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幻のアルバム

 若い、とは素晴らしい。1日の休養で全回復、まるでRPGゲームで一晩泊まってHPもMPもMAXまで回復する勇者のようである。


「ヤマト、今日も遅くなるの? ミク寂しい……」


「そんな甘えてもらっても困る! ミクもいい人見つけろよ(笑)」


「えー、パパやヤマトより素敵な人なんていないわ!」


「だから妥協してくれ。あとさ、29日までは忙しいから、年末年始はずっと一緒にいよう、それでいい?」


「わかったわ。あともう一つ……彼女紹介してよ」


 全く、なんで女性は恋愛事情が好きなのか……何度もしつこく言われる……。


「今日会うから聞いてみるよ」


「ヤマトのお嫁さんに、早く会いた〜い」




 待ち合わせはあおいの自宅のある最寄り駅のタクシー乗り場。どうしても外で待ち合わせがしたいらしい。身バレして面倒なことにならないように事務所まではタクシーで移動することになった。


 待ち合わせ場所にたたずむ君、振り向いて微笑む。走って近づくけど、転ばないでねと声をかける。夕日に照らされた君の横顔、キラキラ光る心を映す……。


「どうかな? あおいに歌のプレゼントしようかと思ってさ。オレもロマンティストなんだよ」


「なにそれ(笑) キザね これ以上惚れさせてどうしようというの?(笑)」


「ヒメリンのアルバムに触発されたかな(笑)」


 お互いある意味ピンチをやり過ごした。何気ない会話が幸せに感じる……しかし、あおいは可愛い。


「今日の納会ではみさおさんが歌うみたい。声優の大御所も来るって……楽しみ(笑)」



△△△△△△△△△△△△△△△



 あおいは会場に着いた。新橋のホテル、その宴会場。ステージがあり、席は決まっていないが着席のスタイルだ。受け付けを済ませると早速足立社長が声をかけてくれた。


「あおいちゃん、桜井くん、ようこそ! 今日は楽しんでいってね。サプライズ発表もあるからさ」


「社長、舞さんは?」


「舞は来れないみたい。代表関連で打ち合わせがあるみたいで……そうそう今日はベテラン声優さんもたくさん呼んでるんだ、あおいちゃん、挨拶できたらしてきてね」


 あおいは注意深く見回す。大御所を見つけた……児玉碧ミドリさん、花井円香マドカさん、凄い……みさおさんを含めると大御所揃い踏みである。挨拶に向かった所でみさおさんが登壇した。


「納会開催に先立ちまして、一言早川からお話したいことがあります……本年3月11日、当社に6年間在籍し、数々の伝説を残していった、中川ひめさんが飛行機事故に巻き込まれました」


「姫と私はこの事務所での師弟関係にありました。私は姫のことをよく知っています、もしここに……姫がいたら……きっとみんな笑ってほしい、とニコニコしながら言うでしょう。だから今日は……あまり暗くならずに……姫のために……せめて賑やかに、この納会を笑顔で満たしましょう!」


 多くの人から拍手が起こる。


「そして、納会の最後に私からみなさんにプレゼントがあります。期待してください! それでは……足立社長、開会の宣言と乾杯をお願いします」


 納会は始まった。残念ながらゆりさんは来ていない。カトレアの卒業生でいくと、中井りんさんだけ。ヤマトと2人で談笑しながら過ごしている。


「おい、若者、こちらへ来なさいっ!」


 2人の世界にいたのに呼び戻された……大物声優である児玉碧さん。結構酔っているみたいである。


「児玉さん、はじめまして。ご挨拶遅れました。有栖川あおいと申します」


「あー、カトレアの子ね。みさおから聞いてるわ! ではあおい、私の事はみどりさん、と呼びなさい。そしてこの逞しい殿方は?」


「私の同級生の桜井ヤマトくんです」


「その年で、カトレアなのに、男連れ! 気に入った! 彼氏くんもカトレアなんだね? サッカー部とか?」


「はじめまして、桜井ヤマトです。カトレアでは生徒会長やってます。あの……私もみどりさんと呼んで宜しいでしょうか?」


「おーいいぞ、ヤマト! 呼びやすい名前だな、カトレアかぁ……よし、来年のカトレア祭は13年ぶりに私が出てやろう! みさおに連絡先聞いておくから連絡するな」


 と言い残してみどりさんは居なくなってしまった。嵐のような酔っ払いだった。本当に来るのであろうか。




 納会は歌ったり踊ったり、コントをやる社員の方やピアノを弾く声優スクールの男の子、様々なパフォーマンスがあった。そして、閉会か近づく……。


「みなさん、そろそろお時間になります。ここでワタクシ、早川からみなさんに歌のプレゼントをしたいと思います。実は……3月4日、事故のちょうど一週間前、姫から私に手紙が届きました。内容は詳しく言えませんが、そこに楽譜が同封されていました。今ここで、その、姫の最新曲を歌わせて頂きます。聴いてください……いつかどこかで…………」


 みさおさんが歌い始める……場内は固唾を呑んで聴いている。素敵な歌……みさおさんの透き通る美声にピッタリである。いつか、また会おう、という旨の歌詞。決して悲しさを感じさせない旋律……歌い終わると、大きな感動の拍手が巻き起こる。


「ありがとうございます。ここに姫はいません、が、いつかどこか、遠い所で会えるかも知れません。私達は前を向いていきましょう、そしてここで1つ大切なお知らせがあります」


「先日、ひめの貴重な音源が見つかりました。アルバム形式になっていて、私も知らない未発表の曲が数曲入ってました。このアルバムを来年発売することをここでお伝えします」


 場内がざわつき歓声が上がる。


「中川ひめ、幻のアルバム。タイトルは絆……私も心の中にいる姫と共に前を向いて歩んで行こうと思います!」

みなさんいつもありがとう


 すみません。校正してません。親睦会で……。とりあえず投稿します!

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