記憶の迷宮2
記憶の迷宮
次は、ジルの記憶だった。
「次はジルだね。何が映るのか?」
ホムラはクスクス笑う。
映し出されたのは、大盛の食事を綺麗に食べるジルの姿と隣で慌てて食べている筋肉隆々の男
「あー、俺を見て『冒険者ごときが俺に勝てるはずない』何て言ってて奴の得意分野で勝負したんだ。しかも完食出来ればお代は無し。お腹空いていたから乗ったんだ。」
「完食したのですか?」
「もちのロン」
「あの量を食べきったのですか?」
「そうだと言っている。」
あの量をねぇ…と顔をしてるホムラとススム。
かるく4人前は有るだろう。
「味は美味しかったですか?」
「うん。意外と美味しかったし、その後も名物の大盛の料理を頼んでいたら店主に泣かれて出禁になった。」
出禁になった…。
えっ?出禁ですか?
「食べきったらお金払わなくていいと言う謳い文句で毎回完食していたら泣かれた。何がいけなかったのだろう?」
いまだに分からない顔をする。
あれだけ食べてお金を払わなくていい何て言ってる店主も店主だ。
普段のジルは小食だ。
そんな量で足りるのか?と思うぐらいだ。
だが、食べる時には、ガッツリ食べる。
隠れ系大食いなのかも…
「たまに保存していた肉が足りない時が有りました。僕も食べていましたから」
ここにもいたー!!
隠れ系大食いが!
「敵は、オークか」
え?………二足歩行の豚?!
どうします?どうします?
「オークの肉は久々ですね。ドロップすればいいのですが」
「肉も底をついた。狩って俺達の食糧にせねば!!」
「…ブヒ?!」
後退りするオークにジルは、鞘から剣を抜き斬りかかる。
「当分野菜だけの料理はごめんだ!仲間を呼び、俺達の食糧になれ!」
「ブヒ!」
中華包丁を振り下ろすオーク。
簡単にはかわすジル、ホムラ。
ススムは感心して食い入る様に戦闘を壁に引っ付いて見ている。
ジルの影から一振の黒い剣が出た。
「えっ?! 影から剣が出て来た?」
黒剣が宙に浮き、オークの左肩に突き刺さる。
「ブヒ!」
オークの肌に突き刺さった黒剣を握り抜くと淡い光で黒剣が消えた。
「ブヒィ~」
ニヤリと笑うオークの前にジルの影から沢山の黒剣が出て来て、その全てにホムラの雷がまとってある。
「ブ、ブヒィ!!」
それからは簡単だった。ジルとホムラの息の合った混合で3メートルもある脂肪がたっぷりのったオークを討伐した。
しかも、ドロップ品が何も出ない。
ジルとホムラは
「「チッ!!」」
と舌打ちして不愉快丸出しで次のエリアに行った。