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あおいのイベント

「ねえ、ゴールデンウィークの初日なんだけどさ、私、天城ランドでサプライズライブやるの、近いから観に来ない?」


 4月の半ば過ぎ、4人は完全にグループになっていた。あおいは学校に慣れるまで、芸能活動をセーブするそうだ。雨の日も含めて屋上に行くことが多い。


「近いし行こうよ、みんなで!」


「クラスのみんなに話すとオオゴトになるから4人だけで来てね。中学のときたくさん来てくれて大変だったこともあるし」


 4人グループの女子2人で勝手に決められてしまった。幸いにも空いている。というより、3年間のスケジュール丸々空けてある。やるべきことは決めてあるが、急ぐこともない。


「じゃあ、3人で小杉駅待ち合わせね!」




 そんな流れになった。お昼はニカが4人分のお弁当作ってくるらしい。前日にあおいも手伝うと言っていた。ヤマトはいつもの格好で出掛けた。リュックの中には護身グッズが沢山入っている。一見ハサミに見える護身用のナイフや緊急発信機、催涙スプレーなどだ。 


「おまたせ~、みんな集まったね。では出発!」


 最後に登場したヒロシが仕切っている。天城ランド(通称・アマラン)行きのバスに乗り込む。約25分位で着く、もちろんあおいは別行動である。


 アマランに着いた。本日はGW初日の土曜日、かなり混み合っている。お弁当持参は正解だった。大きなゲートをくぐると、噴水があり、そこには「緩くない」ゆるキャラがお出迎えだ。くまのデイジーは隻眼、うさぎのジャックには鋭いキバが生えている。だが、子供達に大人気である。夏になるとプールが始まるが、まだ始まっていない。絶叫マシンが何個かあるが、本気でヤバいレベルである。


「あおいのステージまで何やろうかね?」


「乗り物はコンプしようぜ!」


 ヒロシの提案で乗り物コンプに取り掛かる。混んでいるので乗り物は半分が目標である。久しぶりに遊園地なる所で遊ぶ…………悪くない。昼時になりお弁当タイム、これも…………悪くない。意外と満喫している。


「あおい、そろそろね。早めに席取っておこうよ」


 観客席はまばら。緩くないゆるキャラショーの中でハッピーハッピーが出てくるそうだ。


「しかし、あのキャラ、イキってるよな。見た目は怖いし、子供以外には対応雑だし」


 でもコンセプトはいい。このキャラで映画を撮ったら面白いものが出来そうだ。しかし、ショーが始まっても人は少ない。これで大丈夫なのか…………


「今日は新たな仲間を紹介するのだ! ハッピーハッピーなのだ!」


 ジャックとやらが紹介した。そしてハッピーハッピーが入場してくる。その瞬間…………大歓声が起こる。ハッピーハッピーが自己紹介をしていると、すぐに人だかりに……かなりの人気である。


「出てきたね、あおい。可愛い〜」


「こう見るとあおいって凄いんだな。こんなに人気あるってヤマトは知ってた?」


「アニメの主題歌とかやってるからチビっ子には人気あるよ。事務所が力入れているだけあって曲もいいから」


 あおいの相方は、りり、という。あおいの4歳下の小6だ。歌のクオリティは若い割にはまずまず、悪くない。ステージの上、そこにはキラキラ輝いている、あおい姿

がある。ヤマトはふと、中川ひめのパフォーマンスを思い出した。カトレアの体育館で、ミクに肩車されながら遠くから眺めた。突然芸能活動から引退を宣言したことも覚えている。



 ステージが終わると、あおいからニカへ連絡があった。不遜にも着替えて合流すると言うのだ。変装してるからあまり気付かれないらしい。


「みんなー、ステージどうだった?」


「うん、素敵だった。なんか別人みたいね(笑)」


 あおいは直ぐにニカとヒロシに囲まれた。質問攻めに遭っている。ヤマトは少し席を外す、ちょいと厄介事が起こったようで、その対処である。


 程なく戻ると、あおいは1人でベンチに座っている。


「あれ? ヒロシとニカは?」


「飲み物買いに行ったんだけど……すごく混んでるみたい、時間かかるって。ヤマトのも頼んでおいたから」


「ありがとう」


「私のステージどうだった?」


「キラキラ輝いていたよ。楽しそうで……まるでヒメリンみたいに」


「ヤマトさあ、ヒメリンのステージ見たことあるの?」


「あー、うん。まだ2歳半くらいの時にカトレア祭で。オレ、記憶力半端ないから覚えてるんだ」


「え? あの伝説の? 引退ライブ?」


「うん。母さんに肩車されて。それに……抱っこされた事も覚えてる……思い切り胸揉んでやったよ(笑)」


「やだー、変態。ヤマトもそういう不潔なオトコなのね……」


「ちょっとまって……2歳半だよ? セーフだろ(笑)」 


「それもそうね……(笑)」


「大きくなったらお嫁さんにしてくださいって言われたよ(笑)。いい女だった……」


「なにそれ、そこは2歳半でも許しません! (笑)でも……ヒメリンみたいって言われてとっても嬉しいかも」


 あおいとそんな話をした。今日話した事、恐らく信じてはいないだろう。それでもあおいの目は今もキラキラ輝いている。

みなさんいつもありがとう


 少しずつ物語が進展していきます。ここ1週間は様子見で毎日1話ずつ投稿していきますが、物語は27話作ってあります。あと1ヶ月は投稿できますね!

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