始姐の森
始姐の森に足を踏み入れる。
冬なのに植物が青々しく至る所に花が咲いてる。
取り分け目立つ花もある。
茎や葉にトゲが刺々しく目立つ。
クネクネ動く植物を見て
「あれはなんだろう?」
とホムラは言うと、足を止めてジルも植物を見て、
「とりあえず、食べ物ではないな」
と謎の考えを出した。
「ジル、とりあえず食べ物で考えるの辞めようか?」
ロートがしれっと注意を入れる。
ジルのとりあえず食べれるか、食べれないかで基準を付ける変な癖は前からホムラ、ロート、ネロが気にしていた。
モンスター=食べれる。
そうだな。モンスターの肉は食べれるな。
植物=食べれる。
そうだな。野菜は栄養が有るから食べた方がいいな。
魚=食べれる。
魚しか取れない栄養素が有るから食べた方がいいな。
悪魔=食べれる?
悪魔?食べれないでしょ?
人間=食べれる。
………違う。違う。違う。違う。
人間は食べちゃダメです。
「食べないよ。だって不味そうだもん」
「そーか。そーか。………えっ?………不味そう?」
「うん。美味しそうに見えないんだよね。」
イヤイヤイヤ。それ普通ダベ。「美味しそうに見えない」のは普通ダベ。
「脂肪たっぷりからガリガリまでいる」
「まぁ………いるな………」
「それでも食べちゃダメだよジル」
ジルは笑いながら「食べないよ」と言っていたが、あの茎や葉が刺々しくそして何より動く姿を見て一言「美味しそう」と言ってホムラ、ロート、ネロにズルズル引っ張られながら植物を処を通過した。
ちなみにあの刺々しくなっている植物は、昔始姐の料理と魔界でもらった種を埋めた処で、魔人達も「あれー何かな?………可笑しいな………待て待て現実を見ろ!」と一悶着が有ったみたいだ。
底穴の迷宮に小鳥遊と言う迷宮?があった。
「迷宮だ入らないか?」
「入らないよ。薺を探しに来たんじゃん。そっちの方が先じゃないか?。生きて出れればの話だけどね。」
始姐の森は、踏み入れただけで、死が口を開けて待っている。
薺は前来た時にお香を炊いて持ち歩いた。
今回もそうしたんだろうが、匂いのチョイスが悪かった。
香木で削り取ったのではなくどちらかと言うと線香や蚊取り線香の匂いだ。
「サクサク歩くけどジルは何処に向かえばって言ってるそばから今度は何処に行くー!!」
ロートがジルの首根っこを掴み独りで何処かに行くのを阻止する。
「ジル、僕達はチームですよ?」
ホムラがニッコリ笑顔で言うと
「………?ああ、そうだったな。」
と何かを思い出した様に言うジル。
「そう言えば、ツッコミのネロがいないんだけどいいのか?」
「「えっ?」」
ロートとホムラは慌てて振り返るが、そこにはネロがいなかった。
「なんて言う事でしょう」
「ナレーションを付けんでも良い。」
「ジルは広範囲魔法で探せる?」
「………」
「ジル聞いてる?」
ホムラがやや怒気を含ませて言っても返事がないので振り返って、ジルがいた方を見た。
「………いない。………ロートさん!」
隣にいたはずのロートを見上げるが、ロートもいなくなった。
「僕1人?」
ホムラはすぐに行動を移さず、ジル、ホムラ、ロート、ネロで決めた大きな屋敷の玄関で待ち合わせにしていた事を思い出して一歩を踏み出す。
手に持っていたランタンの炎が怪しく揺れる。
ロートが魔法で作り出したライトは時間と共に消えて行ったので、松明より安全なランタンを持って来たのだ。
大きな屋敷の方に歩いて行くと、枯れたいたはずの噴水が溢れんばかりの水が流れてる。花壇には季節外れの花。遠くには果樹園が有るみたいだ。
僕は、ゆっくりと歩いて、途中立ち止まったりして景色を見ていた。
案外図太い神経を持っているんだね?
そんな事ないよ。内心ヒヤヒヤだった。
ここに咲いてる花や草、石畳、噴水に触れないように最新の注意を払って僕は屋敷に向かった。