冒険者カードを作ろう
真冬の寒い中馬車に揺られて僕、ジル、アユ、ススムは、王都のアジフライ専門店にやって来た。
この店はアジフライ一本で勝負している。名前は“五右衛門”。
ジル、僕、アユ、ススムは店内に入り美味しいアジフライを堪能した。
「アユ、ススム、アジフライは美味しかったかい?」
「「はい」」
「良かった。次は、ティラミスを食べに行こう!」
僕はそう言ってジル、アユ、ススムをつれて“十六問”に行った。
「何がいいかな?」
「俺は紅茶だけで」
ジルは言うなりメニュー表を渡して来た。受けとる僕は、さっそくメニュー表を開いて見る。
「僕は無難に抹茶パフェにします。」
ティラミスはどうなった?
「私達はイチゴのパフェにします。」
「ススムもそれでいいのか?」
「私は、キャラメルモンブランパフェが食べたいです」
「じゃ、オーダーするね」
僕はテーブルの上にあるピンポンを鳴らし店員が来たら紅茶4つにチョコレートパフェとイチゴパフェとキャラメルモンブランパフェを頼んだ。
パフェが届き僕、アユ、ススムに食後のデザートを食べる。
少しして温かい紅茶が届きジルは一口飲んだ。
「寒い中、良く食べるね?」
カップを置き、パフェを食べる3人を見てジルは苦い顔をした。
甘い物が苦手なジルは、ストレートで紅茶を飲む。
「「「甘い物は別腹です」」」
「そ、そうか」
真剣な顔でキリッとして言う3人にジルは、たじたじになり、顔は引きっていた。
ポットから紅茶を注ぎ、口をつける。
ジル、ホムラ、アユ、ススムが座る席だけが高貴の人がお茶をしている様に回りから見られていた。
「次は、何処に行く?」
「第8迷宮と呼ばれてる処。初心者迷宮とも呼ばれている。」
ジルとホムラの話にアユが片手を上げて申し訳ない顔をして会話に入る。
「第8迷宮は、今は立ち入り禁止になっております。」
「「えっ?」」
「先程、冒険者と言われる人?達が、アジフライを運んでいた店員に第8迷宮で大量の死者を出したと言っておりました」
アユがにっこり笑い話す。
「そうか、なら中くらいの行く?」
「初級の迷宮にしとこ第8迷宮とは別にある初級の処に」
「では、アユとススムに冒険者カードを作るか?」
「俺たちには鬼門の冒険者ギルドに行くか?パフェを食べたら。」
「そうしましょ」
パフェを食べてまた新たにスペシャルチョコレートパフェを頼んだホムラとアユとススムに紅茶で追加したジルだった。
◇◇◇◇
「来ちゃったね。ギルド。」
そう言いながらホムラは、扉を開けた。
騒がしいホールが一瞬静まるが、何もなかった様に騒がしくなるホール。受付にホムラ、ジル、ススム、アユが行き、受付に声をかけた。
「冒険者登録をお願いします。」
ジル達を見ても何にも言わず、淡々に書類を出す受付の人。
「では、こちらに名前と使用する武器の名前を書いて下さい。」
出されたのは紙1枚。
ススムに渡された。
「(ススムだけ?アユの分は要らないのか?)」
「(………アユって誰ですか?ジル)」
「(………さぁ?………誰だろう?………ここには俺、ホムラ、ススムしかいないからな………?)」
「名前はススム、武器は脇差し」
「脇差し?」
「1尺から2尺未満を脇差しと言います」
「「へー。そうなんだ。処で肝心の武器は何処?」」
「!!。有りません。」
「ですよね。まーショートソードって書いといたら?」
書類に名前を書いて受付の人に渡した。
「このカードに一滴の血を着けて下さい。」
針とカードを渡されてススムは、中指に針をぶっさして血を出す。カードに血を着けて受付の人に渡して、カードが出来るのを待つ。
「お待たせ致しました。ススム様、こちらがカードになります」
手渡されたカードはデカデカとEと書かれているカードだった。
「手際がいいですね。」
ホムラがギルド職員に声をかける。
「ほめても何も出ませんよ。ホムラさん。王都の冒険者ギルドでは、有名な方です、“悪魔ホムラ”と呼ばれる程、有名な方ですから」
能面の様に淡々と言うギルド職員。
「悪魔ホムラって………」
「今度は、この新人を潰すのですか?」
「潰す?そんな事しないよ。」
とんでもない事を言わないでくれと言わんばかりな態度をするホムラ
「ここで簡単な初級クラスの迷宮はある?」
話に割って入ったのはジルだ。
「これは、ジルさん。貴方が声をかけるのは珍しいですね。雨でも降るのでしょうか?」
「俺が帰ってからで大規模災害に有ってもいい。 処で初級クラスの迷宮は有るのか?」
ジルも顔色を返す淡々と言う。
「戦闘なしですが、精神的にダメージをおう迷宮なら有りますが?」
「そこにする場所は?」
「王都の南端です。乗り合い馬車も通って有ります。」
「分かった。ありがとう。 ホムラ、ススム、明日はえげつない迷宮に行くぞ」
ジルはそう言ってホムラ、ススムを連れて冒険者ギルドを出て行った。
「お前命知らずだな。悪魔ホムラと手綱を持つジルさんに話が出来るな。」
「話すと意外に違いますよ。ですが、あの2人はたまに氷のような瞳をします。特にジルさんは、ごく稀にですが、ホムラ意外の人をゴミを見る目で見てます。………私はホムラよりジルさんの方がよっぽど怖い。」
「何でジルさんにはさんを付けるのに何でホムラさんにはさんを付けないのだ?」
「怖いからですよ。ホムラは笑って受け流しますが、ジルさんは、きっと笑わない。恐ろしいんだ。言葉に出来ないくらいに………」
そう言ってギルド職員は黙った。