ジルとホムラ、奴隷を買う
ホテルで一夜を過ごし、朝の日の出と共にホテルを出る。
「ん~………。おはようございます。いい天気です。」
「ん~………。おはよう。いい天気だね。」
全く同じ事を言うジルとホムラは、笑った。
二条都市の外れに奴隷商人の店がある。一見さんお断りの処だ。
京都の料亭か!
とまぁ、少し脱線をしたが、この奴隷の商人は大々的に看板は出していないが、結構有名な奴隷商で、その中には、犯罪奴隷や借金奴隷がいる。たが、奴隷達の顔は明るく自分達を売り込む。
買い手市場なので少しでも良く奴隷達は自分達を良く見せようとする。
「ここだね。ホテルの従業員が言う処は」
「ここだね。小さい看板にゴツイ兄ちゃんがいるっていってたからね」
「何か用か兄ちゃん達」
黒の服を来たスキンヘッドの筋肉ムキムキの大男がジル、ホムラに言ってくる。
「「ここは、アドルフ奴隷商会で間違いないか?」」
ジル、ホムラは淡々と話をする。幾度と無く命の取り合いをしてきた為か強面の顔でも平気な2人はマジックバックから1枚の紹介状を渡す。受け取ったスキンヘッドの大男は商会に入って行く。
5分もしない内にスキンヘッドの大男と細身の男が出て来て門開けてジルとホムラを通した。
商会の中の談話室で、商会のオーナーとオーナーの後ろに大男とテーブルを挟んだ反対側にジルとホムラが座っている。
「私はオーナーのアドルフと言います。ここは初めてですか?」
「「初めてですね。」」
「お名前をお聞きしても?」
「ジル」
「ホムラです。奴隷商会って事は知って来ています。処で、路地裏に首輪をしていた人を見かけたのですがあれは?」
「ああ、あれは人様に牙を向けた厄介者の奴隷で、見つけ次第に処分される者達です。逃げ足の早くて中々捕まらないから手を焼いていると領主達が言ってましたね。」
ハハハとアドルフは笑う。
「そうですか」
「処でどんな奴隷をお探しで?」
「ああ、戦闘が出来て読み書きが出来て1の事を言って2の事は理解出来る人」
「ふむ。では、」
アドルフは一冊のファイルを持ってきた。
「男でも女どちらにしますか?」
「どちらもいるんですか?」
「戦闘、情報収集が出来ればどちらでもいい。」
「今から2人連れて来ます。彼らは人族の姉弟です、親の借金に売られ私が買ったのです。」
大男が連れて来た男女は、同じ背丈の姉弟だった。
「姉の方をアユ。弟をススムと言います。」
「アユと言います。弟共々宜しくお願いします。」
頭を下げるアユ。
「弟のススムと言います姉共々お役に立てると思いますので宜しくお願いします。」
弟のススムが頭を下げる。
「どんな事が出来るのですか?」
「潜入に情報収集です」
「俺達は、今は無い忍と言うの家系の者です。少しの医術も心得ています。」
「戦闘を見たいのですが、出来ますか?」
「闘技場では無いのですが、少しの戦闘訓練が出来る処は有ります。」
少し開けた場所について姉弟とジル、ホムラが手合わせをする。
アドルフが号令をかける。
「初め!!」
姉弟が揺らめく様に消えジルが、ゆっくりと剣を鞘から抜き後ろに刃を向ける。
キィィィン!!
「!?」
ススムがびっくりして動きを止めジルが振り向き腹に拳を打ち込む。
その時ホムラは、姉のアユの後ろに回り背中を肘で打ち込む。
「!?」
アドルフは、呆然。
強い2人に本当に「奴隷が必要なのだろうか?」と真剣に思うアドルフ。
「弱いね」
とホムラが言った。
悔しがるアユとススム。
手も足も出なかった。2人共流れる水の様に剣や体術を扱う。
((勝てない。勝てる気がしない))
ジルが鞘に剣をしまってホムラを見る。
「(どうする?)」
「(鍛えればそれなりは、強くなると思います。)」
念話で会話をする。
「(買う?)」
視線で2人を見て、
「(これ以上の掘り出し物は無いと思います。)」
とホムラは念話で答えた。
「店主」
「は、はいぃぃぃ!!」
恐怖に引きった顔をしてアドルフは声を上げた。
「「?」」
「彼女達を買います」
「あ、ありがとうございます。」
姉のアユは金貨500枚、弟のススムは金貨550枚で、その場でジルとホムラは金貨1050を払った。
奴隷の紋章を押して彼女達は正式にジルとホムラの物となった。
ジルとホムラが彼女達に払う給料は銀貨1枚になった。
これでも高いそうらしい。普通は銅貨位しか出さないのだ。
奴隷商会を出た4人は、外で食事をすませてホテル・ハマナスに戻る。
奴隷を買ったジルとホムラは、ホテル・ハマナスに戻り新たに部屋を取り姉弟を入れ使い方を教えて初めに風呂に入る様に促す。
奴隷商会の処も衣食住はちゃんとしていた。今日は色々有ったので早めに風呂に入り休ませ次の日、ロビーに待ち合わせにしてジルとホムラは部屋を出た。
次の日、ジルとホムラはロビーにいた。
遅れて慌てて走ってきたアユとススムは一番に2人に謝罪を述べた。
「気にしなくていい」
「僕達も先程来たので」
席を立つとフロントに行って戻ってくる事を伝えてホテル・ハマナスを後にして外にでる。
「今日は皆で喫茶店に行きます。」
歩いて5分の処にある喫茶店に入る
「いらっしゃいませ。お好きな席にどうぞ」
「ソファー席にしよう。こっち」
ジルが先頭になって奥の壁側の席にジルとホムラテーブルを挟んで反対側にアユとススムが座った。
「アイスコーヒーでいいか?」
「何でもいいです」
「入るのが初めてなので何を頼んだらいいのか分からないのです。」
「そうか、それで、ススムの「何でもいいです」だね。勝手に決めるよ?」
「「はい」」
店員を呼ぶボタンを押すと、お盆を持った店員がお冷やとお手拭きを持ってやって来た。
「アイスコーヒーにガムシロを入れて、フレッシュ付きが4つに山切パンにアンコ付きで別にゆで卵を4つでお願いします。」
伝票に書いて行くと
「以上で宜しいですか?」
「はい。以上で」
「畏まりました」
店員は、パタパタと厨房に戻った。
ジルとホムラは手袋を外し、お手拭きで手を拭いてお冷やを一口飲んだ。
ジルとホムラの左手首には外す事が出来ない腕輪がしてあった。奴隷契約をした時に腕輪にして欲しいと頼んだのだ。
「お待たせ致しました。アイスコーヒー4つ、フレッシュに山切パンにアンコとゆで卵を4つになります」
「ありがとう」
「ごゆっくりどうぞ」
店員は、次の客を接客しに行った。
「山切パンにアンコをのせて食べると美味しいよ」
ホムラに言われてアユとススムはマーガリンをたっぷりと塗った山切パンにつぶあんをのせて一口食べる。
「「美味しい」」
緊張していた顔が緩む。
ジルとホムラはほっとして山切パンにつぶあんをのせて食べる。
「美味しい。」
「お腹が空いてるなら追加で頼むかからお腹空いているなら言ってくれ、それと満腹状態で行く処がある。沢山食べてくれ。」
「「はい」」
結局追加は頼まずにお金を払い喫茶店を後にした。
「これから何処に行くのですか?」
「新しい服と靴を買いに行くんだ」
「お腹いっぱいにしとけば服に余裕が出来てちょうどいいだろ?」
「でもご主人様に新しい服や靴を買ってもらうなんて、申し訳ないです!」
「気にしない。これは昨日ジルと決めたのですから」
にこりと笑うホムラ。
喫茶店から出て歩いて10分程の処にある服屋に入る。
そこで、アユとススムに服を買った。
アユは黒のメイド服に白のエプロンを3枚買い、ススムには、黒のスーツを買い、近くの靴屋で黒の革靴を買った。
その他に私服は10着程、買いホテルに戻った。
明日は、マジックバックが売っている処に行こう。