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三送会

 アルバムの制作においてカトレア生の関わることはあおいを中心に進めることに。春休みを利用してニーナや2年F組の合唱を録音することになった。歌に参加しないヤマトは一旦絡まないように……その分、三送会更には卒業式の準備がある。


「ではヤマト、ここからは働いてもらうね!」


「みのりさん、ここまでありがとうございます! お宝アルバムでここ2週、生徒会活動に参加できなくてごめんなさい」


「我がカトレアの大いなるアピールにもなるアルバム制作だからね、それは優先すべきよ(笑)」


 みのりさんにはかなりの迷惑を掛けている。どこかで埋め合わせをしたい……だが、2人きりになった時に自身を律することが出来るかが不安である。


「みのりさん、卒業式が終わったら生徒会の皆さんをお食事にご招待したいのですけど……」


「この前慰安旅行行ったばかりだから、生徒会の催し物はゴールデンウィークにしようよ。私は恐らく推薦取れるけど、宏太あたりは受験で生徒会離れるからさ」


 気の早いことだが、ゴールデンウィークのイベントが一つ決まった。その後は三送会の打ち合わせをした。三送会にはサプライズゲストを呼んでいる……声優で歌手の児玉碧こだまみどりさん。アニソンブームに乗り歌が大ヒットして、世間では歌手のイメージがある。ゲストのアテンドは生徒会長の仕事らしい……。



△△△△△△△△△△△△△△ 



 三送会当日、ヤマトはゲストを迎えるために裏門にいる。黒いワンボックスカーが来た……そして児玉さんが降りてきた。テレビでよく観るが、そのままな感じ……だが、どこか元気がないような気がする。


「はじめまして。生徒会長の桜井ヤマトです。児玉さん、本日はお越し頂きありがとうございます」


「児玉です……あー、だめ……」


 児玉さんは目に涙を溜めている。何かあったのであろうか……。


「どうかされました?」


「なんかねー、姫のこと思い出しちゃって……ごめんなさい。この学院で毎回大騒ぎしてたから……」


 ヤマトは何も言えなかった……。そのまま控室に児玉さんを通した。だが、気になる。児玉さんがとても不憫に思えたので、話をすることにした。


「児玉さん、落ち着きましたか?」


「ごめんなさい……もういい年なのに、みっともないわよね。大丈夫、ちゃんと歌は歌えるから……」


「児玉さんは……伊集院さんと仲良かったのですか?」


「私の妹みたいなものだったの……結婚した時には素敵な曲をプレゼントしてくれたし……」


 その曲、恐らくお宝音源の中に収録されているだろう。


「児玉さん、私も伊集院さんと一度だけお会いしたことあるんです……小さな時に。抱っこされたから、思い切り胸を揉みました……そしたら大きくなったらお嫁さんしてほしいって言われました(笑)」


「あら、それ知ってる……私がカトレア祭に乱入した時ね。姫が話してたわ……気持ち良かったって(笑)」


「実は私……伊集院さんが存命してるという都市伝説の真棒者なんです。早く見つけて貰ってあげないと……フケちゃいますから(笑)」


「確かに……姫が死んじゃうなんて、姫に似合わない。じゃあ、私も桜井くんと同じ都市伝説の真棒者になるよ! よし、それなら……これから私をみどりさん、と呼び給え、ヤマトくん!」


 児玉さん、いやみどりさんは急に元気になった……。伊集院さんの生存は確認されている。だが、それをどこまで公表するか、それを今悩んでいるところだ。みさおさんには伝えるとして、みどりさんにもその権利があると思った。




 そしてみどりさんのパフォーマンス、歌唱力もトークも抜群に上手い。特にトークはドッカンドッカン受けている。こうして、三送会は無事に終わった。生徒会室にいると、あまねさんが現れた。


「明後日卒業ですね。おめでとうございます」


「ヤマトくん、今日はありがとうね」


 あまねさんは不意にヤマトの頬にキスをした……。




△△△△△△△△△△△△△△




 今日はみどりさんと久しぶりの食事会。みさおは最近裏方の仕事が多い、第一線で走り続けているみどりさんとなかなか話が出来ていない。


「よー みさお! 元気だったか?」


「お久しぶりです、みどりさん」


 みどりさんはいつもと変わらない。ムードメーカーというか……常に冷静に見えるみさおとは真逆、だから若い頃からとても仲がよかった。 


 話は近況報告から始まった。自慢の娘さんの話や旦那の愚痴、事務所の後輩のことも……最近女優としてブレイクしている、吉原のぞみさんの話。とても気が強く事務所でも厄介事を多数起こしているらしい。


「そうそう、この前カトレア学院の三送会に行ってきて……」


「そうだったわね。みどりさん、今はカトレア高校だけど(笑) 泣かずに歌えたのですか?」


「それが……危なかった。でもそこの生徒会長がおもろい奴で、姫が生存してるって都市伝説を心から信じてるみたい。だから私もその会に入会したんだよ、そしたら、気が楽になって……」


「みどりさんらしいですね。ところで生徒会長ってヤマトくん?」


「みさおは知ってるの? 姫の旦那候補だよ、もうBまで済ませたらしい(笑)」


 みどりさん、変な話をしてきた。


「よーく、知ってるわよ。でもヤマトくんは素敵な彼女がいるのよ! ウチのあおいちゃん、分かるでしょ?」


「あー、じゃあ、姫、またオトコに振られたってこと(笑)」


 みどりさんは爆笑している。姫の事故があった時は1番涙を流したと思われるみどりさん。このまま声優も引退するのでは、とも思ったくらい憔悴していた。ヤマトくん、何を吹き込んだのだろう……。

みなさんいつもありがとう


 昨日は更新したと勘違い、今気付きました。味覚嗅覚異常治らないかなぁ……

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