あおいとのデート
お昼のチョコは凄かった。貰ったカカオ豆からの手作り超ビターチョコ、キンタマチョコもまだ少しだけ残っている。さすがに全ては食べられない。そして、夕方から久しぶりにあおいとデートをする。
「ごめんね、待った?」
「レディが男を待たせるのは必然だろ(笑)」
最近、あおいはアイドルオーラを消すことができる。カトレアの制服の時などは学生にしか見えない。普段着でも気付かれないように試行錯誤をしているようだ。しかし、今日は……オーラ全開! 誰もが振り向くようなキラキラした雰囲気。いつもと同じカトレアの制服とは思えない……アイドル恐るべし!
「どう? 少し髪型変えてみたの。あとね、メイクも大人っぽくして、でも目元だけは可愛さ強調して……」
男子にはサッパリ分からない話をしているが、その一つひとつの取り組みによって、オーラが形成されているとわかる。
「とっても素敵だよ。でもアイドルオーラを全開にして大丈夫なの? 夏休みの時のようにならない? オレは全然いいけど……」
「うん! 事務所の社長にもちゃんと話してきたから。彼氏とデートしてくるって(笑)。ユアは恋愛禁止とかないし」
ユアプロモーション、話に聞く通り〜会社はタレントファースト、タレントはファンファースト、その精神は素晴らしい。
「では健全に楽しむとしようか!」
今日のデートコースは決まっている。品川のホテルにある水族館に1時間程遊びに行ってから、ヤマトのマンションであおいの手作り料理を食べることになっている。主な食材はコンシェルジュに頼んであるが、少しだけスーパーで買い物をすることにしている、あおいはスーパーでヤマトとお買い物がしたいのだ。
「水族館面白かったね」
「そうか? もっと魚がみたかったかも(笑)」
水族館はすぐに終了した。そして今は買い物をしている。新鮮な魚が欲しいようで、スーパーで買い物をしている。つい、余計なものを買ってしまう。でもあおいの笑顔をつい見たくなり買ってしまう。
「今日はアクアパッツァ作るから! そこでお魚見学してよ(笑) でも見学したらちゃんと食べてね!」
「あおいの作ったものなら何でも食べるから!」
「じゃあ失敗したら私は食べないから、よろしくね(笑) 私は保険でこのピザ買っておくから(笑)」
「失敗前提なの………………?」
あおいは可愛い。でも……みのりさんとキスした事は話さなければ……。
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「何となく、見た目がアクアパッツァじゃない?」
「そうだな。少しだけ怪しげな匂いがするけど……」
この日のためにアクアパッツァを何度か練習したが、今日が一番の出来、見た目はいい。
「では頂きます! あれ? 旨いぞ?」
(やったー! チョコレートにしなくて良かった!)
「多分ヤマトはたくさんチョコレート貰うから甘くない物が良いって思って、アクアパッツァにしたの! 私ナイスよね!」
「さすがあおい! また手料理作ってな! 良い嫁だ」
ヤマトとの談笑は続く。あおいは心に決めていた〜今日、ヤマトの大切な人、について話を聞こうと……。
「ねえ、ヤマト。一つ聞いていい? ヤマトの大切な人のこと……」
「あー、そこかぁ」
ヤマトは考え込んでいる。ヤマトから笑顔が消えた。そして口を開く……
「あおい。今からオレが作ったラノベのストーリーを話すから聞いててね」
「…………うん」
「昔、ある青年がいました。その青年には由美子という大好きな女性がいました。由美子はとても美人、けれど何故か付き合うことに。そして数年後、青年はプロポーズをしました。が、振られてしまいました。そして青年は由美子から逃げるように外国で暮らし始めました。振られてから4年後、外国に暮らしていた青年の元に一通の手紙が届きました。それは由美子からの遺書〜自身の運命を知っていたのでプロポーズを断った事へのお詫び、プロポーズに対しての返事はもちろんイエスであるという気持ち。そして素敵な人を見つけて結婚してほしいたいう言葉、そして最後に……アイシテル と」
「とっても悲しい物語ね……」
「まだ続きがあるんだ。その青年は何十年も必死に働き、エンジニアとして大成功を収めました。でもある日、隕石落下事故に遭いました。死ぬのかな……と思ったら、何とそのまま赤ちゃんとして生まれ変わりました、青年の記憶を全て持って……」
「うん、で…………それが……ヤマトってこと?」
「そんな話、信じられるのかな?」
「なんかね、ヤマトって不思議だと思ってたの。大人っぽいし、人脈はチートだし(笑)。あり得ないことばかりだもん、その程度なら信じる……嫁だしね(笑)」
「ありがとう……で、もう一つあって。実は……生徒会副会長の今中みのりさん、由美子にそっくりなんだ……」
「で、私とは離婚(笑)」
何となくそんな話になりそう……笑ってはいるけど、心が張り裂けそう……楽しいはずのバレンタインが。
「逆に……離婚しないでってお願いしたいんだ」
「え? まさか、浮気? エッチとかしちゃったの?」
「一度だけキスを……メガネを外した時、あまりにも似ていて……ごめんなさい。ヤマトはあおいを愛してます。だから捨てないで…………」
あおいは複雑な気分。ヤマトが他の人とキスするくらいあると思っていた。特に双子姉妹とはそういう関係になっても仕方ないと……しかし、みのりさんとは……。
「約束はちゃんと守ってる? ヤマトと私は2回キスしたから、キスは一回だけ?」
「もちろん、みのりさんにも叱られましたし……」
「じゃあ、許す……でももうヤマトとは二度とキスしないから……」
「ありがとう……でも何で?」
「だって……私とキスしたら、ヤマトが誰かとキスする権利を持っちゃうからねー(笑) そういうのヤマトは悪用しそうだし……」
「いつまでも純愛を貫きます。あおい、オレの嫁!」
あおいは許すことにした。大切にしてくれている、からこそ素直に話してくれたのだと感じたから……そして、あおいは将来のことについても考えていた……。
みなさんいつもありがとう
次回からは由美子さんの物語を投稿します。ヤマトの過去……。ストーリーはしっかり作ってありますので!




