
「特別室、金貨50枚だって」
「うわっ、高いな!」
「我らは、この前、水晶の迷宮を踏破して、金貨ザックザックにもらったじゃん」
「無駄遣いは極力辞めようと思ってな?」
「何で?」
金は天下の回りものと言われてるのに、使って経済を回そうよ。
「使う時は使うがな」
「冒険者時代の名残です。ロートさんにネロ」
ホムラほ笑って言う。
冒険者時代にお金が無くて困った事が合った。メンテナンス費用や装備品にお金を掛けた。食費を減らし、喫茶店に寄らなくなり、節約する様になった。その癖が治らないだけ。
「寝台列車で蝦夷に行く?」
「鉄道の旅・・・いいね~」
「寝台列車だから食堂車が付いてるな。」
パンフレットをペラペラ捲る。
食堂車の所に豪華なディナーの絵が書かれている。
「酒出るか?」
「頼めば出るんじゃない?」
「予約しないと無理だら~」
「自由気ままな旅。」
「いいね~」
ストーブの薪が燃え尽きて灰になる。
ヤカンの中の紅茶が後、少ししか残って無かった。
「最後に飲む人?」
「貰う」
ネロが、マグカップを出して紅茶をついでヤカンをテーブルの上に置いた。
「酒は、・・・」
「予約料金に付いてくるか?」
「うちらは皆、ザルかワクだからな」
「俺は、下戸だぞ?」
ジルの言葉にホムラ、ロート、ネロが押し黙ってジルを見る。
「何だよ?」
訝しげな顔をするジル
「下戸と言いながらザルなのに」
「酔ったら酔ったで、魔法を撃ちまくるのに」
「我何て、魔法の試し撃ちの実験台になって追いかけられるのに」
ホムラ、ロート、ネロが白けた顔をする。
「誰の話?」
「「「ジルの話だよ!」」」
「・・・」
ジルは目をパチパチと瞬きをして否定をする。
だが、ネロが壊した家があたかもなく消えてる。
先日、王都で買ったお酒を4人で飲んでジルが酔った勢いで更地を作ったのだ。
その記憶も綺麗さっぱり忘れてるジル
「あの時は大変だった。」
「沢山飲ませた我の責任で有る」
「実験台があんなにも辛い物だとは思わんかった。人権が全く無い」
(実験の時は、ジルいい顔で笑ってる)
(怖かった)
(恐怖で眠れなかった)
(((酒は程々にしよう)))
ホムラ、ロート、ネロは心に決めた。
魔法鉄道の寝台列車の予約チケットとしてトヨハシに来たジル、ホムラ、ロート、ネロは、チケットの事をスポーンと忘れて、喫茶店に入りお茶を頼んで観光を楽しんだ。目的の事を思い出したのは、鉄道が閉まって夜の21時が回ったに頃に慌ててホテルを取って4人で明日からはチケットの予約をしようと話をした。
「ううん。何だが、身体中がゾワゾワする。まるで血が騒ぐ感じだ。鬼人族に伝わるこの苦い丸薬を飲んで今日は寝よう」
俺は、丸薬を飲んで眠りに着いた。
その日初めて俺は夢を見た。
白銀髪の女の子と高身長のスラッとした男性と女性。
女の子が俺に気が付いて小さい手が俺の目を隠し楽しげな声で聞こえた。
『さぁ、冒険の始まりだよ♪』
夢はそこで消え深い眠りに落ちた。




