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伝えたいこと

 華はヤマトくんからメモを渡された。明日、2人でこっそり会おうというお誘いである。そのメモには……隕石落下事故……と書いてある。恐らく姫と会いたいのはこちらの件が主体だろう。


 姫との連絡は……電話やメールではない、華が直接姫の潜伏先に行く、これが第一の連絡方法。緊急の要件は伝書鳩を使う。アナログな方法でしか連絡は取らないようにしている。


「エリ、私、明日ヤマトくんとデートすることにした」


「なにそれ(笑) オトコ嫌いのアナタが面白いこと抜かすわね!」


 華は小さな頃から男性が苦手である。エリにその点をイジられるが……エリも似たようなものである。だが、面倒なので反論しない。


「大切な話があるみたいだから……」


「それは、オーラスーツの事とかかな?」


「いや、違うと思う。オーラスーツをヤマトくんに提供したってエリ聞いてたんだ」


「小耳に挟みまして……」


 世界を揺るがす大発明、オーラスーツ。開発したのは華が中心となって動いた、非公式の組織である第七研究施設のチーム……オーラスーツをひた隠しにするべく、基本開発したところでチームは解散した。そして、それぞれが第一から第五研究施設に散って、それぞれの研究を行っている。


「何故、ヤマトくんなんだろ……」


「これも小耳に挟んだんたけど、あの年でコードネームがあるみたいよ……ゼロとか言ってた」


 コードネーム、ゼロ。伝説のハッカー。全世界の核兵器の制御システムを握っているという伝説がある。軍事的なシステムをことごとくハッキングし、手中に収めていて、合衆国ですら手を組まざるを得ない人物。そもそも存在自体が眉唾ものだと思っていた。


「それ本当? ゼロならオーラスーツ所有の資格が多いにあるね。暗殺の危険がかなり高い人物だからさ」


 オーラスーツは核兵器を含む爆弾やライフル、地雷であっても防ぐことができる。だが、全てを防げる訳ではない〜放射能を含む生物兵器は防げない。あと、窒息にも対応していない。


「そんな風には見えないけどね(笑)」


「明日のデート頑張って楽しむわ(笑)」



△△△△△△△△△△△△△△



 一夜明けて今日は華さんとの真の会合である。ヒロシとニカには外して貰った。2人で楽しくデートをすると言い残しホテルを後にてくれた。会合はこの部屋で行うことになっている。




「こんにちは。お招きありがとう」


「華さん、わざわざお越し頂きありがとうございます」


「なにここ! すごい部屋ね。さすがコードネーム持ってるだけのことはある!」


「恐縮です」


 華さんは仕事柄、ヤマトかハッカーであることを主眼に置き始めたようだ。厳密に言えば元ハッカー、今は全くその手の活動はしていない。


「はいこれ……差し入れ!」


 華さんはノンアルコールのスパークリングワインをヤマトに手渡した。まだ昼前、お酒は飲まないみたいだ。早速開封して乾杯をする……癖なのか、華さんか飲むまでは口をつけるだけで飲まない、嫌な性格になったものだ。


「昨日はくだらない嘘ついて申し訳けありません。姫さんに会いたい理由は……これです」


 ヤマトは華さんに資料を手渡した。A4用紙2枚にまとめた資料、16年前の隕石落下事故のものである。華さんは資料に目を通す。


「なんでこの資料を見せるの? その意図は?」


「カトレアの生徒会長に就任して、姫さんの様々なものに触れる機会があったんです。その中に変な小説かありました。そして、その小説の内容がこの隕石落下事故と共通することに気づきまして……姫さんが何らかの形で関わっているのかなって」


「そうきたか……で、ヤマトくんはその事件と何か関係があるの?」


「資料の2枚目を見てください。そこに12名の犠牲者リストがあります。どう言ったらいいでしょうか、私はそこに記載されている、杉田薫、の記憶を有しています」


 華さんは特段驚く素振りもない。もちろん何かを疑っている目もしていない。


「で? もしかしたら姫も同じではないか……って?」


「はい。ちなみに、私はそのリスト、杉田の前の前に記載されている桜井恭一の息子です。その事故現場に妊娠中の母と居合わせたのですが、母を庇い父の恭一は犠牲になりました。そしてその日、私が生まれました……杉田薫の記憶を持って……」


 話をしている間、華さんは頷きながら状況を理解しているみたいである。更にヤマトは話を続ける。


「私のような体験をしている人物が必ず居るはずだ、と思って探している訳です」


「ヤマトくん…………何のために? そんな過去のこと調べる必要ってあるのかな」


「はい、それは……詳しく話せませんが、私のこれからの研究に大いに役立つんです」


「わかったわ。正直私から姫のことを話すわけにはいかないから、詳しいことは本人から聞いてね」


「ではこれを……私とホットラインで電話が出来る端末です。盗聴の可能性はほぼゼロですので、私用でお使い頂いても大丈夫です」


「ありがとう!」




△△△△△△△△△△△△△△△



 次の日の夜、ヤマトは宮崎から帰宅し自室で作業をしている。今日は3月31日、実質明日から2年生に進級する。姫さんと会うために選んだ学校、かなり遠回りをしたが、2年生のうちには姫さんと会えそうだ。


(ん? なんだ? ジョージからかぁ……また厄介事じゃないといいが…………)


 ジョージからホットラインで連絡が来ていた。ミーティングの要請は深夜0時半から。ちょうど華さんと会ったことを報告しなければならない、それまではゆっくりしよう……。


 こうしてヤマトは1年生を終える。ジョージとのミーティングの時には2年生になる。残り2年、楽しんでやろうと心に誓う。

みなさんいつもありがとう


 第一部完結しました! ヤマトくん、なかなかチートで書くのは面白かったのですけど、読者はついてきてくれませんでした(笑)。投稿は一旦お休み。第二部は10話ほど出来ていて、あと20話くらい出来たら再投稿をスタートさせる予定です。第二部は学園生活において、学食の完成やカトレア祭や修学旅行、みのりさんの卒業などがポイントに。オーラスーツ含む華さん姫さんとの関わり、合衆国からのミッションイベントなんかが見所なんですけど……。新一年生の新キャラやタロニア3姉妹、あおいやみのりさんとの関係もどうなることやら……。少し内容をブラッシュアップしてから執筆します!

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