SS〜永久(とこしえ)の恋 プレゼント
プレゼントの価値に気づいたのはみゆきであった。杉田くんはプレゼントを渡すとバイトがあると言って行ってしまった。その直後……
「由美子良いもの貰ったね! このひまわりのペンダントヘッド、繊細な作りで素敵ね……」
みゆきはひまわりの部分を観察している……が、少し険しい顔になった……。
「由美子……私、気付いちゃった。これ、相当高いわよ……ほら、PT1000って、純プラチナよ。溶かして売ってもソコソコするわ」
「え? そうなの? あれ、本当だ。ネックレス本体にも同じみたい……」
杉田くんからとても高価なものを頂いたようだ。由美子は嬉しい反面少し焦る。
「由美子、これ大卒初任給はかるく超えてるわ……あなたプロポーズされたんじゃない?」
「えー、そんなぁ……どうしましょう」
「返した方がよくない? 付き合うとかあり得ないじゃん。高いプレゼントの分、体で払えとか言ってくるんじゃない(笑)」
「やめてよ……」
「そんな度胸はないか……(笑) ね、もしかして……杉田のこと好きだったり?」
嫌いではない。なのでもし……告られたら受ける、かな、と思ったり……
「え? なにその間……それ……ウソ?」
「なんだろ、嫌いではない、かな。一緒にいて楽だし、気が合う友達ってとこ(笑)」
駄目だ……プレゼントが高額という話を聞いてから、杉田くんを意識するようになりそう……実際、みゆきからの質問をまともに答えられない。
「なに赤くなってんのよ(笑) とりあえず、プレゼントの事、話し合ったら?」
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由美子から呼び出された。恐らくプレゼントの事だろう。確かに高額であった。返されたら悲しい、まあそれも想定内、返された場合に捨てるようなことはしない〜プラチナなのでキチンと売れる。待ち合わせは大学近くのカフェ、薫はカフェラテを飲みながら待っている。
「ごめんね、杉田くん。待った?」
「大丈夫、さっき来たところ」
とは言ってみたが、かなり飲み物が減っている……。由美子は……本当に可愛い、それ以上に優しく頑張り屋で笑顔が絶えない。誰でも好きになるタイプである。
「な〜に言ってんの(笑) 待たせちゃったから飲み物奢るね、もうないじゃん(笑)、同じのでいい?」
「あ、うん」
由美子は長らく待っていた事はお見通しってところ。サラッと流すところも素敵だ。由美子はカフェラテを2つ買って席に着く。
「ねね、プレゼントの事なんだけど……なんか高額すぎて……」
「あー、バレちゃった(笑) 色々見て回ったんだけど……これ1択になっちゃったんだよね。値段とかどうでも良くて……由美子がきっと似合うと思ったからさ」
「でも……」
「あ、大丈夫大丈夫。別にプロポーズしてる訳じゃないから(笑)。日頃から本当にお世話になってる、感謝の証だと思って! それにオレ……まぁまぁ裕福なんだ……今は!」
嘘は言っていない。心から大好きだ、と伝えていないだけで全てが真実である。薫は結構な額の金地金を保有している。所謂、小さな金の延べ棒だ。金を現金化しようと訪れた貴金属店でたまたま発見して気に入って購入したのであった。
「じゃあ、友人からのプレゼントとして貰っていいのね?」
「もちろん!」
とは言ってみたが……友人からの、という言葉に心が挫けそうになる。やはり大好きな事は変わらない。
「わかった! ありがとう。じゃあさ、このネックレスのデビュー戦に付き合ってくれない(笑) 来週土日とかどっちか空いてる? デートしようよ(笑)」
挫けそうになった心が躍り上がる。
「あー、どっちでも空いてるから。なら土曜日にしよう。で、どこ行くの?」
「うーん、ゆっくり出来る所がいいかな。映画三昧なんてどう?」
「いいよー」
由美子からデートしようと誘われた。何とか平静を保っている。しかし嘘をついた……来週土日はどちらもバイトだった。後で店長にはお詫びの連絡をしておこう。
そして待ちに待ったデートの日。薫は待ち合わせ場所に1時間以上早く着きそうな勢い……今日はカフェラテを2杯飲んでしまいそう。そして、待ち合わせのカフェに着いた。ドアを開ける……
「あれ? 由美子……なんでこんなに早く?」
「杉田くん、ホントに早く来るのね(笑) 私も杉田くんの真似をしてみたの(笑)」
由美子はクスクスと笑っている、なんてチャーミングなのだろう。思わず本音を言ってしまう……
「由美子、待ってくれ……眩しすぎる。なんでそこまで可愛いの?」
「それはね、恋を、してるからかな(笑)」
交わされた……。そこからは何気ない会話が続く。
「あのね、実は私の妹が映画出てるのよ。小さな映画館しか上映してないけどね」
「なるほど、ではそれを観に行こう!」
由美子との初デートは渋谷の小さな映画館になった。
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