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1年A組

 入学をしてからは当面人間観察だ。ヒロシとはつるむようになった。他の男子、中居、柴田、あたりとも交流があるが、その他の男子は正直ガキだ。あまり絡まないようにしたい。女子の中心はやはり清水さん。クラスの大多数の人がサインや記念写真を撮っているが、快く応じている。性格は良さそうである。


「ヤマト、知ってる? カトレアの屋上伝説。姉ちゃんに聞いたんだけど、屋上でお昼食べると出世するらしいよ、恋も成就するとか……」


「なんだそれ? 全く興味ないが……行こう」


「なんだ、素直じゃないな。情報料はカレーパンでどうだ!」


「なにそれ、私も行きたい! ニカちゃんも行こうよ」


 話に入ってきたのは清水さん。目を輝かせている。オカルト好きなのか……。


「ヒロシ、大変だなカレーパン3個になったぞ!」


 清水さんに誘われていた須藤二華さん、ニカちゃんと呼ばれている、やたらと目と胸が大きい女の子、口数は少ない方である。しかし、清水さん、オカルト好きなのであろうか……。




 お昼は4人でこっそり屋上に行くことに。4人で階段をあがる。屋上への扉は洒落た感じである。


「あれ? 開かない……屋上って使用禁止とは言ってなかったよね? 先生」


「うん、危険はない的なことは言ってたけど」


 傍らを見ると……清水さんの目に涙が溜まっている。何故だろう……


「清水さん、そんなに屋上でお弁当食べたいの?」


「ごめんなさい……私、屋上に来るのが夢だったので」


 変な夢だ。オカルト少女確定かもしれない。だが、ここは一肌脱ぐことにした。


「ねえ、3人とも、これから見ることは内密にしてほしいんだけど、いい?」


「もしや……生徒会に合鍵あるの?」


「いや……清水さん、安全ピンとかある」


 ヤマトは安全ピンを受け取り……伸ばした。そして、鍵穴に突っ込む……程なく、「カチッ」


「よし、開いた。でもこれは内密に!」


 3人は呆然としている。解錠は幼稚園の時に暇で独学で勉強した。普通の扉など瞬殺だ。


「ヤマト、もしやスパイとか?」


「な訳ないだろ。それなら3人とも殺してから解錠するだろ(笑)」


「ありがとう……」


 清水さんが本気で泣き出した……。



△△△△△△△△△△△△△△△



 屋上はテラスになっている。雨が入らないようになっており、草花に囲まれている。庭園のように整備されていた。その隅の所に落書きがある、姫の場所、と書いてある。


 あおいは知っていた。この屋上があの、ヒメリンの出発点であったこと。あおいには伯母がいて、あのヒメリンと同級生であった。残念ながらヒメリンとは何度かお話した程度。それでも当時の伝説を色々聞いていた。


「ごめんなさい……私、ここに来たかったんです。ここ、ヒメリンの原点なんです。私、ヒメリンの大ファンで」


「なるほど、ってことは清水さんにとってはここは聖地ってことね」


「うん、何度かお会いしてて……会う度にファンになって……なのに……」


 ヤバい、また涙が……。その時、ニカが抱きしめてくれた。


「泣かないで、あおい。私も悲しくなっちゃう……」


「うん、でも……感激してるのもあるの」


「ねえ、せっかく4人で来たんだから、4人は名前で呼び合わない? たしかヒメリンって親しい人は名前呼びだったよね、いいかな? ヤマト、ヒロシ」


 ニカの提案で4人は名前で呼び合うことになった。




△△△△△△△△△△△△△△△




「美人はずるいよな。ヤマト、もしあそこで泣いたのがオレなら絶対に開けないよな」


「当然のことを聞くな(笑)」


 既に有名人のあおいと交流を持ったことをヤマトは少し後悔をしている。いつも笑顔のあおいの、あの涙を見たら男なら何かをしたくなるだろう。


「ニカって子もいい感じだよな。母性を感じるよ……」


「アホだな、ただ巨乳ってだけだろ(笑)」


「そういう見方もあるな(笑)」


 ヤバい! すぐ後ろにあおいとニカがいる。完全に聞こえている……だがヒロシはお構いなし、というか居ることに気づいていない、ノーテンキなやつだ。


「この学校は女子の容姿だけは感心するよ。全部フィギアが当たる一番クジみたいなものだよ」


「ヒロシ、人間は容姿で選んだらロクなことにならんぞ。趣味嗜好や相性が大切だと思うよ」


「あー、そうだよな。ヤッてみないとわからんってことか!」


 コイツに何を言っても無駄な気がした。たまにはお気楽な友人ってのも悪くはない。ジョージなんかと違って雑な扱いで問題ないし。


「あのー、ヒロシくん、聞こえてるわよ…………」


 あおいが話しかけてきた。ニカは顔を赤らめている……とても可愛い。


「いやー、あ、ニカごめん。でも褒めてるんだよ! 巨乳って正義じゃん!」


「なら私は悪なの?」


 あおいは少し怒り気味。真面目な性格なのだろう。


「その辺にしよう。カトレアに入学出来たというだけで男女問わず素敵だとオレは思うよ。努力しないで入る奴はいないからね、努力こそ正義だから!」


 ヤマトはうまくこの場をまとめた。

みなさんいつもありがとう!


 前作の終了とほぼ同時に投稿しました。今作では前作の登場人物を極力減らそうと思ってましたが、主要キャラに関しては登場させる方向になりました。どうしてもカトレア祭(文化祭)等の学校行事では必要なんです。ごめんなさい。

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