クズ
パーティは約3時間、そろそろ終わる。ジャックからの報告によると、政府関係者として侵入を試みた者が居たらしいがシャロンが気付き排除したそうだ。ナイフを所持して抵抗した為、シャロンが本気で戦闘したらしく、侵入者は虫の息……という報告。他は特にトラブルはない。
「ヤマト、パーティが終わったら予定通り会談がある。その会談には私達は同席出来ないからくれぐれも気をつけてくれ……」
「まあ身の危険はないでしょ、仕掛けてきたら反撃してやりますよ(笑) それとジャック、シャロンと戦って瀕死の侵入者、どうにか助けてあげてほしい、シャロンはやっと日本の生活に馴染んできたんだ、また過去を思い出させるようなことは極力したくない」
「そう言われると思ったから手は打っておいた。安心してくれ！」
ジャックは会談の場になるロア大統領の部屋の前で待機することになっている。腑に落ちない点もあるが込み入った話でもあるのだろう……ロア大統領の側近のボディガード2名は身辺警護の為同席するが……2人ならどうにかなる。ジャックからは緊急時に押す小さなボタンが渡された。
「失礼します」
「おー ミスター桜井、今日はご苦労。ますは掛けたまえ」
「ありがとう、ミスターロア」
会談は始まった。大統領の威厳を見せようとしているのか、高圧的な態度である。
「我がタロニアの救国の英雄がこんな子供とは驚いた。それにタロニア人の奴隷も飼っているそうじゃないか(笑)」
やはりそうきたか……学校訪問のときにタロニア語でそんなニュアンスの事を話していたはず、双子は気付いたであろう。
「大統領、何か勘違いされてませんか？ 三姉妹は私の大切な家族みたいなものです。奴隷などと軽率な発言は控えて頂きたい」
「奴隷なのだから仕方なかろう……しかし、お前は凄いな、あんな美女を毎日オモチャに出来るとは……それにあのあおい、とかいう女もいい女になりそうだ。どうだ桜井、あの女を私への土産にしてもいいか(笑)」
やはり思った通りのオトコである。
「大統領、あまり冗談は言わない方が身のためですよ。ここは日本です。タロニアではありません。民間人が攫われたとなると大変なことになります」
「おいおい、私を誰だと思ってる。一国の大統領だ。国際問題になるような馬鹿な真似は日本政府は出来ないだろう それにもう確保には向かってるんだ(笑)」
「なにっ」
2人のボディガードもニヤニヤとしている。
「大統領、今すぐ命令を撤回してください。でないと私も流石に怒りますよ……」
「なんだ、いいではないかっ(笑) キサマは3人ものタロニア人と楽しんでいるんだ。タロニア兵のお古もいるがな(笑)。それでもいい女だろ」
「テメエ、取り消せっ！ 全て取り消せ！」
「嫌だね、キサマのようなガキに指図される謂れはない。何が防衛の要だっ、少し思い知らせてやれ！」
ボディガードの大男が迫る。ジャックから預かったスイッチを……ヤマトは投げ捨てた。ボディガードの一人がヤマトに手を掛け、触れた瞬間……ヤマトはキレた……。
数秒で決着はついていた。ヤマトの護身術はシャロンから学んだもので、ジャックからも手解きを受けていた。2人のボディガード、1人顔面を砕かれもがいていて、1人は完全に意識を失っている。相手がヤマトに警戒していなかった所でもう大勢は決していたと言えよう……ほぼ不意打ち、そして気を失ったボディガードからナイフを取る。
「ロア、キサマ……舐めた真似しやがって……キサマも殺してやろうか…………」
「す、すまん。許してくれ……誘拐の命令はすぐ撤回する……」
「そんな必要はない。私の友人は合衆国の部隊が完全に守っている。キサマの部下などに誘拐はできん」
「いや、全て撤回する、この通り…………」
ヤマトは……そんな事で許すようなお人好しではない。外で待機しているジャックは入ってこない……中での出来事は承知しているはず、きっとあのボタンは盗聴器……。
「キサマ、そこに座れ そして、そこに手を置け」
ロア大統領をソファに座らせた。そしてテーブルに両手を置かせた。ヤマトは大統領と向き合う。
「ほんとに……どうか許してくれ…… ギャアアァッ！」
ヤマトはロア大統領の手の甲にナイフを思い切り突き刺した。外交問題？ クソ喰らえだ。警護して命をも救ってやったというのに……
「おい、キサマ。痛いか……ナイフが抜けないか。なら抜いてやろう……キサマ、パーティのとき左手にグラスを持っていたな……」
一度ナイフを抜いた。また大統領は叫んでいる、そして手を抱えうずくまっている。ヤマトは大統領を思い切り蹴り上げ、強引に今度は左手を地面に置く、そしてナイフを再度の突き刺した……
「ギャアアァ、や、やめてくれ…………」
「いいか、ここでキサマを殺してやってもいいが、オレがやらなくても誰かがキサマを殺しに来るだろう。それまで恐怖して待ってやがれ」
そう言い残して。部屋を後に……ドアには当然のごとく内鍵が掛かっていた。鍵を開けてドアをでる……。
「ご苦労さま……でも少しやり過ぎでは(笑)」
「3対1だよ、手加減なんて出来ないよ(笑)」
外で待機していたジャックと軽く言葉を交わした。
みなさんいつもありがとう
ロア大統領はクズ野郎でした。戦闘も意外にイケるヤマトくん、その片鱗を見せました(笑)。書いててまあまあ楽しいです、何故ブクマ増えないのか不思議かも(笑)。
