迷宮の後で………
記憶の迷宮から出て一路冒険者ギルドに戻るジル、ホムラ、ススム、アユの4人は、馬車に揺られていた。
「あんたら記憶の迷宮に行ってきたんだろ?」
馬車を操る初老の男性がジル、ホムラ、ススム、アユに声をかけて来た。
「ええ、行って来ましたよ。」
「本当に大変でした。(主にジル様が)」
「あそこは本当に仲間がバラバラになったり、結束力を高める処だが迷宮がえげつないので有名で中々行く冒険者もおらなんだ。」
(あ、あそこヤバい処だったんだ)
「あんたらは、結束力を強固にしたんだな?」
ホホホと笑う操縦士は、次の迷宮の入り口に止まりボロボロの冒険者が、ゾロゾロ馬車に乗ると疲れはてた顔をしているジル、ホムラ、ススム、アユを見てびっくりしていた。
最強と冒険者の間でも言われてる“ジル、ホムラが疲れきった顔をしている”どんな迷宮に行ったんだと思う。
「じいさん、先客の冒険者は何処から乗って来たんだ?」
「ホホホ。記憶の迷宮だよ。」
「えっ!再起不能にする記憶の迷宮に行ったんだ!最強は凄いな」
「最強って?」
「何だ?お前は知らなんだ。一緒にいて」
「冷静沈着で、全ての事に対して動じなく全てを淡々とやってのける人達だよ。」
(冷静ねぇ………)
ススムはジルを見た。
思い出される醜態の数々。
「ススム」
「はい。ホムラ様」
「そっとしておきなさい」
「……ハイ…」
揺れる馬車で目を閉じたススムだった。
◇◇◇
冒険者ギルドに着いたジル、ホムラ、ススム、アユは、空いてる受付の男性職員の方に行った。
「記憶の迷宮の踏破ですね。おめでとうございます。」
爽やかな笑顔で言う男性。
「あそこは、まだ踏破されて無かったんです。皆さん操り人形や恥ずかしい映像に悶えていましたから。」
「「「「………そうですか………」」」」
「エリアボスから何が出てきましたか?」
「それなりに良いものが出てきましたが、あのボスに対して宝箱が小さかったですね」
甦るジルの悲鳴や逃げ惑うジル、ススム、アユの姿を思い出して苦笑いをするホムラ。
「そうですか。では、皆さんのカードを受け取り下さい」
赤いトレーの上にあるジル、ホムラ、ススム、アユの冒険者カードを受け取る。
「本当はどんなボスが出て来たか知りたいのですが、あなた達以外は踏破は無理でしょうから聞きません」
「その方がいいですね。ボスがコロコロ変わるかも知れませんから」
「変わるんですか?」
「さぁ?分かりません。」
ホムラは、にっこり笑い、先にテーブルに移動していたジル、ススム、アユの元に歩いて行く。
「お待たせしました」
「待ってないよ。」
「「お帰りなさい」」
「では、今からカフェに行ってお茶にしましょうか?」
にっこり笑いホムラは言うとジル、ススム、アユは席を立ち冒険者ギルドを出ていった。
王都の観光案内所にある雑誌に今流行りのネコカフェがあるが、ジル、ホムラ、ススム、アユは魔物を見ている為か “ ああ、魔物かぁ ” と冷めた目で見てしまっている。
まぁ、ネコは魔物だが、振り撒く可愛さにメロメロになったりしないジル、ホムラ、ススム、アユだった。
カフェ十六問に着いて、さっそくジル、ホムラ、ススム、アユは、紅茶とショートケーキを頼んだ。
甘い物が苦手なジルがケーキを頼むのは珍しい事だ。
ケーキをジルが2個、ホムラが5個、ススムとアユが3個頼み紅茶のおかわりをして銀貨4枚を払って店を出た。
店を出た時には辺りは暗くなりはじめていた。