あおいの誕生日
11月1日土曜日、第一回学校説明会が開催される。参加予約が多かったので予備日の日曜日も開催されることに。説明会はプリンセスホールで行われる。
「去年より多いかな。あおい、そろそろ始めるわよ」
「で? オレの出番は?」
「あるわけないじゃない! ヤマトは王様だから、どーんと構えていて!」
今日は丸投げの甲斐あって見学で済みそうである。挨拶もなくただ進行を見守る、確かに女子が説明会を進めたほうが華やかでいい。
「よかろう、では余は会場内の見回りでもしよう……」
「だから、じっとしてなさいっ!」
説明会が始まった。圧倒的に女子が多い。あおいが登場すると黄色い歓声が上がる。何せ最初はブレザー姿、会場が騒がしくなる。
あおいはカトレア祭とタロニアの特待生受け入れの話をした後、一度舞台から降りる。そしてそこからは……映像が流れる。これは生徒会役員の桐乃が作った。とにかく完成度が高い、ヤマトも会場内を映しているモニターで観ているが、ヤマトが作るものとクォリティはそう変わらない。桐乃はいい仕事をしている、ウェブデザイナーになれば、かなり売れっ子になるだろう。
再びあおいが由緒あるセーラー服で登場、場内はまた歓声が上がる。そして、説明会は盛況のまま閉幕した。
「あおい、お疲れ様」
「ヤマト、ありがとう。明後日は期待してるね!」
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学校説明会は無事に2日間の日程をこなした。カトレアを志望している子がメインなので、あおいの事を知っているのは当然だが、気分良く手伝いが出来た。緊急の仕事が入ってしまい、ヤマトとは夕方からの約束になってしまった……早くあいたい!
「あおいちゃん、お誕生日の日に急に仕事振ってごめんね、完璧です、お疲れ様でした」
事務所の皆さんから可愛いポーチとハーブティーを貰った。あおいはそのまま待ち合わせ場所に向かう。前回のサッカーデートの失敗を踏まえ、ホテルのロビーで待ち合せることにした。
品川駅から少し坂を登ったホテル、何度か仕事で来たことがある。ロビーにはヤマトがいた。今日は光沢のあるグレーのスーツを着ている、大人な感じである。とても大人……変な期待もしてしまう……。
「ヤマトー」
「あおい。お疲れ様。お誕生日おめでとう!」
「ありがと!」
ここからは全てヤマトのプレゼントらしい……まず訪れたのはホテルに併設するアロマエステ、ここで日頃の疲れを癒やして欲しいと、1時間半のフルコースをプレゼントされた。その後はすこし早いが夕食。あおいが好きな中華料理のフルコース
「あおい、ここはフカヒレの姿煮が絶品だよ、カニのたまごとの相性か抜群なんだ! 早く食べてみて!」
「あれ、ホントだ。美味しい……。さすがはヤマトね、豪華な友達がいるだけある!」
「奴らは食えない奴らだけどな(笑)。あおいには少しだけオレの友人関係の話をしておかないとね……」
「それが2個目の誕プレ?」
「馬鹿言うな(笑)」
「で? 教えて! 教えて!」
ヤマトは話を始めた。
「まず、最初に仲良くなったのはジョージなんだ。もう10年近く前かな。当時、ネット上で知り合ったんだ……」
ヤマトの話によると……大統領就任前のジョージとSNSを通じて知り合ったらしい。年齢が5歳に満たなかったのでとても興味を持ってくれた。現大統領、サラさんとはジョージを介して知り合ったらしい。ロア大統領はタロニア内戦のときに会ったが、当時はお互いに仮面をしていて素顔を直接見たことはないという。
「話は分かったけど、チート感は払拭出来ないわね、ヤマトってマジ危険なオトコって感じ(笑)」
「危険は間違いないな(笑) よし、そろそろ場所を変えよう。取っておきの所にご招待するよ」
食事を終えるとタクシー乗り場に。品川駅とは反対側に。車止めのある高級マンションに……
「ヤマト、ここは?」
「オレのウチだよ。今住んでるのは……実家かな」
色々想像してしまう……平静を装うのが限界に近い。ドキドキする。エレベーターは高層階専用のものに乗った。
「ここだよ どうぞ入って!」
マンションの最上階、とても広い。玄関を入り廊下を通り過ぎると大きなリビングがある。大きなソファがあり、自動で開いたカーテンが開くと目の前に素晴らしい夜景が広がる……。
「素敵……」
「だろ! ミクも大好きな夜景なんだよ。いつか大切な人に見せなさいって、この前も言われてて」
「ミクって…………ヤマトの……大切な人?」
告白したときにヤマトが言っていた……ヤマトの好きな人……
「あー、ごめん。大切な人には違いない。母さんだからな、家ではファーストネームで呼び合ってるんだ。あおい、今妬いた?(笑)」
「なわけ……」
「待ってて、飲み物出すから。夜景観ながら乾杯しよ」
ヤマトはお酒のようなものを出してきた。シャンパンみたい……お酒…… やはりヤマトは大人なのか?
「大丈夫! お酒じゃないノンアルだから。今さ、あおい、酔わされて色々されちゃうーとか思わなかった(笑)」
「思った(笑)」
「大切なあおいに、そんなことしません! では乾杯」
素敵な夜景、優しい気遣い、そして大切にされていると感じる……素敵が重なって失神しそうだ。ヤマトは席を外して何かを取りに行った。ガラガラと何かを引っ張ってくる。
「あおい、誕生日プレゼント、受け取って。さあさあ」
結構大きい。あおいはかかっている布を取って見る
「きゃあ……これ……」
「うん、あおいの大好きなヒメリンのステージ衣装。初期のものかな……朝の情報番組をやってたときに一度だけ身に着けた衣装だって」
「…………ありがとう……」
ビックリして涙が止まらない……。
みなさんいつもありがとう
とりあえず更新します。少なすぎですね。完結まで持っていけるのか……。




