消えてる?
あの青い光がなんだったのかは分からない。
ただ、首を切ってもデュラハンの様に首を求めて歩く魔物君になっただけ。
青い光で皮膚を高温の熱で焼かれる様に皮膚を溶かして中から黒い粒々した砂の様なザラザラした物が出ていく。でもそれも最後には焼かれ消えた。
「あの光は何だったのでしょうか?
僕は分かりませんがジル、ロート、ネロは、分かりますか?」
「嫌。俺も分からんかった。
ただ、1人の男性が、道案内してくれて名前を聞いても『名乗る者でも有りません』って丁寧に言うから深く聞けなかった。しかも古代語で言うからビックリした。」
「我は違う。あんなにすらすらと共通語出てくるのかと思ったよ。ネロは、何語で聞こえた?」
「俺は聞いた事もない言葉で聞こえた。」
「「「えっ?」」」
ジル、ホムラ、ロートが一斉にネロを見る。
「何を言っていた?」
「分かんない。」
「声質から男?女?どっち?」
「それも分からない。
ただ、一緒に歩いて来ただけ。その時の会話も全く聞いた事もない言語だった。」
青い光が消えた夜空を見上げてる。星が大きく輝いて綺麗だ。
「とりあえず、家に戻るか」
考えても分からずジルの言葉に僕、ロート、ネロは賛同して自分達の家に帰った。
◇
家について夜空を見上げる。
星の位置が全く違う。
ジル達は星の位置で大体の時間を把握をする。
始姐の森に着いたのが大体19:30過ぎについて、なんやかんやあって30分位だと思っていたのが、23:02かなり時間が経過して帰って来た。
しかも月の位置も変わっており、冬が来た頃に始姐の森に行って、今帰って来たのに世界は桜が咲いてる。
「春の星空?」
「「「えっ?」」」
ジルの呟きに僕、ロート、ネロが空を見上げた。
春の大三角形が空にあった。
おとめ座のスピカ。
うしかい座のアルクトゥールス。
しし座のレグルス。
他にこじし座、かに座、うみへび座、からす座、ろくぶんぎ座、コップ座、ポンプ座、おおぐま座、こぐま座、りょうけん座、かみのけ座、てんびん座がある。
「春の星座だ。本当だ。」
ロートがポツリと言う。
「とりあえず家に行ってみない?」
僕が言いジル、ロート、ネロは頷いて自分達が住んでる家に行った。
玄関の扉をギィィィィと音を立てて開けると埃とカビ臭い匂いが充満する。
「「「「………」」」」
何事無かったように僕は玄関の扉を閉めた。
「ジル、風魔法で埃や臭いを外に追いやって下さい。」
「こもってる空気も換気するよ」
バンダナをマスク替わりにして玄関の扉を開けて中に入る。部屋の隅々にある窓を開け風魔法を使い埃を外に吹き飛ばし、探索でカビが付いてる処にカビ除去魔法を使う。アルミ缶に入ってる水も水魔法を使い外に出し雷魔法と水魔法でアルミ缶の内部を除去する。
「いいよ」
ジルの声で僕達は家の中に入る。
ほんの2時間程出て行った時のまま何一つ変わってない部屋。
嫌。変わってる。
僕、ジル、ロート、ネロが写ったはずの写真に変化が合った。
「消えてる?」
写真立てに笑顔で写った僕、ジル、ロート、ネロの4人の内、ロート、ネロが消えていた。
「ジル、これ。」
僕は写真をジルに見せた。
写真を見たジルは、「これがどうした?」と顔をしている。
ジルには、4人の笑顔で写っている写真のままだった。
僕とジルでどうやら見えてる違いがある。
「本当に4人が写っている?ジル、落ち着いてもう一度ご確認して下さい。」
僕に言われて渋々もう一度写真を見てビックリしたジル。
「いるよ俺、ホムラ、ロートとネロがちゃんといる」
ホムラだけロートとネロが見えなくなった。アルバムに貼ってある写真を見ると全ての写真でロートとネロが消えていた。
だからジルがロートとネロの似顔絵を書いて見せた時、絵は黒のペンで塗り潰されているようになっていた。




