記憶の迷宮4
記憶の迷宮4
最下層に降りてきたジル、ホムラ、ススム、アユは入り口からそーと中を覗く。
大きな宝箱が目に入り、ジル、ホムラ、ススム、アユは喜ぶが宝箱を守っている巨大な蜘蛛がいた。
しかも周りに無数の小さくてバスケットボールの大きさの蜘蛛の群れ
ヒィィィ!!!!!!
ジルの顔が青くなってます。
「帰ろう!。そうだ。帰ろう!」
突然言い出すジル。
「ここまで来て何で帰らないと行けないのですか?」
蜘蛛嫌いのジルに対して蜘蛛が怖くないホムラのコソコソ話をする。いつもの念話を忘れる程の今のジルは余裕が無い。
ちなみにススムもアユも蜘蛛は平気だそうだ。
「ジル、落ち着いて下さい。」
「俺は落ち着いてる!」
(((嫌。何処が?)))
と突っ込みを心の中で言うホムラ、ススム、アユだった。
「黒剣で串刺しにすれば大丈夫ですよ?」
「同時攻撃しないと倒せなかったら?操り人形見たいに無力化して蜘蛛の残骸を残しとくの嫌だから!」
「見なきゃいいのです。」
「視界に入る。あの姿。あのフォルム。が全て嫌だ。」
「わがままだな~」
ついつい思った心の声がポロリとホムラの口から出てしまったが、それを聞いて文句を言う程ジルに余裕は無かった。
「あの~、剣じゃなく魔法で倒すのはどうでしょうか?」
ジルとホムラの話を聞いてアユが、一手を投じる。
「魔法が通じなかったら?」
「相手は虫です。火に強い虫何て見た事が有りません。」
「ここは迷宮だよ。」
何でも有りの迷宮。火に強い虫がいてもおかしくない。
「じゃ、水責めはどうですか?」
ススムは水魔法で大きな水球を作り蜘蛛を閉じ込めるのはどうだろうかと言う。
「いいですね!水責め。さ、ジル行くよ~♪」
嫌がるジルをホムラ、ススム、アユが身体を押して最下層に入る。
「ヒィィィ!!!!!!」
「情けない声出さないで下さい!」
「来ます!」
アユの言葉に天井から蜘蛛の糸を垂らして蜘蛛が降りてくる。
「ジル!水魔法を!」
ホムラが声を張り上げてジルに言うが何も起こらない。
「く、蜘蛛が………」
「わ~!!!!!!ジル、起きてください!」
ジルの頬をパシパシ叩いてジルを起こす。
ホムラ、ススム、アユは、ジルが蜘蛛が嫌いなのはシルエットや姿、形がただ苦手だけだと思っていたが筋金入りの嫌いだった。
「ジル、水魔法で閉じ込めて下さい!!」
ガクガク揺さぶって起こしジルの水球で蜘蛛を閉じ込める。
「何処まで持ちます?」
「………魔力が続くまで………」
2時間強で水球の蜘蛛は全て消えたが、まだ巨大な蜘蛛が残ってる。
大きな8つの目玉がジル、ホムラ、ススム、アユを見つめてる。
ゴクリと唾を飲み込み何時でも、どう動いていい様に体制を低くする。
ドシン、ドシンと蜘蛛が動く度に地面が揺れる。
ジルが水球を作り蜘蛛を閉じ込める。
その間にホムラ、ススム、アユで蜘蛛の足を切る………事は中々出来なかった。
「硬い!」
「まるで岩に剣を叩き付けてる感じがします!」
「ジル様、お力添えを」
「駄目だ!固まっている!。雷魔法で!!」
電気分解。酸素と水素が作り出される。
そこにジルが火魔法で火球を飛ばし、大爆発!!
「「「ジル(様)!!!!!!」」」
吹き飛ばされて床に転がるジル、ホムラ、ススム、アユ。
「倒せると思って………」
巨大蜘蛛の足を何本かが吹き飛ぶが紫の水滴から新しい足が再生して行く様を唖然としながら見ていた。
「………再生………」
とジルが呟く。
「………マジかよ………」
とホムラが呟く。
「「気持ち悪!!」」
うん。正しい反応だ。
「水も雷も火も駄目何て、どう戦えばいいんだ?」
「魔法が駄目なら物理戦闘ですよ!ジル、ススム、アユ!!」
走って跳躍して剣を振り下ろす。
「硬い!まるで鎧だな!」
「あれは毛の生えた南瓜。あれはは毛の生えた南瓜。不味そう!」
呪文の様に言いながらジルは跳躍して蜘蛛の目玉に斬りかかり千本以上の黒剣で本体を串刺しにする。
「ホムラ!!黒剣を避雷針にして雷魔法を撃ち込め!!。」
「OK」
「アユ、ススム離れるぞ!」
ジルは言うとススム、アユを壁際まで離れた。
「雷魔法!雷球!!」
バチバチバチ!!!!!!
電気を通しやすい水球を巨大蜘蛛にまとわりさせて感電させる。
プスプスと黒い煙を上げるが、辺りに散らばっている魔力を吸い巨大蜘蛛は体の回復に回す。
「「「「………マジかよ………」」」」
魔力を使わずに倒すのは、大変難しい。
「殺虫剤でも有ればいいのに」
ススムの何気無い言葉にジルとホムラが反応した。
「殺虫剤…有りましたか?」
ホムラがジルに聞くと、ジルは顔を横に振るばかり。
「あの~、殺虫剤は有りませんが、虫を弱らせる匂いの物なら持ってますよ?」
アユが申し訳なく言うとホムラが、アユの肩に手をおきガクガク揺さぶって
「本当?!」
と聞いていた。
取り敢えず、落ち着こうよ。ホムラ。
「規格外野菜に効くのか?」
いえ、野菜では有りませんよ。ジル。
あれは蜘蛛ですよ。蜘蛛。
「ただ、蚊とかに効き、蜘蛛には効かない奴でして…」
「「駄目じゃん!!」」
「そう言えば、回復出来ない程の魔力か、受け流せない程の魔力で倒すか本当に物理攻撃で殺るかですね」
「物理は嫌だ。魔力でゴリ押しで行く」
「龍とドラゴンを倒したんですから物理攻撃で行きましょう。ジル」
嫌がるジルを横目にホムラほ物理で攻撃をする事になった。
◇◇◇
満身創痍になって床に寝転ぶジル、ホムラ、ススム、アユの4人。
巨大蜘蛛を倒してドロップ品は蜘蛛の糸だった。
欲しがらない。
ジルはホムラに譲った。
「ロープ位にはなるかも、蜘蛛が守っていた宝箱が有ります。」
「開けたくない。蜘蛛がいるかも」
「もういませんよ。きっと」
「そうですよ。ジル様」
「大丈夫ですよ。…きっと」
巨大蜘蛛が守っていた宝箱を鑑定した。
鑑定 : 宝箱に擬態した蜘蛛。
「駄目じゃん。ほら駄目じゃん。」
とホムラが言う。
「いらない。欲しくない。帰ろう!」
とジルが言う。
「この蜘蛛を倒せばお宝が手に入りますよ?」
とススムが言う。
「宝箱に擬態しているなら、開けずに宝箱を剣でぶっさして貫通してしまえばいいのではないでしょうか?」
とアユが言う。
目から鱗の状態でジルは黒剣を展開し、刃先を宝箱に向けて大小の剣でぶっさした。
「あっぶね!」
ススムの顔スレスレを通り宝箱は、黒剣の針山状態になっている。
「ジル。見たく無いから何も言わず攻撃はよそう。僕達首や顔のスレスレを通ったんだよ。」
ホムラがやんわりと注意をする。
宝箱の擬態が解けて蜘蛛は大小の剣に貫通しており、淡い光と共に消えて行った。
ボスを倒し出てきたのはまた宝箱。
今度こそ本当の宝箱なのにジルは何回も鑑定をしてホムラ、ススム、アユは苦笑いをしていた。
宝箱を開けて見ると中から金銀財宝にミスリルのショートソードとマジックバックだった。
記憶の迷宮なのに誰1人として映像を見る者はいなかった。