早速の権利行使
「おまたせ、ヤマト。ごめんね、早くから…………」
今日は学校のレストランの打ち合わせがある。その前にみのりと洋服を買う約束をしている。待ち合わせは原宿、まだ10時だというのに人が多い。
「みのりさん、制服なんですか?」
「だって……可愛いお洋服持ってないし……ここ原宿だし」
これはかえって目立つ。早めに洋服に着替えさせたいところである。
「では行きましょう!」
みのりさんと竹下通りを歩く。カトレアのカワイイ制服が人目を引く。ヤマトも容姿は高校生だから、最低でも友達には見えるだろう。
「ここ、入ってみたかった……」
若者が集う複合機商業施設、長い人生で一度も入ったことがない。みのりさんは楽しみにしていたのか笑みが溢れる。
「せっかくだから何着か買おうよ みのりさんが気に入った物を!」
この一言がイケなかったのか……みのりさんは買いものが長い! 次から次へとお店に行き、試着して悩む。その繰り返し……こんなところまで由美子に似てるとは……。
「ヤマトこれ、どうかなぁ……」
「みのりさんはスタイルいいからボディライン分かる、こういう服が似合う、というか……着れますからね」
このやり取り何回目であろう……我慢も限界になってきたので、常套手段を使うことにした。
「みのりさん、僕が選んでもいいですか? そのピンクのワンピースはいいですね、それとさっき試着した短めのスカートも!」
「あー、あれね。でも丈が短くて……」
「みのりさん、若いうち、出せるものは出しましょう! って勘違いしないでください……足ですよ足!」
「ヤマト何一人で盛り上がってるの……?」
「寒くても頑張って短めスカート履く、それがピチピチな女子というものです!」
もはや理論が破綻している。が……早く決めてお昼にしたい。もう12時は悠に過ぎている。
「そうかなぁ、でもこっちの…………」
「僕はこのスカート履いてほしいな(笑)、あのー、このワンピースとスカート、それとこれとこれ、僕が買ってプレゼントしますから!」
断るみのりさんを何とか言いくるめてやっと購入。夜に着ていくワンピースにカットソー、アウターまでを一括購入。短めのスカートとその時選んでいた上着も購入する。
「ヤマト…………どうかなぁ……」
「うん、素敵です! しかし、みのりさん、スタイル抜群ですね!」
「ありがとう……」
みのりさんは購入したワンピースに着替えた。制服や購入した服はヤマトの大きめのリュックに詰めてヤマトが持ち歩くことに。
「ではお昼にしましょうか!」
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なんだろう……みのりは幸せで満ちている。買い物は3時間弱悩んだ末、ヤマトが選んでくれた。食事は軽めにオシャレなフレンチトースト専門店で、大きなフレンチトーストを半分こして食べた。まだ業者さんとの打ち合わせには時間がある、打ち合わせは恵比寿の高級ホテル、恵比寿ガーデンを抜けたところにある。
「ヤマト、まだ時間あるよね? 私、映画みたい!」
ヤマトは快く映画に連れて行ってくれた。隣で優しく語りかけてくれるヤマト……楽しい時間はあっという間である。映画館を出ると、辺りはもう暗い。
「ヤマト! 久しぶりじゃないか!」
「野村さん、半田さん、お久しぶりです!」
「で、みのりさんね! ヤマトから聞いてるよ、よろしくね」
「お二人とも、今日は下ネタとかなしですよっ! 名門カトレアに在学中のご令嬢も同席するのですから(笑)」
給食センターなどを請け負ってやっている野村さん、何とかダイニングという、居酒屋チェーンをやっている半田さん、ヤマトとはかなり親しそうである。
「では食事しながら細部を詰めましょう!」
高級ホテルの日本料理店、次々と料理が運ばれてくる。その間ヤマトはレストランについての打ち合わせをしている……正直、ついていけない。
「えー、そんなことしたら半田さんところ赤字じゃないですか?」
「大丈夫だろ。赤字になってから考えるから(笑)」
様々な事が決まった。半田さんが持つセントラルキッチンから食材の提供がされて、それをレストランメニューにできる。料理人は野村さんが手配する。新商品のフィジビリ? をカトレアのレストランで行うことを条件に全面支援をしてくれる契約を結ぶ予定である。
「あー、ごめん、そろそろ行かなくちゃ……飲食業組合の忘年会、二次会から参加するんだ。会計はしておくから、2人で気持ちいいことでもして楽しみなさい(笑)」
「だからシモネタはなしって!」
野村さん、半田さんは退席してしまった。残るはヤマトと2人……
「デザート4人分あるけど食べたら出よう! 食べ過ぎだから少し歩こうよ!」
デザートを食べた。お腹もいっぱいだけど、胸もいっぱいになっている…………。
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あの二人は変わらない。経営手腕は素晴らしいが基本はタダのエロオヤジ。気を遣って帰るところは……大人だが。
食べすぎたので恵比寿ガーデンを歩く。左手にライトアップされたチャペル……みのりさんは見つめている。
「チャペル綺麗だね、正面から見ようよ。大昔、有名なドラマで撮影とかしてたよね」
「ん? それは……知らないかも。でも、素敵………」
思い出した。みのりさんは結婚願望が強い。それでチャペルに魅入っているのか……。
「ヤマトってあおいさんと付き合ってるんだって?」
「バレてました? でも大丈夫てすよ、みのりさんと今日デートすることも、1回まではキスできることも了承済みですから(笑)」
「なにそれ?(笑) 浮気者ね 軽蔑しちゃう(笑)」
「あおいって……僕の浮気は許すみたいなんです。でも不倫は駄目って(笑)。大切に思える人ならキスもしていいみたいです、でも回数制限ありまして……」
「なに? 回数制限?」
「あおいとは2回キスしてるから1回まではいいみたい」
「素敵な彼女ね。私は……真似できない……」
みのりさんか階段で少し躓いた。咄嗟に身体を支える……
「由美子……」
「誰それ? 本当に浮気者……」
「忘れられない元カノかな(笑) 死んじゃったけどね」
みのりさんと目が合う……
「みのりさん、メガネ外してもいいですか?」
みのりさんは何も言わない。そっと外して見る……やはり、由美子にそっくり、の美人さんだ…………思わず、ヤマトはキスをしてしまった……。
「今日はもうおしまいね、回数制限に引っ掛かっちゃうから(笑)」
みのりさんが笑いながら釘を差してくれた。
みなさんいつもありがとう
ヤマトと由美子の物語はショートストーリーで第一章に入れる予定です。切ない恋物語です。




