9話
「これにしましょう、一番似合うと思うの」
「防御力重視じゃないと、駆け出しは厳しいから、もっと厚いやつがいいな」
僕らは、街の隅の防具店に装備を買いに来ていた。
日にちはなんと、一日さかのぼって昨日。
なにがなにやらわからなかったが、元日本にいた時、娯楽に浸っていたかいあって、だんだん状況がつかめてきた。
草原にいた時、目の前に現れた文字リープ。
どこかで見覚えがあると思ったら、自分の役職通知カードの、その他の欄に記入されていた文字だと気付いた。
どうやら時間をさかのぼる能力らしい。
何度かリープと唱えてみたが、何も起きなかった。
発動条件はわからないが、この能力のおかげで僕は今生きている。
強敵が現れて何もできなかった。
どうしたら強くなれるか考えた結果。
もっと溜めてからにしようと思ったのだが、まずは身なりからだと思い、防具を買いに来た次第である。
「これにこれにこれ、それとこれ下さい」
「ちょっとまった!、そんなに買えないよ」
「そうだっけ?着替えは必要だと思って」
「一着でもちゃんと毎日洗濯すれば、着回すことだってできるよ」
「夏雄に似合いそうなのがいっぱいあるのに・・・ちぇっ」
タンクトップのようなものから、ボクサーパンツのようなものまで、色んな装備がある。
「軽いな」
「ねぇねぇ夏雄、次これ着てみて!」
優奈は次から次へと装備を持ってくる。
あの熊、打撃を使ってきてたし、打撃に強い、身軽なやつがいいな。
そう考えていたら、いいのを見つける。
「動きやすいし性能もいい、これにするよ」
僕は、ヒートテックのような装備にすることに決めた。
「スッキリしていて、いいわ。まだ買いたいのあるのに残念。お金って大事ね」
「僕の装備は十分だよ。それより優奈の装備、そこのローブなんていいんじゃない?魔法の補助付って書いてあるし」
「夏雄から貰ったペンダントがあるから、他にはいりません」
「だめだよ、強いモンスターが出たら僕だけじゃ守りきれない、身を守る手段は多いにこしたことはない」
「守るだって、男の子だね」
試着してみると、体のラインがくっきり見えて、布が少なかった。
一言で言うと、凄くエロい。
こっちの世界だと普通なのかもしれないが、僕には耐えがたい。
「どうかな、似合う?」
「こ、こっちのにしよう。同じ効果で防御力も高いよ」
この美少女、なに来ても似合うんじゃないかって思うくらいの美しさだった。
微笑むと、吸い込まれそうになるような感覚を覚える。
僕の知っている魔法使いはこの服装に尖がり帽子をかぶって完成だ。
欲しかったのだが結構高い、また今度にすることにした。
装備を整えたら次はレベル上げだ。
役職の通知カードにはレベル1と書いてあるが、モンスターを倒すたびに増えて行くはずなんだ。
あの熊がレベルいくつで倒せるかわからないけど、地道に上げて行くしかないだろう。
僕と優奈はギルドに戻り、掲示板の依頼を見ている。
「だめね、どれも上級からの依頼ばっかり。初級は薬草集めとか、魔法鉱石拾いとか、討伐の依頼が少ないわ。どうしても討伐の依頼がいいの?」
「討伐がいい。どうしてもレベルを上げたい」
簡単には進まない。
こういうところはゲームと違ってリアリティがある。
ゲームなら経験値の多く貰える狩場なんかがあったりするものだが、全く見当たらない。
半分諦めていたところだった。
新しい張り紙が貼られる。
「オクトパフの討伐、・・・初級の依頼だ!」
ついに初級の依頼を見つけたのだ。
もちろん引き受けることにした。
僕たちは孤児院に戻り依頼に備えるのだった。




