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バレンタイン大作戦

「ねえ、リーナ、日本ってバレンタインに女の子が好きな男の子にチョコあげるんだって、知ってた?」


「うん、この前テレビで特集してた。ニーナ、もしかしてヤマト様に渡そうとか考えてるの?」


「バレた……もう2週間前に材料発注しちゃったし。でも自力で作るからね! リーナは手伝わないで」


「私は……義理チョコってやつにするから。ヤマト様にはあおいもいるし、世界一の義理チョコ作ろうかと思ってる(笑)」


 最近リーナとニーナは別々に行動している事が多い。たくさんの友達を作るために敢えてそうしているが、基本的に仲良し、それにヤマト様を取り合うような言動もない……ニーナにとっては、好きな人である前に祖国の英雄、いつか何番目かの婦人になれたらとは考えている。タロニアでは一夫多妻が認められているのである。


「なら勝負ね(笑)」


「私も材料を取り寄せたけど同じもの作らないわよね? ちなみに何処から材料仕入れたの?」


「うーん、パプアニューギニア…………」


 同じものを作る訳にはいかない。ニーナは仕方なく仕入先をリーナを教えた。何故かリーナはニヤニヤしている。


「あー、それなら大丈夫、被らない(笑) ニーナ、頑張れ!」


 料理上手なリーナの余裕の態度、少しムカつく。心を込めて手作りすれば……きっとヤマト様は喜んでくれるはず、ニーナの目指す第二夫人に一歩近づける。



 数日後、材料が届いた。もちろん、カカオ豆である。作り方のレシピも付いている、あとはレシピ通りに作るだけだが…………


 まずはロースト、豆を煎る。あまり煎り過ぎると苦味が増すようなので指定より短めにした。そして……皮剥き、凄い量を発注してしまったので気が遠くなる。皮剥きが終わると粉砕し練る……この練るがポイントのようだ。根気のいる作業…………。


 ニーナはとにかく練った。通常の人なら3時間程度でギブアップだろう、しかしニーナは元特殊部隊、尋常ではない精神力と体力の持ち主、12時間以上練り続けた。


 砂糖は指定よりも大量に入れた。温度調節でカカオの結晶を安定化させて……何となく滑らかなものになる。それを型に流し込んで、完成した。料理時間は23時間、ニーナ、渾身の作が完成した。とりあえず味見…………


「なにこれ、不味い……ってか苦い!」


 ニーナは思わず声を上げた。しかしニーナは知っている。これ数日置くと熟成されて美味しくなる、とレシピに書いてある。それを信じるしかない……大きな不安を感じながらも4日後に渡す決心をした。



△△△△△△△△△△△△△△△



 今日は日曜日、ニーナは爆睡している。カカオ豆からチョコを作るなど……無謀というか浅はかだ、とは思うが実はリーナもチョコレート作りをトライしたことがある。結果は……市販の板チョコの方が遥かに美味しい。なのでリーナは板チョコを溶かして使う、そしてあるものを練り込む……。


(ニーナが寝ている今日中に作っちゃおう……)


 そう思ったリーナは早速取り掛かる。湯煎をして溶かす、そして……金沢から取り寄せたものを大量に練り込む。そして固めれば出来上がり、しかしリーナは気づいた。どうひいき目に見ても不味そうな見た目。でもキラキラしていてゴージャスな感じ、義理チョコなのだからこんなものだろう……。多少見た目が悪くても板チョコの味が変化することはない、これでいい。


 義理チョコはヤマト様以外にも渡せるみたい、大量に作ったが、ヤマト様のチョコは特製にした……キラキラ感が半端ない! 3日後が楽しみである。



△△△△△△△△△△△△△△



 2月14日、夕方にあおいとデートの約束がある。ヤマトになってから、バレンタインの日はスイートな思い出もあるが、ビターな思い出もある。今回は……スイートな思い出にしたい。


「ヤマト様……あの、義理チョコ作りました……」


 リーナが声をかけてきた。直球で義理チョコというあたりが可愛い。ニーナも様子を伺っている……


「ありがとう、リーナ。とても嬉しいよ(笑)」


「恐らく世界一の義理チョコです(笑)」


「ヤマト様、私は手作りチョコ作ってきました! 第二夫人狙いの本命チョコです(笑)」


 ニーナは周囲がのけぞるような発言をしながらチョコを渡してくれた。こちらはまあまあボリュームありそうなパッケージ。


「ありがとう、お昼に頂くね……」


「私、ヤマト様が喜ぶところみたいかも…………」


 結局、ヤマトは双子とニカ、静にヒロシ、そのメンバーで昼休みに屋上集合になった。あおいは……意図的に来ないみたいである。こうして、試食会が始まる……



「ではみなさん、まずニーナの本命チョコを頂きます! ニーナありがとう!」


「あのこれ、皆さんにもありますので。ヤマト様が召しあがった後にご試食ください……リーナの分もありますよー」


 全員にチョコのちいさな包が配られる。では……


「頂きます……」


 ニーナの手作りの真っ黒なチョコレート…………苦い、とにかく苦い、が風味も強い。美味しいとは言えないが、超高級カカオ100%チョコに似ている。


「どうですか…………」


「苦い…………なんかカカオ100%の高級チョコみたい……」


「そうなんです! 生のカカオ豆から作りました。23時間かけて……」


「うん! 美味しい!」


 そう言わざるを得ない。好みは分かれるところだが、この苦いチョコにはニーナの真心が籠もっている。試食している全員が同意見、ニーナは喜んでいる。


「では次の、リーナの義理チョコね!」


「これは皆さんから試食してください……」


 試食メンバーが包みを開けると……金箔が散りばめられたチョコが……キラキラしていい感じ。もちろん、チョコは美味しい! 大好評である。


「じゃあ、オレも……」


 包みを開けると……そこには金色の玉が……。金箔でコーティングした特別製のようだ。


「ヤマトのキンタマじゃん!」


 くだらないヒロシの一言にドン引きする女子……そして半分食べてみる…………なんと断面もほぼ金色……


「リーナこれいくらかかったの?」


「金箔だけで7万円くらいかな(笑)」


 美味しいけど……金箔ってこんな食べて平気なのであろうか………

みなさんいつもありがとう


 お約束通り毎日更新続けてます!明日からは前作含めて2話投稿です!

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