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異世界転生録  作者: きょうちゃん
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1話

「天にも昇る気分だ」

 人は早かれ遅かれみんな死ぬ。

 それは、あらがうことの出来ないことで、生きている限り必ずやって来ること。

 じいちゃん、ばあちゃん、父さん、母さん、寿命として順番にやって来るのが基本だ。

 死は突然やって来ることもある。

 10年後かもしれないし、運が悪ければ明日や今日かもしれない。

 死ぬなら、眠るように自然に死ぬのがいい。

 病気や事故のような苦しんだ死に方は、遠慮願いたいものだ。

 未練なんか残さないで、やりたい事全部やって、あの世に行けるのが理想だ。

 家族があり子どもがいて、にぎやかに看取られる事が出来るのなら、それに越したことはないのだろう。

 予測の出来ない事は、誰でも怖いと思うもの。

 なので、死後の世界について明るく考えてみることにした。

 それは、高く空の上、今と同じように人がたくさんいて、色々な物があり、個々に役割がある。

 テレビや漫画、遊園地なんかがあって、自由に遊べるし、寝たい時に眠ることだって出来る。

 生きてるうちに食べることや飲むことのできないような、新しい食べ物や飲み物なんかがあって、役割を全うするために努力する事ができ、スポーツや芸能で名を上げる事だって出来る。

 死後の世界が天国だったらどうだろう。

 見たことのないような神々しい空間の中、誰もが夢見るような酒池肉林を体験し、豊かに、それも楽しく暮らす事が出来る。

 何の縛りもなく赴くままにやりたい事が出来て、グラマーな美女がたくさんいる。

 退屈なんて絶対しないそんな生活だ。

 さて、死後について考えていた僕だが、今まさに、生涯に一度しかないようなイベントの真っ最中だ。

 ひょっとしたら死ぬんじゃないかってくらいの幸せ。

 どう考えてもありえない事ではあるのだが、学校一の美少女とひょんなことから実家で昼食を取ることになったのだ。

 どうしてこうなったのかがわからない、小中高と前ならえ式に進学してきた僕だが、部活動実績も普通、勉学も普通、身なりさえも普通、学校のアイドルに相手にされるような男ではないはずなのだ。

 周りと比べて突出したところを1つ上げるとするなら、とてもポジティブである。

 僕は1時間前を思い出す。

 18歳になった僕は、そろそろ制限のかかったあの区域に足を踏み入れてみようかと、レンタルDVDの店に来ていた。

 そこでなんと、学校のアイドルと鉢合わせたのだ。

 天使といった言葉がよく似合うような雰囲気。

 細いのに出るところがしっかりと出た体つき。

 この世のものとは思えないほど整った小さな顔。

 透き通ったような高い声のその美少女と、話してくうちに意気投合して、今に至る。

 なぜ今に至った。

 僕は即席で作ったスープを口にしながら思う。

 こんなことなら部屋の掃除しておけばよかった、とか、料理を勉強しておけばよかったな、とか、悔やむばかりだ。

 美少女とお近づきになるといった、中学生の時からの夢がかなった。

 涙出てきそう。

 なんだか緊張で腹まで痛くなってきた。

 僕は、目の前がぐるぐる回り、椅子の上から地面へと落下する。

 すげー痛い、これも緊張のせい・・・・・・・・あれ?おかしくね?

 倒れた僕の頭はゆっくりと膝の上に乗り、柔らかい感触が痛みの中伝わってくる。

 今膝枕されてる?!

 こんな状態じゃなければ、学校のアイドルに膝枕してもらうなんてイベント、誰でも羨むようなボーナスタイムだ。

 だが、それどころじゃない。

 せき込み嘔吐し、目がぼやけて周りが見えなくなってきた。

 突然の事でなにがなにやらわからない。

 少女は口元を袖でふき取る。

「運に選ばれた前田夏雄くんは、私の王子様。大好きだよ」

 僕、前田夏雄の意識はうっすらと消えて行った。

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