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プロローグ

「遂にF40が完成間近ですね、雲神もがみさん」



「あぁ。これで日本が誇る第9世代の戦闘機の完成だ。日本の技術力を世界にアピールすると共に、最高の防衛力にもなるだろう」



完成間近のF40には最大の特徴が3つある。



1つ目は宇宙空間にまで上昇出来る機体性能だ。高熱に対応出来る素材が開発され、大気圏を何往復も出来る耐熱性能と頑丈さ、そして軽さを両立したボディーを完成させた。



2つめは宇宙空間に進む為にジェットエンジンとロケットエンジンのハイブリッドだ。これにより地球と宇宙空間を行き来出来るような夢の戦闘機だ。



この計画が完成するまで30年の歳月を必要とした。



先人達には感謝しかない。そして諦めずに開発資金を出してくれた国、そして国民にも感謝してもし足りない位だ。



そして3つ目は最新鋭のアビオニクスだ。簡単に言えばパソコンのOSと思ってくれても良い。



しかしその性能には比べられない程の差がある。



機体の制御を簡易化する為の様々なプログラムと計器類が搭載され、より感覚的に機体を操作出来るようにしている。



そしてヘルメットのモニターには上下左右の360度モニターが搭載されている。



それ以外にも積載量やステルス化などもあるが革新的な技術はこの3つだ。



こうして作業を見ていると感傷に浸ってしまう。



私がプロジェクトリーダーを引き継いでから10年、ようやく完成の目処がたち、3機目の試作機が完成する。



そして運用可能と判断されたなら、遂に量産化に進む。考え深いな。



ここからはもう特にやる事も無い。後は部下達に任せるしかないので、一旦自宅に帰る事にした。




明日には完成して、点検やら何やらを終えれば、飛行試験になるだろう。ここからは開発とは違う事で忙しくなるだろう。



それらが終われば、もう私は引退だ。



少年時代、私は空に憧れた。何者にも縛られない自由の空に。



だが現実は違った。鳥や虫のように自由にはならず、常に物理法則と言う枷に捕らわれていた。



そこから私は理想を実現するべく開発者の道へと進む事になった。



ある程度実現出来そうな事は形になったと思う。他にもやりたい事は沢山あった。だがしかし、今の技術力でも限界はある。出来ない事は沢山あるのだ。



私も歳をとった。これ以上柔軟な発想や、全く新しい技術を開発するのは無理だろう。



ここからは、今ある技術を若者達に伝えて、後の発展に繋げる事位しか出来ないだろう。



車に乗り込み自宅へと向かう。道を走っていると,、前方からトラックが物凄い速さで走ってくる。



「なんだあのトラックは?スピード出し過ぎじゃないか?」



異様な雰囲気を感じて注意しながら走行していたが、そのトラックは急に車線を乗り越え、こちらに向かってくる。



あまりの事に驚いてパニックになりそうだったが、反射的に私はハンドルを切った。



しかし、間に合わずにトラックと衝突。



一瞬意識がとび、朦朧としていると、トラックから沢山の人が降りて近づいて来るのが分かった。



意識はハッキリしないが、近づいてくる奴等に嫌な感じがする。一体何者なんだ。



しかし、私が混乱している間に彼らが近づいてきて、エアバッグを切り裂き、シートベルトを外し、私を拘束し始めた。



この状況は非常にまずい。恐らく産業スパイか何かだろう。あの戦闘機の全てを知っているのは私だけだ。



男達が猿轡を噛まそうとしている。



私は朦朧としながらも、咄嗟に口の中に仕込んでいた毒薬を噛み砕いた。



男達が何か騒いでいる。しかしもう遅い。私から情報を得る事は出来ない。私は死んでしまうからだ。



多少の悔しさはあるが、出来る限りの事は実現出来た。充分幸せな人生だったと思う。だがやはり、最後に生み出した、子供とも言える私の作品が、空を飛ぶ姿を見れなかった事は残念だ。



ゆっくりと意識が薄れていく中で、私はただ空を見上げていた。











気が付くと、私は真っ白な空間に立っていた。何も無い、ただ白い空間に。


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