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素晴らしき遺品

 早川さんは一通り、歌を聞いた。ずっと涙を流している。感動、ではない、悲しんでいる…………。


「ごめんなさい、色々思い出しちゃって……」


「いえ、とても素晴らしい歌声ですね」


「少しだけ昔話に付き合ってもらってもいいかしら……」


「はい、私も聞きたいです」


 早川さんは話を始めた。


「ひめと最初に会ったのは、姫が15歳の時だった。とっても可愛いけど、オヤジっぽくて……温泉が大好きだったなぁ。亡くなる前、電話貰ったの。いつもありがとうって」


 関係者から初めて耳にする言葉、亡くなる前……。ヤマトは表情を注視する、が、そこに偽りや誤魔化しはない。


「なんか泣いてたわ……これから起こることが分かっていたかのように。あの子、とっても感の良い子だった」


「このアルバムのこと、早川さんはご存知だったのですか?」


「知ってたわ。ベストアルバム作って売り出す計画だったけど……姫がやめたの。せっかく引退したのにこんなの出したらまた売れちゃうって……でも素晴らしいものだから封印して、復活を待つって」


 早川さんは遠い過去を見ているよう……残念だが、事実なのだろう。伊集院さんは自分の運命を知ってて……。


「このアルバム、どうしたらいいでしょうか……」


「全ての利権は復活させた人にあげる、って話していたわ。だから……それはアナタの権利。たくさん知らない曲あったでしょ? あれって姫が作曲したものなの、有名な曲も何曲かあるけど、その著作権も姫は購入してたから……」


「私は……こんな、素晴らしい作品を独り占めしたくないし、金儲けもしたくない。偉大な伊集院姫はという、アーチストの集大成として、世間のみんなに聴いてもらいたいです」


「わかりました。、その点は私がご協力いたします。あの。ちょっと気になるのですけど……その何故か不自然にぶら下がっている、鍵のことだけど……」


「あー、これですね。これも生徒会室から出てきた出土品です。早川さん、ご存知なんですか?」


 早川さんは少し席を外して、すぐに戻ってきた。


「ヤマトくん。これ…………ごめんなさい、アナタも姫の関係者の一人になったんだから、名前で呼ぶからね。私のこともそうしてね、決して専務、なんて呼ばないで」


「わかりました。みさおさん」


「よろしい! でこれなんだけど」


 みさおさんは同じような鍵を持ってきた。合わせてみると……形状が一致している。なんと…………!


「この鍵は姫と私の宝物庫の鍵よ。姫が事故にあってから……一度も行けてないけど。そうだ、私の代わりにメンテナンスしてきてくれない? 住所教えてあげるから」


 思わぬ展開になった。宝物庫、でまた何かを発見できるかも知れない……。



△△△△△△△△△△△△△△△




 ヒメリンの調査をしてきて、あおいは初めて希望を失った。幻の複製原画やステージ衣装、お宝である未発表アルバム、ヒメリンがとても身近な存在になっていたが……現実を突きつけられた気分。


「ヤマト、まだ調査は続けるの?」


「続けるよ。少なくとも、みさおさんにはヒメリンが生存している、という情報が届いてないことは分かった」


「ヤマトって強いわね。私もう……」


「明日、勉強する前に宝物庫に行ってみようよ。みさおさんは行ってからのお楽しみって感じだったから……」


「分かった……」


 あおいの中ではヒメリンが生存している、のは事実であると捉えていた。現実は甘くはない、所詮都市伝説のようなもの……でもヒメリンに近づいていけることは、幸せなこと。ここは気持ちを切り替えていこう。




 次の日、あおいは武蔵小杉駅で待ち合わせをした。早速ヒメリンの宝物庫のある住所に向かう。そこは……トランクルームである。住所に部屋番号みたいなものがあったのでマンションだと思っていたが……


「ここか……あおい、開けてみるよ」


「うん」


 部屋に入って明かりをつけるとそこには……


「こりゃお宝間違いないな……」


「すご〜い! こんなにたくさん……ヒメリンのコレクションね……」


 そこには多くの複製原画があった。ほぼ全てにサインがしてある一点物、鑑賞するためのソファが置いてあり、片隅には……ヒメリンの出演作品の額装された原画がひとまとまりになっている。


「でも……飾ってあるやつ、ほぼ同じサインがしてあるね。あおいがヒメリン推しなのと同じで、ヒメリンも推しがいたってことかな?」


「ヤマト、本気で言ってるの? ヒメリンがみさおさんのファンなのはアニオタの中では有名な話よ! これ!全て昨日お会いした、みさおさんのサイン!」


 ヤマトはアイドル育成計画(通称、アイイク)しか詳しく知らない。この作品、確かにヒロインの、ゆうきひめこ、ちゃんのキャラが素敵でアニメとして楽しく観れた。


 しかし、そのヒメリンのコーナーに数冊ではあるが手作りっぽい本がある。そこには……例のつまらない小説の続きがあった。他にも何冊かある。この数冊は……借りていこう。


 ヤマトはあおいと2人で部屋のメンテナンス(掃除)してから部屋を出た。

みなさんいつもありがとう


 今回は良い投稿に感じます……。前作をご覧になっている方はここの意味が分かるでしょうし、そうでなくても何ら問題はない。アルバムは2月3月あたりに始動かな(笑)

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