5話
「僕が抑えてるうちに早くとどめを刺してくれ!」
僕らはじめじめとした草が生い茂る、小さい草薮に来ている。
2人ということもあり、今日の依頼は少し高めのものをチョイスした。
「絶対に無理、これだけは譲れないの」
巨大ゴキブリン一体の討伐である。
人半分くらいの大きさで、素早い上にかさかさとすごい腕力だ。
このモンスター普段は群れで行動するらしく、一匹見つけると百匹はいると言われているのだが、まれに単体で街付近の草薮に迷い込むのだという。
足は六本あり、一番下の足だけ人の足とよく似ていて、興奮すると二足歩行で動き回る。
見た目はゲテモノだが攻撃手段はないらしい。
冒険者の中ではあまり人気のない依頼だ。
一人だと討伐するのに大変困難するらしく、協力して倒すつもりだったのだが・・・。
「特性殺虫剤をかけるだけなんだ、早くしてくれー!」
「殺しは、生涯に決めた人一人だけって決めてるの」
「なんだって?聞こえない!」
なにやら言っているが、状況がそれどころじゃない。
本当に駆け出し用の依頼なのかってくらいに手ごわいのだ。
「殺虫剤を投げてくれ!」
「わかった、仕方ないけどそれくらいなら助力するわ」
今にも襲われそうになったすんでのところで、僕は殺虫剤を見事にキャッチし、かけることに成功する。
「キィィィィィ」
やっとのことで、ゴキブリン一体を討伐した。
危ないところだった。
パーティが増えたから少し依頼の難易度を上げてみたのだが・・・。
これでは一人の時となんら変わらないじゃないか、さてどうしよう。
「優奈、モンスターの討伐は無理だとして、いったい何ができるんだ?」
「サポートだったらできるよ、これをみて」
優奈は一枚の紙を取り出した。
「街に冒険役職の資格を取るところがあるみたい。それを取れば役にたてるはず」
「先に言えばよかったのに」
「お金が足りなかったのよ」
「そうか・・・・」
そう、僕らはお金がない。
だが、ついに来た。
異世界の特殊能力。
自分にどんな力が秘められているのか、もしかしたら、勇者のような凄い力があったりして。
僕は期待で胸が高鳴る。
「依頼はもう片付いたんだし、すぐ取りに行こう!」
「そうだね、報告したら行きましょう」
場所はギルドの近くにあるらしく、資格の取得は簡単な検査だけで済むのだという。
「剣とか魔法とか、そういうファンタジーな役職とかあるよね?」
「あると思うよ。そういう身なりの人多いもん」
「ズバーってかっこいい技とか使えるようになるのかな」
「どうかな、まだそういうの見たことないからわからないけど」
あるといいな。
それにしても、僕らはこっちの世界に転生してから身なりが日本の服のままだ。
役職につくのならそれ相応の装備にかえたほうがいいだろう。
ゴキブリン一体5万ゼニフだから、資格のお金こみでも、初期装備くらいは買えるだろう。
これを機に買ってしまおうと思う。
「ここを見て、役職には適正によって向き不向きがあるらしいよ」
「ほんとだ書いてある。きっと向いてるはず、憧れの剣と魔法の役職に」
「なれるといいね、なりたいものに。私はサポートの充実した魔法使いねらい」
僕らは少し急ぎ足で、ギルドに向かうのだった。




