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打ち上げパーティ

 ヤマトのマンションにミクを初めて泊めた。考えてみれば変な話である。高級マンションを所有していて、自分の実母をマンションに泊める15歳の高校生。2人の時はファーストネームで呼び合い、時間を見つけては楽しい時間を過ごす。それを許されている……ヤマトにとっては過ぎた母親である。今日は13時からカラオケルームで打ち上げ、ミクも会社の同僚と食事をして帰るらしい。




 関内にあるカラオケルーム、大勢が入れるカラオケはここだけ。結婚式の二次会なんかで使う大きな部屋がある。そして、ここの社長は…………よく知っている。


「ヤマト、ありがとう! 来てくれて。今日は乾杯をしてもらっていいかな?」


「そのために呼んだんだろ?」


 受付けはヒロシが行っている。カトレア祭の準備はヒロシが頑張った。これがカトレア祭の締めになるので張り切るのも当然であろう。カトレア祭は打ち上げが終わって初めて閉幕、という認識がある。なので今年のカトレア祭のファイナルってことになるのだ。


「ヒロシ、今回はどれくらい利益出たの?」 


「それは、後で発表するよ。クラスのみんなにも相談があるし」

 

 そんな事を言っているが、ヤマトはざっと計算してみる。客単価が600円で20席、ほぼ満席で1日7時間、店内で70万が限界。更にテイクアウトを考慮しても……100万くらい。だが材料費はほぼタダなので80〜100万の間だろう。一人あたり2万円くらいの豪華なパーティが出来る。





「それではみなさん! カトレア大賞受賞とカトレア祭の成功にカンパイ!」


「乾杯!」


 ヤマトの一言で打ち上げが始まった。時間は13時半最長21時半までここは使える。ソフトドリンク飲み放題。食べ物は指定の時間に指定のものが運ばれてくるシステムだが、基本的頼み放題になっている。


「静、お疲れ様」


「ヤマト、疲れたね。でも私楽しかった(笑)」


 静もカドが取れてきた感じがする。入学当初は隙を見せまいと殻に閉じこもっていたが……。


「みんな楽しめたんじゃないかな。後夜祭の映像が余計だったかもね。気分悪くした人もいると思うから」


「私は……とても良かったと思うよ。私達はとっても恵まれてるって心から思えたし。あの映像と音声がないと、勘違いしてたかも。自分達が凄いって……」


「カトレア祭はある意味お祭りだから。目的は楽しむこと。でもこの学校はカトレア祭を教育の一貫と捉えているから、批判を承知で後夜祭に映像を流したんだ」


 タロニア暫定政府から映像を流してほしい、という依頼はなかった。たが、タロニアを紹介してほしい、とは依頼されていた。そのニュアンスの中に暗い過去も含まれていると解釈した。そのための調度品での武器供与。


「でも一番は……クラスの仲間の為よね、素敵よ、ヤマト」



△△△△△△△△△△△△△△△



 クラスの仲間とパーティ、本当に楽しい。カラオケが歌いたい放題、飲み物も! ヤマト様はこういった楽しい思いを私やリーナに体験してほしい、と思っていたのだろう。この楽しさを知ってしまったら……もう過去の境遇には戻れないだろう。


「ニーナ、日本の歌、何か歌える?」


「うん、私、恋のはじまり 歌える!」


 ニーナは歌うのが好きだった。お花を育てながら、口ずさむタロニアの歌、日本語の練習のために覚えた歌、歌は何でも好き…………


「割り込んじゃおうよ、はーい、みなさん、次はニーナが歌いまーす。中川ひめさんで 恋のはじまり!」


「♪♪♪♪遠くで聞こえる君の声

  聞いてるだけで胸が痛むいつも心にあなただけ

         ふと気付いて目を閉じた♪♪♪♪」


 みんな喜んでいる。初めて小さなステージで歌った。まるで歌手みたい……楽しい!



 ニーナは歌い終わった。クラスのみんなは驚いている、歌は少しだけ自身があるから驚かせるためにも全力で歌った……効果はてきめんである。心から楽しい!


 ニーナが歌い終わった直後、司会のヒロシくんがマイクを取った。待望の会計報告をするという……


「みなさん、盛り上がっているところ申し訳ありません。ワタクシ、中村より今回の会計報告を致します」


 みんな固唾を呑んで聞いている。


「まず、レストラン収支ですが、2日目間で88万7000円!、タロニアテレビからの取材協力金10万タルニ、日本円で20万円、国営テレビからの取材協力金28万円、カラオケパーティの費用、35万円、よって……プラス103万7000円です!」


 みんな喜んでいる。103万円ってことは……50万タルニかぁ、凄い大金である!


「ここで皆さんに提案があります。本来このお金は金券とかにして分配したいところですが……私は全額をタロニアこども基金に寄付しようと思います!」


「賛成!」


「食材頂いたお陰だもんね」


「そうね、タロニア国に還元すべき!」 


「では異議なしということでいいですか? よろしいなら盛大な拍手を!」


 全員が拍手をしている。なんとタロニアのために利益を全額寄付するという……ニーナは胸が一杯になる。


「リーナ、泣かないで…………」


 向こうでリーナは泣いてしまったみたい……私は、我慢しないと……私に涙は似合わないから…………。


みなさんいつもありがとう


 カトレア祭、これで終わりです。最近気付きましたが、私は小さい頃からお祭りと花火が好きではありません。その為イベントとして完全に抜けてました(笑)。ヤマト2年生編ではイベント追加する予定です。

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