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ロア大統領の訪問

 12月24日は終業式である。体育館でヤマトはロア大統領の学校訪問に関する話をしなければならない。夕方まではロア大統領を迎える用意がある。


 クリスマスイブではあるが、あおいとロマンティックな時間を過ごす事は出来ない。その代わり、12月27日に行われる事務所の納会に一緒に行くことになっている。


 ユアプロモーションの納会は以前、クリスマスパーティをを兼ねていて、知人友人の同伴がOKだった。14年前ほど前から12月27日前後に行うことになったが、同伴システムはそのままになっている。たくさんの芸能関係者が集うパーティらしい。あおいも今回が初めての参加でそこで楽しもうということになっている。




「では以上がロア大統領の学校訪問に関する注意事項です。くれぐれも粗相のないようにお願いします」


 終業式では簡単な注意事項だけを伝えた。カトレアの生徒は馬鹿ではない。一言伝えれば大丈夫であろう。


 午後は構内の視察道順の確認である。これはセキュリティ責任者としてジャックが帯同している。カトレアテレビの責任者に変装して一度学校には来ているが、サングラスをしボディガード仕様なので素人では気付かない。


「ヤマト……校内での襲撃は不可能だな。狙撃は尚更だから校舎にいる時間は安心できる。大統領がスピーチする時は襲撃の危険があるから側に立つことにするよ」


「それも必要ないとは思うけど、念の為お願いしたい。学校内で暴れたら日本どころか全世界を敵に回すからな。安全だろ」


 ネオユニシス、どちらかと言うと穏健派のメンバーが中心、過激な思想を持っている中枢メンバーは寧ろユニシスに多い、コイツラなら学校にミサイルくらい撃ちかねないが、今ネオユニシスそんな軍事力や資金は持っていない。合衆国の警備体制を衝けるような組織ではない。




 12月25日になった。ロア大統領の身辺警護はジャック、学校側のアテンドはシャロンが行う。学校内では最強の警備体制、強力な布陣である。


「ではみなさん、本日、ロア大統領の視察がありますが、普段通りでいてください。余所行きの態度は別に必要ありません」


「先生! ホールで演説聞いてからバスに乗るまでの時間ってどれくらいありますか?」


「15分はありますが、ここに荷物を置いて行くなら帰る支度をしておいてください。全員集まり次第バスは発車します」


 迎賓館までは渋滞などが予想される。ロア大統領は先導車を使い、高速を通行止めにして優雅に車で移動する。その分一般道は渋滞する。なので早めに出発したいのだ。


 午前中は通常の授業が行われる。13時半にこの教室にくる、そして14時15分からプリンセスホールで演説する。


 そして……ホームルームが始まった。議題は……冬休みのボランティア活動と合唱祭についてである。決めることは……ほぼない。


 カトレアの学生は議論となると活発になる。ボランティア活動をするメンバーを決めるところで揉めている。そしてロア大統領が来て、その様子を覗いている。一度中断するとロア大統領が入ってくる。隣にはジャックがいる、


「みなさん、多額の寄付ありがとうございます。と申しております。そして私の同胞であるリーナとニーナ、シャロンを受け入れてくれてありがとう! 皆さんはタロニアの英雄です。これからも同胞をよろしくお願いします」


 流石に凄い盛り上がり、タロニア語の通訳はジャックが行っているが……全く違うように和訳している。ジャックはタロニア語が話せない……双子は怒りの眼差しをロア大統領に向けている。


 結局ホームルームでは何も決まらないままロア大統領を囲みプリンセスホールに向かう。ジャックとロア大統領はホール裏の控室へ。そしてヤマトもホール裏へ……こここらは生徒会長としての仕事がある。


「ヤマト……」


「なに? ジャック」


 誰もいないホール裏で呼び止められた。これは緊急事態の時の対応だ。嫌な予感がする。


「カトレア高校の裏口で想定された狙撃ポイント、ここで銃撃戦になった。こちらは軽症者2名、ターゲットは死者2名、確保2名、想定より規模が大きい」


「なんだよ、死人まで出たのか……お願いだから処理は迅速にやってくれ。そんなこと生徒に伝えたくないし」


 ルート視察をした限りでは、カトレア到着直後、車を降りる瞬間しか狙撃ポイントはない。あとは……直接の襲撃、であるが死者が出たことで襲撃が起こるかどうか、は半々といったところ。ジャックとシャロンがいる限り安泰であろう。ホールでの演説じも両脇に2人が付くことになる。



△△△△△△△△△△△△△△△



「カトレア高校のみなさん、まずは感謝申し上げる。我が同胞である三姉妹わ受け入れて頂いたことを。そして、多額の寄付、タロニア料理の普及にも手を貸してくれた。皆さんはタロニアではヒーローなんだ」


 ロア大統領の演説が始まっている。両脇にはシャロンとジャック、テロ対策だろうが、もし襲撃が起きたら……襲撃した方が可哀想な目に遭う……リーナは冷静にこの状況を観察している。


「今日、皆さん全員に、タロニアから心ばかりのプレゼントをご用意した…………」


 ロア大統領の演説は同時に通訳される機器から日本語で聞こえる。いい事ばかりを並べるロア大統領……色々悪い噂をリーナは聞いているが、その影はない。


「ではみなさんの幸せを心よりお祈りしています。本日は、ありがとうございました」


 生徒代表としてヤマトがロア大統領に花束を渡す。これで学校訪問の行事は一通り終わることになる。その後は忙しい……すぐに用意してあったバスに乗り、迎賓館へ向かう。

みなさんいつもありがとう


 いよいよロア大統領の訪問イベント始まりました。どんな結末になるのでしょう……。

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