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音声

 カレコンの司会を終えたヤマト、疲労感がどっとくる。そして、だんだん気が重くなる。これから後夜祭、その開会を宣言しないとならない。出来ればこのまま楽しいカトレア祭で終わらせたかったが、どこかで解決しないといけない問題に、これから取り組む。


 カトレア祭、後夜祭。つい5年前まではなかった。それまでは前夜祭というイベントがあり、ダンスパーティーか行われた。カトレア祭の準備をする者、パートナーと手を繋いで愛を語らうもの、それぞれが前夜祭を楽しんでいたが、5年前に後夜祭に変更になった。理由は……準備の複雑化。ギリギリまで準備したいという意見を反映した形になっている。



「それではまず、第一回カトレアビューティーコンテストでグランプリを獲得しました、清水あおいさん、高橋夏菜さん、受賞のコメントをお願いします」



 先ずは目玉企画、カレコンの受賞者コメント。次にカトレア大賞の発表である。カトレア大賞は5年前に新設された、人気投票で決まる催事展示の栄誉賞である。今年はカレコンがある関係でカトレア劇場大賞は見送られた。



 あおい、高橋さんが順番に受賞の挨拶をした。二人ともとても立派である。そして…………カトレア大賞の発表。



「では発表します。今年度のカトレア大賞は……1年A組、タロニア料理店です!」


 1年A組のメンバーが大喜びをしている。拍手が起こる。そしてその傍らにはタロニアテレビ、タロニアテレビを取材している国営放送のクルーが撮影している。


(気が乗らないが、これはタロニアテレビの意向でもある)



「ここで私に少しだけお時間ください。前方の画面にご注目…………これは2年前のある場所で起きた事です。途中で映像が途切れ音声だけに切り替わります……」


 カトレア祭で誰もが舞い上がっている。雑談している人もいる、そんな中、映像が流れる。


「おーい、聞こえるか〜やまとー。今、タロニアの首都、ノルッカにいます。内戦寸前ということですが、今のところ街は平穏です。けど随分避難している人も多いっすね、人はまばらです 向こう側には……」


 タロニアの首都での映像である。映っているのは撮影者、そしてグルっと町並みを映す。周囲の人の声も聞こえる。だが………大きな爆発音


「おいおいなんた? ミサイルか?」


 サイレンが鳴り出す。


「ヤバい、やばい、やばい……とりあえず逃げ……」


 また大きな音、そしてそこで映像が途切れる。が音声は聞こえる。人々の悲鳴、怒号、怨嗟の声……少しするとまた轟音、銃声も聞こえる……カトレア祭に浮かれていた生徒は一気に冷えた……。


「ヤマト……………………反政府……攻撃………」


 音声はそこでブチッと途切れた。生徒の声も途切れている。そしてヤマトは大きく深呼吸をする、そして……



「今、ご覧になってもらったのは、タロニア内戦が始まった瞬間です。この攻撃で私の友人は……」


「本年度、我が校は、タロニアから留学生を受け入れました。副担任をしているシャロン先生も同様です。だからこそ、皆さんには知っておいて欲しかった。大賞を受賞のしたタロニア料理店にあった武器、幸いにも使われた形跡、尊い命を奪った形跡はありませんでした。あれは元来人を殺す道具、決してカッコいいものではないのです」


「留学生のリーナやニーナがあの武器を見てどう思ったか……わかりますか? 恐らく、何も感じなかったでしょう、武器が日常にある世界から来たわけですから」


「内戦は泥沼化する前に終結しました。そこにはたくさんの悲劇が生まれました。彼女達、三姉妹はその地獄の日々から生還した英雄なのです」


「では私達カトレア生はタロニアに対して何が出来るでしょう……何もできません。では三姉妹に対しては……せめて……楽しい学園生活を送って欲しいと思いませんか?」


「彼女達を憐れむことは決してしないでください、私達よりも遥かに勇敢なのですから。気を遣わいでください、同じ年代なのですから。そして私達に出来ること、そう! みんなで三姉妹を楽しませましょう、そして私達も共に笑い、素敵な時間を過ごそうじゃないですか! それでは…………ダンスパーティースタートです!」


 何かが弾けたような歓声が聞こえる。今日は何回の歓声を聞いたのだろう……。たどたどしい挨拶であったが、伝えたい事だけを端的に話す、言葉の論理は度外視して、それが今回の演説に必要なことであった。


 リーナとニーナ、シャロンのところに人だかり、というよりダンスの申込みが殺到している。男子も女子もいる。3人はとてもいい笑顔、2年前からの念願が叶った瞬間とも言っていい。


「ヤマト、お疲れ様…………」


「あおい…………いいのか? ダンスパーティーは主役だろ?」


「うん。私にとっての主役はヤマトだけでいいわ(笑)」


「容姿的にはあおいとは釣り合わないけどな(笑)」


「私もよ……ヤマトの人間力には釣り合わないから。お互い様よ。」


「なんだそれ。褒めてるのか?」


「もちろん。私決めたの、ヤマトが旅立つまでは私がヤマトの一番で居続けるって……」


「お前、可愛いな……(笑)」

みなさんいつもありがとう


 多忙で投稿忘れてました(笑)。とりあえず毎日投稿は間に合いました。投稿してから校正することにします。

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