折れないこころ
「リーナ、どうかな? 可愛いかな?」
「ニーナは何を着ても可愛いから大丈夫よ。私は昨日、デート風の偵察を楽しんだから、ニーナも楽しんできてね! ヤマト様はやはり素敵だったわよ(笑)」
「うん、そうする。たくさん甘えてくるよ。最近あまり話も出来てないから(笑)」
今日の偵察? はニーナの登板。リーナは昨日何があったかは教えてくれない、でも目が腫れていた……泣いたのだろう。
「今日は学校周辺の偵察なんだからとても重要よ。学生に見られるのも厄介だから用心してね」
「わかっております、姉さま(笑)」
リーナが元気になってる気がした。リーナにどんなロマンティックな時間を過ごしたか、なんて聞くのは野暮ってもの、ヤマト様から元気を頂いた、それだけで十分。
リーナはシックに黒で統一していた。黒系のツーピース、少し膝より短めのスカートになっている。コートは濃紺、そしてなんと言っても……眼帯を外している。最近開発された義眼用のコンタクトレンズ、自然な感じに見える。メガネも掛けている、リーナは自分ではないような気持ちである。
「ニーナ、眼帯ないと一段と可愛いよ。たくさんヤマト様に甘えてきなさい」
「はいっ!」
「ヤマト様、では行きましょう!」
ヤマト様と待ち合わせをしたのはロア大統領が宿泊するホテル前、ここから視察ルートを辿っていく。しかしこの服装……目立つかもしれない。
「ニーナ、気合い入ってるな。可愛いぞ!」
「はい! 今は凄いんですよ! このコンタクトレンズ、見た目はそんなわからないんです」
「へえー……」
ヤマト様はニーナの義眼とコンタクトレンズを覗き込む。真剣な目をしていて、恥ずかしい。
「やだぁ、そんなに見つめないでください……恥ずかしい……義眼って分かっちゃうじゃないですかっ」
「悪い悪い……本当によく出来てるな。ビックリするよ」
「これで、ちゃんと見えるといいんですけどね(笑)」
義眼は容姿が少し良くなる、というメリットしかない。それでもヤマト様と歩くときはちょっとでも綺麗にしたい。届けてはいけない想い……せめて女らしく。
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ニーナがとても可愛い。見回りに業務に支障があるくらいのレベル……人目を引く。ニーナは三姉妹の中で唯一女を保っている。それもあり眩しいくらいだ。
「ニーナ任務開始! これからロア大統領の視察道順を確認する!」
カッコいいこと言っているが……正直参る。三姉妹とも似ているが、心の形でこうも違うとは……。
平静を装い大統領の道順を辿る。狙撃ポイント、車で裏門から入って、降りる所は危険である。しかし一番危険なのは、拳銃を持って近づくことの出来る学校内。特に降りた直後は三姉妹の警護もない。
「ニーナだったらどうやって暗殺する?」
「私なら……生徒に紛れて至近距離から拳銃かな。でもその前に注意を逸らす為に狙撃させる」
さすがはプロ、的確な回答である。狙撃でパニックが起きなければ対処可能である。
「ここの狙撃ポイントは先に制圧しておく必要性あるな。降りた瞬間がヤバいかぁ……」
「替え玉が使えるなら容易なのですけど」
「それはだめだ。替え玉という犠牲も出せない。日本はそういう国なんだ」
「でも…………」
「ニーナ逆に質問なんだけど。暗殺する側として考えたら、三姉妹なら目的達成は可能かな?」
「リーナや私では失敗しますね。唯一成功する方法は……ロア大統領が車から降りた一瞬を狙って、シャロンが切り込む、これしかないです。しかしその場合、周辺の人を全て殺す前提です」
「わかった! ではもう視察は終わり。せっかくおめかしして来たんだから、お食事行こう!」
結論……ニーナが現場をみて出来ないという判断をした時点で不可能と結論づけた。更にこちらは合衆国の特殊部隊が狙撃場所に配置される。そしてセキュリティにおいては、拳銃等を近くに持ち込むのは不可能である、これは平和産業、ミライの最新システム。人が紛れることも出来ないだろう。
「お疲れ様。かんぱーい」
「かんぱーい」
「ヤマト様、不可能って結論でいいんですか?」
「大丈夫だよ。その他にも何重ものセキュリティがなされてる。これを突破するのは無理だよ。最後の関門がシャロンでは……まあそこまでいかないと思う(笑)」
夕食はニーナのリクエストでフレンチのコース。横浜のALICEに来ている。
「ニーナ、日本の学校は楽しいかな?」
「はい! とっても。ヤマト様とあまりお話できないのは寂しいですけどねっ(笑)」
「ごめんな、色々あってね……オレ自体がバレちゃいけないスパイみたいなものだからね。我慢して」
「わかってますよ。あおいさんとはどうなんですか? 私と2人でお食事なんて……あおいさん、悲しみませんか?」
「大丈夫、ちゃんと伝えてあるよ。ニーナともデートするって(笑) ニーナはこれからの夢とか目標とか、あるのかな?」
「私、お花屋さんになりたいです。お花ってたくさんの人を笑顔にさせるでしょ……なのでお花と共に過ごしたいです。もちろんヤマト様が死ねと言うなら死にますけど(笑)」
「何言ってる(笑) そんなこと言わないのわかってるくせに……いいんじゃないか」
「お花のことたくさん勉強して、新しいお花を作りたい! それが私の夢なんです 花の名前はニーナかな(笑)」
「そっか……その花の花言葉は、折れない心、だな(笑)」
「ヤマト様、それとっても素敵……」
ニーナは頬を赤らめなが話している……。
みなさんいつもありがとう
今回はニーナとのエピソードです。双子がうまく対比出来ているといいのですけど……。2人とも、今後の展開において重要なキャラなので、ヤマトとのエピソードを追加しました。




