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伝統の合唱コンクール

 生徒会慰安旅行も無事? に終わった。1月の行事は……合唱コンクールくらいである。しかし、それを見計らったように……ジョージから連絡が来る。それも……ホットライン、極秘回線から……嫌な予感しかしない


「やあ、ジョージ。ホットラインなんて珍しい……とりあえず依頼はお断りということで!」


「ヤマト、話す前からそれはないだろう……タロニア絡みの話だから聞いてくれるだけでいいから」


「またそれかぁ……」


 ヤマトが断りきれない事を知っているジョージは本題を切り出す。


「タロニア大統領の暗殺未遂、その首謀者たる、ネオユニシス、が合衆国との和解を求めてきたんだ。合衆国だけでなく、ヤマトとも和解を望んでいる。なので合衆国の名代を兼ねて会合を持ってほしい」


「会うだけ? 嫌ですよ、会合中に暗殺されるとか……危険が1ミリでもあるならお断りです。それと会うとしても和解を拒否する権限も持たなければ交渉にもなりませんよ……」


「ヤマトならそう判断すると思ったよ。暗殺の危険は……ない、と思う。交渉の拒否権も認めよう。もちろん報酬もある」


「嫌ですよ、また報酬がタロニア難民の転入生とか……ただでさえ三姉妹とはそれ程関われてないんですから」


 ジョージの表情か怪しい。絶対に何かを企んでいる顔をしている。


「150万ドルをすぐ使えるようにスイス銀行でなく日本のヤマトの口座に振り込むようにするよ。あと一軒家を進呈しよう……」


 すぐに使える日本の銀行口座への送金は気が利いている。隠れ家としての一軒家進呈も悪くない。報酬の規模からしても危険は大きくなさそう……。


「悪くない報酬かな。誰か同行するの? ジャックあたり……」


「ジャックと三姉妹は連れて行ってくれ。三姉妹にも謝罪を受ける権利があるからね」


「わかった。2月アタマなら都合つくから後で日程を送って欲しい。これやるから、春休みのミッションは無しで! それが最大の条件かな(笑)」


「OK ヤマト! 交渉成立だ!」



△△△△△△△△△△△△△△



 1月も最終週。みのりにとっては待望の合唱コンクールがやってきた。昨年は散々な目にあった……自信満々で臨んだが当時の2年生のクオリティに遥かに及ばなかった。例年1年生は合唱コンクールで打ちひしがれ、2年生でリベンジする〜あまねさん曰く、これが伝統だという。


「みのり、今回はどうにか銅賞までには入ろうな。伴奏者賞はみのりでイケるだろ(笑)」


「宏太はカトレアをナメてるよね。伴奏者賞は微妙だよここはカトレアだよ? どんなピアニストが出てくるか分からないし」


 宏太とは2年A組で同じクラス、昨年もみのりが伴奏をしたが、伴奏者賞は一年先輩の男子が受賞した……その点でもリベンジになる。


「今回は楽しみね! ゲストも豪華だって話だし」


 生徒会で主催していないのでゲストは分からない。昨年はオペラ歌手の女性であった、確か矢口あかりさん。世界的オペラ歌手なので数年に一度、スケジュールを空けて来てくれるという。今年は……


「オレ、今回のゲスト審査員知ってるよ(笑)」


「それなら、教えなさいよ!」


「うーん、あと数時間で分かるからよくね? 胸もませてくれたら教えるけど(笑)」


「揉んだらコロス…………」



 合唱コンクールはいつも近くのホールを貸し切って行う。いざ出陣。2Aは最後から3番目、2Aの後が1A、ヤマトや静のクラス、という順番。ちなみに1Aの清水あおいは歌手なので出場しないらしい。


「みのりさん! ピアノ弾くんですね! 応援してますよ(笑)」


 ヤマトから不意に声をかけられた。出番はもうすぐ、ヤマトにもみていて貰いたい。


「私、少しだけ自信あるからさ! 今日は主役になるわ!」


「ではボクは脇役に徹します(笑)」


「ヤマトのクラスのピアノはどうなの? 私のライバルだから情報収集しないと……」


「音楽はよくわからないけど、ダメだと思う……」


「じゃあ、私の演奏聴いててね! 惚れさせるわ(笑)」




 みのりはピアノの前に座る。曲名は「まぶしい朝」、練習はバッチリ、憂うことは何もない。指揮者が挨拶をし、タクトを振る……最初の音と響かせる…………





 終わった……集中していて演奏がどうだったか覚えていない、が、歓声が聞こえるので惡くはない出来だったのだろう。とても清々しい気持ちになった。礼をして舞台から降りる。


 舞台から直接観客席に戻った。次は……ヤマトのクラス。ピアノは、男性が担当みたい。そして始まって……



△△△△△△△△△△△△△△△



「ヒロシ、こりゃ来年リベンジだな……」


「舐めてたよ、完全に。男声パートが酷かったな……こりや男子の責任だ、間違いない」


 みのりさんのクラスの次はキツかった。比べれば明らかに下手、素人でも分かる。他のクラスの合唱も聴いたが明らかなのは……最下位だということ。ヤマトも悔しい。


「みなさん、来年は私も歌いますからリベンジしよう」


 あおいからの言葉……そう投げかけるしかない惨状である。結局、金賞グランプリと伴奏者賞を2Aがダブル受賞、1年生で賞と取ったクラスはなかった。みのりさんがクラス代表としてスピーチをしている。


「1年生のみなさん、悔しいでしょう! でもこれはカトレアの伝統。私も昨年は悔しい思いをしました。来年は、みなさんがこの合唱コンクールてリベンジしてください」


 伝統とは、なるほど……コテンパンになるのは仕方ないってことのようだ。それにしても……来年にリベンジって可能なのであろうか……。


 こうして合唱コンクールは幕を閉じた。

みなさんいつもありがとう


 最近前作のSSを作っています。この作品にも出てくる幻のアルバムを巡る物語です。なのでこの作品の残りはおと23話になってしまいました。

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