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華さん

 次の日は8時に起床、食事を済ませて10時にロビーでエリさんと待ち合わせをしている。


「おはよう! ごめんね、少し遅れてしまって……」


「エリさんおはようございます。本日はよろしくお願いします」


 エリさんはまず研究施設を廻るという。恐らく……オーラスーツの絡みでヤマトに製作過程を見せるのが目的であろう。


「ここが第一研究施設の、通称、ワンよ。ここでは主にAIの開発をしてるの。相川主任はここの責任者だから、不意に居たりするのよ(笑)」


 くだらない理由を付けて各研究施設を案内されている。第5研究施設を見学し終えたあたりでエリさんの電話が鳴る。


「あ、どうも……華、なにやってたのよ……。戻ったのね。じゃあ約束だから今からそっち行くね。ダメ! これは仕事の一環なんだから」


「もしかしたら……相川さん戻られたのですか?」


「うん、今戻ったみたい。早速会ってくれるって」


 出来すぎた話である。施設を回りきってから行方不明者が現れるとは……だが、今回は詮索しないと決めている。


「エリさん、相川さんには私達のこと伝えてあるんですか? いきなり行って、何? 状態は避けたいです」


「えーとね、実はあまり詳しくは話してないから、何しに来たの? はあり得るかも(笑) でも華は優しいから大丈夫よ」


 交渉事には先方の情報量に合わせた戦略が必要である。ヤマトは自身の情報という引き出しから一つの交渉材料を見つけた。



△△△△△△△△△△△△△△△



(姫に会いたくて私のところに来るのかぁ……スパイじゃないって澤口さんは話してたけど……)


 華は慎重になっている。姫にはもう無理をして欲しくない。当面はゆっくりスローライフを楽しんでもらいたい。澤口さんがひた隠しにしていた情報を開示せざるを得なかった状況にさせたカトレア生……いったい何者なのだろう。


 車の音がした。相変わらずエリは派手派手の高級車に乗っている。趣味だから文句は言いたくないが、いい年して若作りはやめてほしい。



「こんにちは。華、戻ったのね。あなたの後輩達は応接室で待たせておけばいい? 私は同席せずにモニター越しに話し合いを見守るから……あとはよろしく!」


「エリ……あなた逃げないでよ……私だってどう対応すればいいかわからないんだから……」


「精々悩んで! あの子達は別に危険はないと思うから。身元も確実だし」


 ここは第一研究施設、応接室は建物の玄関の近くにある。比較的広めな部屋で、各種機器が揃っている。


(会うっきゃないかぁ……覚悟決めて!)


「こんにちは」


「こんにちは……本日はお忙しい所ありがとうございます」


 第1印象は礼儀正しい……男子2名に女子1名、最初に握手を求めてきたのは男子生徒の1人、これが桜井ヤマトくんだ。他の2名は知らない顔である。



△△△△△△△△△△△△△△△△



 相川華さん、背が高くスラッとしていて……とても知的な印象である。みのりに雰囲気が似ているが、メガネ美人である所は決定的に違う。ヤマトとは15歳違うので31歳くらいのはずだ。


「相川です。あなたが桜井くんね、カトレア生徒会長なんだって? 私の後輩ね(笑) なら名前呼びかな、ヤマトくん」


「そうでした……華さん。って呼びますね。こちらはニカとヒロシです。名字は……いいですね、忘れました(笑)」


 華さんは笑っている。掴みは悪くない……ん? その仕草、どこかで見たことがある。だが、ヤマトは思い出せない。まずは4人でアイスブレイク、カトレアの話が盛り上がる、それでいい。



「あなた達、スパイじゃないわね(笑) 姫を探してるって話だから、すごく警戒してたのに……」


「もちろんです! そもそも伊集院さんを探そうって話になったのは…………」


 ヤマトは飛行機事故の際、機体が不自然な動きしてきることに気付き、偽装を疑ったこと。同級生だと思われる担任の渡邉先生に悲壮感がなかったこと。様々な角度から考えて生存をを確信し、澤口さんに直談判をしたことを詳細に話した。


「なるほどね、でも何故、姫に会いたいの?」


「これなのですけど……」


 ヤマトは例の音源、伊集院さんの幻のアルバムを華さんに聴かせた……。


「懐かしー! 確かこのアルバムってセキュリティかかってなかった? 姫がフザケて設定したやつ……よく解除出来たわね?」


「ホントにフザケてましたよ(笑) どうにか解除しましたけど……。このアルバム、デジタル処理して夏くらいに発売されます。そして、このアルバムのカバーも同時に……なので一言伊集院さんに伝えたかったんです」


「そんな事の為に? 姫に会いたいの?」


「華さん、よく考えてください。このアルバム、権利は多分私にありますけど、どれだけの印税が入ってくることやら……なので発売前に話し合いをしたいんです」


「なるほどね。それなら……姫に聞いてみるよ。あと、ヤマトくん、伊集院さんじゃなくて姫さんね、生徒会の先輩なんだから(笑)」


「そうでしたね…………」


 華さんは姫さんにアルバムの件を話すことを約束してくれた。ついでに会うことも打診してくれるらしい。話の終わりに、ヤマトは華さんに誰にも気づかれずにメモを渡した。

みなさんいつもありがとう


 最近忘れがち……コロナ後遺症の味覚嗅覚障害は牛歩で改善です。物語も牛歩になってしまいました。

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